言い切ったところで、個室のドアが外から静かに開いた。オーダーメイドのスーツをさらりと着こなした祐一郎が、気だるい笑みを口元に浮かべながら入ってきた。杏奈に「よく言った」とでも言わんばかりの誇らしげな目を向け、それから円香の頭をわしゃわしゃと無遠慮にかき回しながら、ひやりとした笑みを見せた。「円香、いつから俺のことに口出しするようになったんだ?」「ごめんなさいごめんなさい、もうしません、許してくださいぃ〜!」円香がわんわんと泣き真似をしながら頭を押さえた。内心では「次はもっとうまくやるわ」と思っていたが、それを知られたら確実に雷が落ちる。「ガキが首を突っ込むな。自分の心配でもしていろ」祐一郎は軽く鼻を鳴らして円香を解放し、ゆったりと席に着いた。カチャ。椅子に腰を下ろした途端、またドアが開いた。踏み込んできた人物は、思わず目が離せないほど美しかった。「ごくり……」円香が生唾を飲み込み、獲物を見つけたような熱っぽい目で言った。「玲子さん、どうして今まで気づかなかったんだろう。こんなに綺麗だったんですね」柔らかな照明の下、玲子の顔には薄化粧が施され、もともと整った目鼻立ちがさらに際立っていた。肌は透き通る雪のように白く、淡い色のワンピースが体の美しいラインを艶やかに引き立てている。裾の下からのぞく形のいい脚は、思わず目が吸い寄せられてしまうほどだった。玲子は円香を軽く睨んでふっと笑った。「なに、今まで綺麗じゃなかったとでも言うの?」そう言いながら、さりげなく視線を祐一郎へ向けた。しかし彼は入ってきた瞬間に一度だけちらと見たきり、その後は悠然と席に座って、目を向ける素振りさえなかった。玲子の笑顔が、ほんの少しだけ固まった。その声に微かな苦悩が滲んだ。「祐……三浦さんは、私に会いたくなかったんでしょうか」祐一郎がゆっくりと顔を上げ、穏やかな、しかしどこか冷めた声で言った。「広川さん、冗談を。わざわざ足を運んだのに、そんな話はありませんよ。それに、俺がここに来たのは、妹二人がお世話になったお礼を言いたかっただけです。それだけです」最後の言葉を、祐一郎はわずかに強調した。玲子ははっきりと聞き取った。目の光がすっと落ちる。丁寧に施した美しい化粧も、その奥に長年押し込めてきた深い疲弊を隠しきれなかった。何か
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