強いて言えば、証明写真を撮りに行ったことと、何度か買い物に付き合わせたことくらいだ。それも、彼好みの服ばかり買わされ、遥がそれを外に着ていくことは一度もなかった。そのほとんどが、ホテルのベッドの上で引き裂かれ、ゴミ箱行きになった。湊は気づいていなかった。遥が実は、気の強い、プライドの高い女だということだ。瞬は彼女をからかって「お嬢様」と呼んでいた。確かに彼女には、お嬢様特有の気位の高さがあった。ただ、湊の前では爪を隠し、彼にだけは、腹を見せる猫のように無防備だったのだ。その爪は、他人に対して向けられていた。遥が牙を剥くのは、誰かが湊を傷つけようとした時だけだ。学部内に湊を快く思わない男子学生がいて、何度か嫌味を言われたことがあった。遥は湊以上に激怒した。腰に手を当てて食ってかかり、相手を論破して顔を真っ赤にさせた。湊にとって、誰かに守られたのはそれが生まれて初めてだった。賭けがきっかけで始まった恋人関係だったが、遥の温もりに依存していたことを、湊は認めざるを得なかった。彼女の心も体も自分だけのものだという満足感に、酔いしれていた。その瞳の中のすべての星が、自分のために輝いていることに魅了されていた。だからこそ、遥が別れた直後に結婚し、子供を産んだという事実が許せなかった。自分を好きだったはずの時期に、すでに他の男を想い、結婚の準備を進めていたのかと思うと、胸の奥が焼けるように痛み、嫉妬の炎が燃え上がる。理性が焼き尽くされそうだった。指先に熱を感じる。タバコが根元まで燃え、火が湊の指を炙っていた。我に返り、吸い殻を消して捨てた。電話を切り、少し気分が落ち着いた。渋滞がやっと解消され、湊が車を走らせた。……週末はあっという間に過ぎた。週明けのオフィスは、あちこちからあくびの声が聞こえてくる。玲奈はヒールを鳴らしながら、不機嫌さを隠そうともせずにオフィスに入ってきた。厚塗りのコンシーラーでも隠しきれないクマが目立つ。そして、遥のデスクまで来ると、大声で言った。「あんた、湊さんの前で私の悪口言ったでしょ?」遥は呆気にとられた。清美は帰宅後、玲奈を平手打ちした。男一人落とせないなんて情けない、と。あれほど時間をかけて九条夫人に取り入ったのに、
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