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第61話 ラスボス戦④

 いよいよ、もうダメかもしれない。  そう思っていると、イワナガヒメが横から話しかけてきた。 「ゲンノウの、脳について、わらわは居場所がわかるぞ」「本当すか⁉」「うむ。感じるのじゃ、やつの気配を。この真下から」「真下って……」「地下深くにあるようじゃ」  マジか。  直接脳味噌をぶっ叩けるのなら、そうしたいところだけど、あいにく俺の「ダンジョンクリエイト」では、目に見えない範囲だけを操作することは出来ない。それをやるためには、まず表面に亀裂を入れることから始めて、順繰りにその亀裂を地下深くへと伸ばしていくやり方をしないと、攻撃が届かない。  だけど、そんな悠長な攻撃、ゲンノウが見逃すとは思えない。あっちも「ダンジョンクリエイト」持ちだから、きっと、俺の行動を妨害してくることだろう。俺がいくら亀裂を作っても、後から塗り込めてしまうに違いない。そうしているうちに、脳味噌を別の場所へと移してしまうだろう。  そうなったら、終わりだ。もう倒しようが無くなってしまう。 「イワナガヒメ、あんたのねじれで、地下深くまで一気に破壊できないか?」「無理じゃ。わらわの力では、表面をねじれさせるのが限界じゃ」「そうか……そうなると、他に方法は……」  ブツブツと、ああでもない、こうでもないと呟く俺のことを、イワナガヒメはじっと見つめている。 「なぜじゃ」「へ、何が?」「わらわは、うぬの仲間を大勢殺してきた。にもかかわらず、うぬはわらわを憎んでいないようじゃ。それはなぜじゃ」「そりゃあ、色んな人が死んだのは悲しいけど……でも、お互い覚悟の上でぶつかり合っていたん
last updateآخر تحديث : 2025-12-27
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第62話 エピローグ①

 家に帰るのに、一週間はかかった。  理由は、各方面への対応に追われていたからだ。  まず、ダンジョン探索局にチハヤさん達が事態の報告をするのに当たり、俺の協力が必要だった。ゲンノウが人間である時に、最後に接触したのが俺だったからだ。  それと、警察やら、自衛隊やらの、聞き取り調査。  それらが終わったら、今度は、学校への謝罪に行かないといけなかった。校則で、ダンジョン配信は禁止、とされていたにもかかわらず、配信をやっていたことがバレてしまったからだ。  退学になりかねないところ、チハヤさんも説得に協力してくれて、なんとか停学処分で済むこととなった。  そこまで終わったところで、やっとひと段落つき、俺は家へと帰ることが出来た。 「お兄ちゃん……!」  帰るなり、ノコが飛びついてきて、抱き締めてきた。その頭を、俺は優しく撫でてやる。  家に戻れない間は、電話でやり取りをしていた。声だけでも聞かせていたが、やっぱり、それだけでは不十分だったようだ。 「もうダンジョン配信なんてやめてね! お願いだから!」「ああ、そうするよ。今度配信をやったら、学校を退学になるかもしれないし」  登録者数十万人超えの現在、ダンジョン配信をしないのはもったいないけど、致し方あるまい。  ちなみに、日本各地のダンジョンは、ゲンノウが倒されても変わらず存在している。あいつが作り出したダンジョンではあるけど、あいつを倒せば消える、というわけではないようだ。  なので、今日もどこかで、ダンジョン配信をしているDライバーがいることだろう。 「お父さんが戻ってくれば&helli
last updateآخر تحديث : 2025-12-28
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第63話 エピローグ②

 あの戦いから一ヶ月が経った。  崩れ落ちた新宿区によって、中野区も壊滅的な被害を受けており、その避難民の受け入れをどうするかが社会問題となって、連日新聞やテレビ、ネットニュースを賑わせている。  中には、なぜか俺のことを悪者扱いする連中もいる。アクーパーラを倒さなければ、こんなことにならなかった、とかいう意味不明な論調で罵ってきている。まあ、そういうアホな奴らもいるだろう、と思って、全然気にしていない。  俺自身はだいぶ落ち着いてきたので、久々に、母さんの墓参りに行った。  ノコは連れていかなかった。俺だけだ。親父のことを報告したかったので、ノコにはいてほしくなかった。  東京の西部、丘陵地帯の眺めのいいところに、霊園はある。  花束を持って、母さんの墓まで行くと、おかしなことに気が付いた。  すでに花が供えられている。 「誰だろう……?」  うちの親族で、墓参りするような人は思いつかない。そうしたら、母さんの友人とか、そんな人達だろうか。  空いているスペースに花を差し込んでいると、初老の痩せた男性が、水の入った桶を持って、こちらへ向かってくるのが見えた。  誰だろう、と思って見ていると、相手は俺のことを見た瞬間、にっこりと微笑んだ。 「やあ、カンナ君。お母さんの墓参りかい」「どちら様でしょうか」「君のお母さんの主治医をしていた、東郷という者だよ。君の活躍は、配信で見させてもらった。いや、すごかったね。お陰で多くの人が助かったよ」「先生は、わざわざ、お墓参りに?」「いつもはお盆の時期にお墓参りしているんだけどね、今日は特別だ」  
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第64話 エピローグ③

 チハヤさんとの通話を切り、急いで配信サイトを立ち上げた。  検索するまでもなかった。オススメの動画のトップに、虎剣のライブ配信が表示されている。  配信を覗いてみると、どこかのダンジョン内、石造りの通路の中で、虎剣がモンスターと戦っているところだった。  虎剣はカンフー服を着た筋骨隆々とした男である。短く刈り揃えた髪に、男前な顔立ち。格闘ゲームにでも出てきそうな見た目だ。  配信のタイトルには「始皇帝陵」と書かれている。たぶん、そういう名前の遺跡か何かなのだろう。そして、戦っているモンスターは、いわゆる兵馬俑というやつだろうか、古代中国の兵士の姿を模した人形だ。  そんな虎剣とともに、兵馬俑を駆逐しているのは――ナーシャだ。  トレードマークのガトリングガンこそ持っていないが、レオタード型のパワードスーツは着ており、徒手空拳で無敵の強さを見せている。  あっという間に、兵馬俑達を駆逐した後、虎剣とナーシャはカメラの前に並んで立った。  虎剣は、ナーシャの肩を親しげに抱くと、ニカッと笑って、何か中国語で喋り始めた。 「她是我的新搭档阿纳斯塔西娅! 她很强!」  なんて言っているのかさっぱりだが、「阿纳斯塔西娅」だけは聞き取れた。ナーシャの正式な名前だ。  ナーシャは、あんなに感情豊かだった彼女らしくなく、やけに無表情だ。それに、ひと言も口をきいていない。何があったのか、どうして虎剣のパートナーとして戦っているのか、なぜ中国にいるのか、よくわからない。  わからないけど、俺はジワジワと湧き上がってくる喜びを噛み締めていた。&
last updateآخر تحديث : 2025-12-29
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第65話 エンディング

 それから五日後。  異例の早さでパスポートを発行してもらった俺は、リュックに着替えとか生活必需品とかを詰めるだけ詰めて、空港へと行った。  ノコについては、リュカに面倒を頼んだ。友達を頼るのは気が引けたけど、リュカは事情を知った上で、そういうことならと、快諾してくれた。通院の対応や、定期的に寄っては状態を確認するなど、日々の世話をしてくれる。ありがたい話である。  空港に着くと、すでにタチアナとオリガが待っていた。 「遅いです」  タチアナはむぅと頬をふくらませている。 「タニャ姉、カンナさん時間通りに来たよー。遅くないよ」  オリガがすかさずフォローを入れてくれたけど、タチアナは、もっと早くに来てほしかったのだろう。不機嫌そうな様子を緩めることはない。  なかなか気難しい子だな、と扱いに困っていると、ちょうどそこへチハヤさん達もやって来た。 「ああ、この子達が、ナーシャさんの妹の……」「タチアナです」「オリガ!」  温度差のある、二人の挨拶。  オリガとは仲良くやっていけそうだけど、タチアナはなかなか気難しいところがある。この先の旅は大丈夫だろうか、と心配になる。 「先方は何か文句言ってました?」「ええ、かなり。宴席とかも設けていてくれたみたいで、それらの予定を全て一から作り直しですから、だいぶ激怒しています」  そう言いつつ、チハヤさんは涼しげな顔をしている。 「なんか、だいぶ余裕ですね」「私、正直な話、中国って嫌いなんですよ。国家も、人民も。だから、迷惑かけてもあまり気にはならないです
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