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第41話 青木ヶ原樹海ダンジョン⑫

 俺もナーシャも、指一本動かすことが出来ずにいる。  ちょっとでも何かアクションを見せれば、その瞬間、このイワナガヒメはあっさり俺達の首をもぎ取るだろう。  そんな恐ろしさが漂っている。  いつの間にか空には暗雲が垂れ込め始めており、あたりは暗くなってきた。今にも雨が降ってきそうな空模様だ。 「なんじゃ、名乗らぬのか? それとも、名が無いのか?」  冗談めかして言ってから、クスクスとイワナガヒメは笑う。 「愉快愉快。うぬらの恐れが、手に取るようにわかるぞ」  きっと、カルマ業を殺したのも、この女だ。しかし、いったいどうやって首をねじ切ったのか、見当もつかない。一切姿を見せることなく、攻撃の影すら捉えさせず、カルマ業を一撃で葬った。  まさに化け物。 「さて、久々の現世じゃ。案内してもらおうかのう」  気が付けば、イワナガヒメは、俺達の目の前まで迫っていた。移動する姿が見えなかった。まるでワープしたかのように、一瞬で、距離を詰めてきた。 「うぬに決めた」  ナーシャの頬に手を触れながら、楽しそうに、朗らかに言う。  よせ。やめろ。  喉元まで声が出かかるも、余計なことを言えば、真っ先にイワナガヒメは俺のことを殺すのだと感じ、何も言えなくなる。  ナーシャもまた、ガタガタと震えながら、悲鳴を上げそうなのをこらえている様子だ。 「若者達をいじめるのも、それくらいにしていただきましょうか、姫」  そこへ、ゲンノウが現れた。 
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第42話 改変の時

 翌日。  俺はノコと一緒に、病院へ行った。  診察の予定はなかったが、ノコの発作が酷かったので、念のためにお医者さんに診てもらおうと思ってのことだった。  心なしか、病院は混雑している。待合室には多くの患者が詰め寄せており、座る場所を見つけるのもひと苦労、といった状況だ。  これはもう、一日がかりになることを覚悟したほうがいいな、と思った。 「お兄ちゃん、ごめんね。学校休んでまで……」「いいんだよ。ノコのためだ」  一応、俺達は父方の叔母に養われている、という形になっている。だけど、叔母は酷い人で、途中から俺達の面倒を放棄し始めた。いわく、「兄貴の子にかけるお金は無い」とのことだった。  形式上は保護者がいることになるので、行政に救いの手を求めようにも、俺達にはその資格が無いことになる。孤児として放り出されるよりも、ずっと過酷な状況だ。  それもこれも、全ては、親父が蒸発したせいである。  あいつが俺達や、母さんを見捨てて、行方をくらましたりしなければ、こんな苦しい思いをしなくて済んだんだ。  なのに、いまさら俺の前に現れて、挙げ句の果てには命まで奪おうとしてきた。 (どこまで行っても、クソ親父だな)  そんなことを考えていたから、表情が険しくなっていたのだろう。 「どうしたの、お兄ちゃん? 怖い顔してる……」  ノコに尋ねられて、俺は慌てて作り笑いを浮かべた。 「大丈夫だよ。ちょっと、昨日のダンジョンのことを思い出していたんだ」「危ないこと、あまりしな
last updateآخر تحديث : 2025-12-18
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第43話 反撃の狼煙

「あいつらをぶっ倒すわよ」  待ち合わせ場所のファミレスに着くなり、ナーシャはそんな物騒なことを言ってきた。 「は⁉」「このまま放っておいていいわけないでしょ。こっちは、色々とライバー仲間が――まあ、別に仲良くしていたわけじゃないけど、同じダンジョン配信をやっている人間が、大勢殺されたんだし、泣き寝入りなんてしてられないわよ」「いや……いやいやいや……ちょっと待って……」「待たない。もう準備は進めているわ。御刀重工が誇る私設戦闘部隊『ハーキュレス』を中心として、ゲンノウ討伐隊を編成する。すでに御刀重工より、全国各地のDライバーに招集をかけている。青木ヶ原樹海ダンジョンの時に負けないくらいのチームを編成して、倒しに行くわ」「そうじゃなくて、お前の親父さんとか、お袋さんとか、止めないのかよ。娘が死地に向かおうとしているのに、心配じゃないのか?」「止めるんだったら、私がDライバーになった時に、とうの昔に止めているわ。良くも悪くも、うちの両親は、私のことを娘と思っていないの」「それは……どういう……?」「実験体よ。パワードスーツの性能を調べるための」  良くも悪くも、という言い方をしたが、ナーシャの表情は沈んでいる。明らかに、両親が自分のことを道具としか扱っていないことに、不満を抱いている様子だ。 「酷すぎるだろ。自分の娘に対して、そんな扱い」「私のことはどうでもいいの。いま話をしたいのは、あなたもゲンノウ討伐隊に加わるのか、っていうこと」「もちろん、行くに決まってるだろ」「ふうん? 意外」「なんでだよ」「もっと葛藤するかと思っていた。相手が自分のお父さんなんだし」「俺やノコを捨てて蒸発した親父には、情なんてねーよ。それよりも、敵が強すぎて勝てるかわからない、っ
last updateآخر تحديث : 2025-12-18
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第44話 新宿ダンジョン攻略会議①

「なるほど、それで、私に声をかけてきた、というわけなんですね」  永田町にあるダンジョン探索庁の一角、薄汚れた会議室で、チハヤさんは俺達を迎え入れてくれた。  ダンジョン探索庁は新しい省庁である。  にもかかわらず、その建物は異様なまでに古い。使われなくなった場所を、ダンジョン探索庁に押しつけた、としか考えられない。この建物の古さを見るだけでも、日本政府がいかにダンジョン対策についてやる気が無いか、よくわかる。  もっとも、この日本が、国難に対して真剣に取り組まないのは、今に始まったことではないけれど。 「結論から聞かせてちょうだい。私達、私設部隊と、ダンジョン探索局による、共同攻略は、ありか無しか」「まず前提からおかしいですよ、それ。まるで、うちの局が新宿ダンジョン攻略の中心になるみたいな言い方をしているじゃないですか」「違うの?」「ニュースで見ませんでしたか。特設部隊の設置。SDST。新宿ダンジョン・スペシャルチーム。その軸となるのは、自衛隊かもしれません」「ありえないわ」「なぜ」「自衛隊の出動には縛りがあるでしょ。出動後も、色々と制約が課せられてくる。自由にダンジョン攻略というわけにはいかないわよ」「だから、私達ダンジョン探索局が、軸になってくると?」「そう読んで、ここへ来たんだけど、見当違いだったかしら」「さあ。まだ、何も動きが無いですから」  ちょうど、その時、レミさんが会議室の中に飛び込んできた。 「課長! 大変だよ! ボクら第一課のほうで、SDSTの指揮を執れ、だってさ! たった今、そんな連絡が入ったみたいだよ!」  ナーシャの読み通りに事態が動き始めたことで、チハヤさんは目を丸くしている。まさか、本当に自分達がSDSTを指揮することになるとは思っていなかったのだろう。
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第45話 新宿ダンジョン攻略会議②

「わしが六角稲妻じゃ!」  その爺さんは、自己紹介のタイミングになった途端、建物全体を吹き飛ばすのではないかと思うほどの大音声で、自分の名前を名乗った。  ここは、神奈川にある、御刀重工の本社ビルの会議室。そこで、俺達は、私設戦闘部隊ハーキュレスの隊長と会うことになった。  そしたら、ものすごく、濃い爺さんだった。  身長は190センチ近くあるだろうか。半袖の迷彩服からは、ムキムキのマッスルな腕が飛び出しており、全身これ筋肉の塊。それでいて、容姿は画家のダリそっくりで、ピンと跳ねた髭が特徴的という、なんとも、一度見たら忘れられないインパクトを残す爺さんだ。 「ハーキュレスの隊長をしておる! これからよろしく頼むぞ!」「あ、え、あの、はい」  すっかりチハヤさんは気圧されている。 「それで、えっと、お話ししたいことがありまして――」「アナスタシア嬢から聞いておる! 新宿ダンジョン攻略のための作戦を練ろうというのじゃな!」「は、はい、では、さっそく……」  チハヤさんはテーブルの上に、新宿区の地図を広げた。  ちなみに、この場に集まっているのは、チハヤさんや稲妻爺さん以外に、ナーシャ、シュリさん、レミさん、俺、といった感じで、これまでに出会ったメンバーは勢揃いといった状況だ。  その中で、主にチハヤさんと稲妻爺さんで話を進めていく。 「結論から言おう! ツインタワーとわしは呼んでおるが、この二つの塔を背後から奇襲する!」「え。で、ですが、敵だってそれを想定しているんじゃないですか?」「陽動だ!」「ど、どういうことですか?」「部隊を二つに分ける! 四ツ谷
last updateآخر تحديث : 2025-12-19
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第46話 《配信チャット》(木南カンナ)

《:マジで行く気かよ》 《:え、ていうか、これガチ? ガチで?》 《:配信してる場合じゃないだろ》 《:新宿って、いま、自衛隊が封鎖してて入れないんじゃなかったっけ》 《:お、カンナが何か言ってる》 《:まるで特攻隊だな》 《:やべえ、泣けてきた……死にに行くようなもんじゃん……俺達のために、戦う気かよ……》 《:おーい、東京にいるやついる? 俺埼玉だけど、逃げたほうがいいかな》 《:関東圏のやつは避難したほうがいいだろ》 《キリク:カンナ、もうやめろ! 相手はダンジョンを生み出すような存在だぞ! お前が勝てるような敵じゃないって!》 《:お、出た、キリク》 《:ほんとガチファンだよな、この人》 《:88888》 《:案外、最期の言葉は短かったな》 《:これから戦場へ行くのに、長々と喋ってられないだろ》 《キリク:せめて配信をやめろ! 敵に動きが筒抜けになってるぞ!》 《:キリクってさ、実は女なんじゃね》 《:あー、わかるわ。カンナのことが好きだったりしてな》 《キリク:呑気なこと言ってる場合じゃねーだろ!》 《:動揺してる? 図星か?》 《:俺、鹿児島だから、高みの見物》 《:おお、動き出した》
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第47話 新宿ダンジョン①

 四ツ谷駅周辺は、自衛隊が新宿区との境に防御壁を張っていて、物々しい雰囲気になっている。誰一人、新宿ダンジョンの中に入れまい、あるいは新宿ダンジョンから何者も出すまい、という意思を感じる。  そんな中に、稲妻爺さんはハーキュレス部隊を率いて、ズカズカと入っていく。まったく物怖じしていない。 「おい、止まれ! なんだ、あんたらは!」「わしらはSDSTじゃ!」「身分を証明できるか!」「これをよく見よ!」  そう言って、稲妻爺さんは首から提げているネームタグを見せてきた。そこにはSDSTの文字が刻まれている。他のハーキュレスの面々も同様に、タグを見せた。  俺も慌てて、自分のネームタグを見せる。  タグについては話が通っているのだろう。俺達を呼び止めた自衛隊員は、半信半疑な様子でありながらも、脇へ届いて、俺達のことを通してくれた。 「門を開けろ!」  簡易ではありながらも、新宿区との境界線には壁が設置されており、それが多少の安心感をもたらしてくれている。  しかし、門が開けられた途端、禍々しい瘴気のようなものが流れ出てきた。 「なん……だよ、これ」  新宿ダンジョンは、異様なまでに変貌を遂げている。  まるでダリの絵画のように、シュールなまでにグネグネと歪んだ建物群。ダルマのような形になっているビルもあれば、ドロドロに溶けたようになっているビルもある。  俺達が新宿ダンジョンに足を踏み入れると、自衛隊は即座に門を閉めた。  これで、完全に死地に入ったことになる。  あらためて、俺はハーキュレス部隊のほうを見る。
last updateآخر تحديث : 2025-12-20
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第48話 新宿ダンジョン②

「駆け抜けるのじゃ! あれを相手にしていたら、銃弾がいくらあっても足りぬ!」  稲妻爺さんの号令に合わせて、全員陣形を解き、走り出した。  俺はほんの一瞬出遅れた。その間に、ハーキュレス部隊はあっという間にサイクロプスの足元を通過し、相手の裏側に回り込んでいる。  サイクロプスは三体。  みんな、一つ目で、俺のほうを見つめてきている。 「やべ、ターゲット集中かよ!」  俺が走り出すのと、サイクロプスの一体が拳を振り上げるのは、ほぼ同時だった。  ゴウ! と風を巻き、巨人の拳が迫ってくる。  あんなのにぶん殴られたら、ひとたまりもない。  かと言って、こんな場所で無駄にスキルを使うわけにもいかない。 「うおおおお!」  俺はスライディングした。  頭上を、巨大な拳がゴオンと過ぎ去ってゆく。  すぐに立ち上がり、サイクロプスの足元、股の下を通過する。  グオオオオオン!  凄まじい雄叫びを上げて、サイクロプスは振り返りざまに、地面へと叩きつける渾身のパンチを放ってきた。  間一髪、相手のパンチは俺には届かず、無駄にアスファルトを破壊し、大きな穴を開けるだけにとどまった。  三体のサイクロプスが、向き直り、俺のことを追いかけてくる。 「走れ! 気合を入れて走れ!」  稲妻爺さんのかけ声に応えて、後で筋肉痛になろうと知ったことか、とばかりに、俺は全力で両手両足を振って駆けてゆく。
last updateآخر تحديث : 2025-12-21
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第49話 新宿ダンジョン③

「隊長、ここは我々に任せて、カンナ君と一緒に行ってください」  アビゲイルさんがそう言って、他のハーキュレス隊員達とともに、イワナガヒメの前に立ちはだかった。 「何を言うか! 家族同然のお前らを置いて、わしだけ行けるか!」「会話をしている時間が惜しいです。敵は強い。判断の遅れは、全滅に繋がります」  口早に言い放ち、アビゲイルさんは稲妻爺さんをキッと睨む。  その決死の覚悟を前にして、稲妻爺さんも、俺も、何も言えなくなった。 「……死ぬな!」  それだけ言って、稲妻爺さんは俺の腕を引き、走り出した。  俺は、アビゲイルさん達を捨て駒とすることにためらい、少しもつれるようにしながら稲妻爺さんと併走していたが、やがて覚悟を決めて全力で駆け始める。  背後から激しい戦闘音が聞こえてきた。  そして、次々と聞こえてくる悲鳴。  涙がこぼれる。誰かを犠牲にしてまで得る勝利に、果たして価値はあるのだろうか。だけど、ここで俺まで倒れたら、敵を倒す目処は立たなくなってしまう。  俺と稲妻爺さんは、まっすぐ目標地点へ向かって突っ込んでいく。  その目標地点とは――かつて存在した、地下鉄。四谷三丁目の駅。  ほとんど賭けに近かった。もしも入り口が潰されていたら、別の手段を考えるしかなかった。  しかし、奇跡的に、四谷三丁目の駅入り口は残されていた。  俺達は階段を駆け下り、地下へと入っていく。明かりは無いから、懐中電灯を点けて突き進む。  やがて、ホームに出た。
last updateآخر تحديث : 2025-12-21
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第50話 新宿ダンジョン④

 そこから先は、とにかく一直線だった。  地下鉄の線路上を駆けながら、時には障害物を「ダンジョンクリエイト」でどかして、道を切り開いていく。  幸い、モンスターと遭遇することは稀だった。  現れても、ゴブリンのような、俺でもなんとか倒せる相手だった。 「せやあ!」  日本刀でゴブリンを斬り裂いた後、俺は急にこの刀のことが気になり、銘を確認してみた。  「梅洲」と書いてある。 《キリク氏、この刀について、わかるか?》  俺は、スマホのカメラで、刀の銘のところを写して、キリク氏にダイレクトメッセージを送った。物知りかつ調査能力の高いキリク氏なら、何かわかるだろう。  思いのほか、早く返事は返ってきた。 《キリク:妖刀だ。伝説の。読み方は「バイス」。刀鍛冶の名前だな。それを手にする人間に無惨な死を与える代わりに、生きている間は無類の強さを発揮する、っていう呪われた刀だよ》 「マジか……!」  無惨な死、は嫌すぎる。TAKUさんの最期を思い出してしまう。  だけど、背に腹はかえられない。呪われた刀だろうと何であろうと、これから先の戦いには欠かせない武器だ。  上等じゃないか、妖刀バイス。使いこなしてやるよ。 《キリク:ひとつ気になってることがあるんだ》 《なんだ?》 《キリク:サイクロプスと戦った時に、そのバイスを振ったら、「ダンジョンクリエイト」が発動しただろ。あれについて考察していたんだ》 《何
last updateآخر تحديث : 2025-12-22
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