All Chapters of 悪魔祓い(デビルブレイカー): Chapter 1 - Chapter 10

10 Chapters

第1話 

「ハァ…ハァ…。くそっ!…もうダメだっ!くそぉぉぉお!!」 月が真っ赤に染まった夜 少年は何者かに足を攻撃され肉がエグれた足を引きずって自分の国から逃げようとしていた。 少年の国(キュアリーハート)は昨日までは人々は平和で魔法や物にあふれた何不自由のない生活を送っていた。 そう、昨日までは… どこの国よりも平和だったこの国は0時に突然真っ赤に染まった月の光がこの国を一瞬で覆い尽くした。 光によって国の人々の大半がこの世の者とは思えない化け物のような姿になった。 その化け物はまるで人間とは思えないくらい強く魔力が高かった。 運良く変わらなかった残りの人間は化け物に対抗するために魔法で戦おうとするが全く歯が立たず、化け物は発達した獣の様な爪で人間の身体をズタズタに切り裂いて殺し、更に人の心臓を食べるとより力が増していった。 人々はなす術なく殺されていき人間の血で真っ赤に染まったキュアリーハートは夜の赤い月と共に輝いていた。 少年はそんな地獄の様な国に変わってしまったキュアリーハートから逃げようと化け物にエグられた足をひきずって逃げる。 「もう…ダメだ。俺も…俺も殺されるんだ。」 近くには化け物が十数体後ろから少年に迫ってくる。 少年はとうとう限界らしく、その場に倒れてしまった。 化け物達はそれを見て爪を立てながら一斉に襲いかかり、爪が少年に当たろうとした瞬間。 バチィィィッ! 少年から突如黒い閃光が放たれ化け物達はあたりに吹き飛ばされた。 「…あれ?死んでない…」 何が起こったか分からない少年。 そして更にどこかから声が聞こえた。 (ふぃー、あっぶなかったぜ!) 「あれ、今声が…」 (んぁ?あぁ、こっちだ。) こっちだと言われても周りには誰もいないので少年はあたりを見渡す。 (けっ!頭の鈍いガキめ!ここだ!お前ん中だ!) 「え?僕の…中?」 少年はよくその声を聞いてみると確かに自分の中から声が聞こえてくる感じがした。 (そうだ!ったく気づくのおせーんだよ!って言ってる場合じゃねーな。おい!クソガキ!今から言うこと良く聞け!) 「え、何?」 少年が聞き返すと吹っ飛んでいった化け物が全員立ち上がり、再びこっちに迫ってきた。 (ちっ、やっぱ衝撃じゃダメか。お
last updateLast Updated : 2025-12-12
Read more

第2話 

10年後、人々は悲劇の国キュアリーハートをこう呼んだ。 赤い地獄(レッドヘル)と。 今では化け物が住処としているらしく人間の立ち入りを禁止した。 化け物は人間の心臓と目が好きらしくそれを取って食べるので人は化け物の事をまるで悪魔のようだと言う。 そして人間の心臓を求めて他の国へ移動する悪魔もいる。 しかしこの世にはそんな悪魔に対抗する力があり、それを人々はこう呼んだ。 ー悪魔祓い(デビルブレイカー)と。 「ねぇ、聞いた?隣の国でまた悪魔の被害があったらしいわよ?」 「またなの?もう何度目なの?」 「ほんと、いい加減やめてほしいよねー。どうせ悪魔なんて噂話でしょ?」 学校帰りの女子高生たち。 ここはあのレッドヘルからかなり東の方に離れた静かな町(クレーアタウン)。 他の国に比べて悪魔の被害が全くなく穏やかな田舎町である。 この町の人々は悪魔の被害にあわないせいか悪魔なんて噂話、犯罪者が増えただけだ。っというのがこの町の人たちの本音だった。 「ねぇ?そう思うでしょ、ミーナ?」 「え?あたし?」 友達の1人がいきなりミーナと呼ばれた大人しそうな女の子に聞いてみた。 しかし、 「あたしは…いると思うかな、悪魔?」 ミーナと呼ばれた女の子だけは他の子とは違う答えが出たのでその友達は反発した。 「はあ?なんでいると思うの?」 「え、なんでって言われても…その…だってさ、よくちっちゃい頃よく絵本で読んでもらってなかった?悪いことすると悪魔になるとか、あと夜に子供だけで遊んでたら悪魔に…」 「あははははは!!」 ミーナの子供のような発言に他の友達は大声で笑った。 「全くミーナは可愛いわね!そんなの大人が考えたおとぎ話に決まってるじゃん!」 「ほんと!そのあと王子様が悪い悪魔を正しい心でやっつけましたとさっ、ってやつでしょ?ちょーウケる終わり方じゃん!」 「やっぱミーナは面白いわ」 「でも悪魔は実際に…」 「はいはい、ミーナもういいよ。あー面白かった。ミーナのおかげで気分も良くなったしこれから遊びに行かない?」 「おお、いいねぇ。行こ行こ!」 「ミーナも行こ!」 「え、あ、うん!」 (悪魔は本当にいると思うんだけどなー。) ミーナの悪魔話によって気分が良
last updateLast Updated : 2025-12-12
Read more

第3話 

この世界には悪魔がいました。 悪魔は夜にしか活動出来ないが生まれつき力が強く、人の心臓または目を好んで毎晩人を襲いました。 そんなある日1人の男が悪魔をこらしめました。 その男はこの国の王子様…否 この世で一番、悪魔に近くそして心無い男だった。 「…!はぁ…はぁ……何、今の夢。」 確か小さい頃読んでた絵本の内容だったけどすごく怖かったような… 「おはよぅ…」 「おはようミーナ。もう体大丈夫なの?」 「体?そういえば私、気絶してしまったんだね。全然覚えてないな」 昨日玄関前で気絶してからミーナの母親はミーナを家の中まで運びベットに寝かせたのだった。 一度目を覚ましたが疲れがたまっていたのかすぐに寝てしまったらしい。 ミーナは朝起きてから学校に行く準備をし、朝ごはんを食べ家を出た。 「行ってきます…」 「行ってらっしゃい。…どうしたのミーナ?元気ないわよ?」 「そ、そんなことないよ!じゃ、行ってきまーす!」 ミーナは昨日殺された友達は絶対来ないものだと思うと不安で仕方なかった。 まだ17歳のミーナには辛くそして悲しい現実だった。 学校に着いてクラスに行っても案の定友達の席には誰も座っていない。 やっぱりあの時… キーンコーンカーンコーン 「はーい、じゃあ席につきなさーい」 私がカバンから教科書を机に移してるとタイミングよくチャイムがなりそれと同時に担任の先生が入ってくる。 「はい、それでは朝のホームルームから始めたいと思うのですが…その前に皆さんに大切な話があります。」 すると先生の顔がいかにも深刻そうな顔に変わった。 きっと友達の事だろうなぁ。 「…実は今日3人ほど学校に来ていませんが昨夜その親御さんから行方不明の連絡がありました。」 やっぱりシェスカ達の事だったんだ… ミーナはそう思うととても心が痛かった。 別にミーナが悪いわけではないが自分だけが生き延びて学校に来てるのはおかしいと思ったからです。 「確かシェスカさん達はミーナとよく一緒にいましたが…何か心当たりはありますか?」 「……」 「ミーナ…さん?」 「実は…シェスカ達は…」 ガラッ ミーナが言おうとした時、急に教室の扉が開いた。 扉を開けた人物にミーナは目を疑った
last updateLast Updated : 2025-12-12
Read more

第4話 

あの後グレンは一人で帰れそうにないミーナを家まで送り届け、今はこの町のはずれにある裏山みたいなところでパンをかじっていた。 (人の血を見た後によく飯が食えるな。) すると周りには誰もいないはずなのにどこからか声がした。 「…お前に言われたくない。」 誰もいない空間に対し返事をするグレン。端から見ると独り言を喋ってるかのようだった。 (ハハハ!それは違いねえな!てか昨日もそうだったがあの女、ミーナだったか?お前にしちゃ珍しく一人の女をやけに守ってたようだが何かあんのか?) 「…いや、別にない。ただあの女は俺に剣術を教えてくれた俺の師匠の娘だからだ。」 (あー、あのおっさんか…って、あのおっさん子供いたのか!?) びっくりしたのか声の主は思わず大声を出してしまったが周りに聞こえてはいけないためにグレンは胸を少し強めに殴った。 (あぁ、すまねえ。…それでお前がわざわざ一人の人間を助けるなんて随分優しいじゃねえか?) 「俺も一人の人間を助けるつもりなんてなかった。人間を助けたって得することはないからな。」 そう言うとグレンは手に持っていたパンを再びかじり始めるとそれ以上喋らなかった。 私は…二度も親友を失った… なんで?…なんでこんなことになるの? なんで不幸なことがこんな立て続けに起こるの?教えて?お父さんーー あれからミーナは学校でのショックが強すぎたため、帰ってきてからはずっと部屋にこもっていた。 母親が部屋越しから声をかけても返事をせず只々泣いていた。 昔撮ったお母さんとミーナそしてお父さんらしき人物が笑顔で手を繋いでいる写真を手に持って。 そして知らない間にミーナは泣き疲れて手に写真を持ったまま眠ってしまった。 気付いたらそこは真っ暗な空間に私はいた。 ここは、夢の中かな? けど何か不思議な感覚。 夢の中のはずなのに夢じゃないみたいな…これが夢なのかな? ミーナはよく分からないことをぶつぶつ言いながらその真っ暗な空間を歩いていく。 歩いて行くと真っ暗な空間から一人の男性が現れた。 その男性はグレンで黒いローブを着ていたが現実世界のグレンとは違い、黒髪で優しそうな顔をしていた。 「あなたは…グレンなの?」 朝に見たグレンとは全く異なる姿だったため戸惑いながら聞
last updateLast Updated : 2025-12-12
Read more

第4話 ②

「お兄ちゃん!助けてー!」 「待ってろ!すぐ助ける!…くそっ、騎士団より悪魔が多すぎる…」 理由は分からないが突如現れた悪魔の大群は町に現れ、たくさんの人々を殺戮していた。 俺はちょうど騎士団の仕事でこの町にいたので仲間と共に悪魔に対抗していた。 大半の悪魔は倒したはずなのだがどういう訳か悪魔は増える一方でエバルフ達は苦戦していた。 その目の前には妹が悪魔に取り囲まれていた。 「エバルフさん!悪魔が多すぎて我々じゃとても…」 「くそっ、団長がいればいいんだが今あの人は他の任務だからな。どうすれば…」 エバルフが悩んでると妹を囲んでいた悪魔が妹を切り刻もうと爪を振り下ろしたその時。 グサッ… 何かが斬られた音がした。 これは妹が斬られた音ではなく、悪魔が斬られた音でその悪魔は斬られた背中を押さえながら倒れてしまった。 悪魔を斬ったのは黒いローブを身にまとっていて顔はフードを被っていたのでよく見えないがどことなくグレンに似ていた。 周りにいた悪魔は仲間が斬られた事によってこのローブの男を敵と判断した。 そして爪を伸ばして襲いかかった。 しかし、その男は目に見えない速さで悪魔を斬りまくっていった。 そして男が目で判断できる速さになった時には悪魔達の体から切り傷が出てきて血を吹き出しながら倒れた。 それを見たエバルフは妹が助かったと思ってホッとした。 「よかった。妹は無事に助かっ…」 エバルフは目の前の状況を理解するのに少し遅れたがそれに気づいた時彼は狂ったように発狂した。 「ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」 そこには悪魔の死体の中に妹の死体まで混じっていたからだ。 「お気を確かに、エバルフさん!…なんて事を…」 横にいた部下の男はエバルフの妹を見てから黒いローブの男を睨みつけた。 黒いローブの男は悪魔と一緒に妹まで斬ったのだ。 しかし、謝罪もせずにその場を立ち去ろうとした。 「…待てよ。」 エバルフはうつむいているが地面につけた手からは怒りで震えているのがわかった。 立ち去ろうとするローブの男を呼び止めたると男は言った。 「…何を怒っている?俺の射程距離にコレがいただけだ。運が悪い。」 「な…に…」 「そんな睨むな。助けれなかったのは
last updateLast Updated : 2025-12-12
Read more

第4話 ③

「エバルフさんの悪魔化が…解けたぞー!」 「「うぉぉぉ!!でかしたぞお嬢ちゃん!!」」 エバルフの悪魔化が解けたことで部下たちは喜び叫んだ。 グレンはミーナがエバルフの悪魔化を止めれた事を未だ信じられないのか唖然としていた。 「信じられんな…ただの人間が悪魔化を阻止するなど…」 (まったくだ…てめえですら悪魔化を阻止できた事ねえのによぉ) グレンの悪魔もグレンと同じくミーナの行動を感心した。 「…何てことだ…あの人間の悪魔化を…」 悔しそうな顔をしながらブツブツ独り言のように喋るロフィス。 そして一気に顔の表情を強面に変えて。 「よくも俺達の計画を…3年かけたこの計画を無駄にしやがったな…許さん…許さんぞぉぉぉ!人間どもぉぉぉ!!!」 ロフィスの声の大きさに全員再び戦闘体制に入ろうとした時。 「…!?…ガァッ!…」 ロフィスの指先から出た一筋の光線がエバルフの胸を貫き、エバルフの体は地面に倒れこんだ。 「エバルフさん!おい、ロフィス!いい加減にしろてめぇ!」 「いい加減にしろだと?こっちのセリフだクソ人間…。3年だぞ…こいつを悪魔化させんのにどれだけ苦労したか…許さんぞ。お前ら全員皆殺しにしてやるよ!」 ロフィスの腕と顔が変形し始めた。 黒い体は普通の悪魔と同じだがロフィスの変異は普通の悪魔と違い人間の面影を残したまま腕と顔が黒く変異し、髪は茶髪のままだった。 「あの人も悪魔の姿に…」 「落ち着けミーナ。危険だから後ろにいてろ。」 その姿があの時のシェスカと重なって見えたのかミーナは怯えていたがグレンに言われてエバルフの部下達の所に移動した。 そしてグレンはロフィスの方に再び顔を向け。 「…とうとう本性を表したな…」 「殺してやるよ…この姿にさせた事、後悔するがいい!」 まず最初に動いたのはロフィスだった。 ロフィスの怒りは極限状態なのが周りにも伝わってきて戦ってもいない部下達の何人かは反射的に一歩下がった。 ロフィスの拳がグレンの顔面を狙ってくるとグレンは大剣の剣脊でそれを受け止めた。 キィィィン!!! 金属同士がぶつかる音が鳴り響く。 「(こいつの拳は金属類に匹敵するのか!?大剣でガードしたのにビクともしねぇ!)」 しかしロフィスはグレンに考え
last updateLast Updated : 2025-12-12
Read more

第5話 

「…ふわぁーーー…今日はなんだか疲れたなー。」 眠さで大きなあくびをするミーナ。 ロフィスの一件の後、グレンとミーナは町の外れにある綺麗な水辺の近くに寝泊まりすることにした。 「けどグレンの空間能力はすごいね。なんでも収納可能じゃん。」 テントや寝泊まりするために必要な道具はグレンの空間能力のポケットから引き出した。 「…そういや、エバルフさんが言ってた事ってほんとかな?」 ミーナはエバルフ達と別れる際に、エバルフからこんな事を聞いた。 昼間 ロフィスを倒した後、エバルフ達はグレン達の方に向かって一列に整列した。 「今回の件に関しては、紅の悪魔祓いの協力で獄魔の討伐に見事成功した。感謝する。それと、お嬢ちゃん。…ありがとう、君のおかげで騎士団の誇りを思い出せた。」 「全隊、礼!!」 そしてエバルフの号令でエバルフと部下達は全員揃って頭を下げた。 「俺を捕まえなくていいのか?ずっと狙ってたんだろ?」 「まさか、今日俺たちの命を守ってくれた恩人を捕まえるわけないだろう。…では、俺は今日の事を騎士団の団長に報告しなければならんからここで失礼する。」 エバルフ達は去ろうとしたがエバルフは最後に振り返ってからこう言った。 「一応言うが団長には気をつけろよ。あの方はお前みたいな強い奴と戦うのが好きだから会えば必ず戦いになる。そうなったら流石のお前も命はないぞ。」 それを最後に言い残し、部下を引き連れて去っていった。 「………命はないぞ…っていう事はグレンより強いのかな?」 悪魔を余裕で倒すグレンに勝つかもしれない人なんて相当強いに決まってる。 「だとしたらグレンとその団長は近づけてはいけないわ。…そういえばグレンは裏で何してるんだろ?」 ミーナはその事を伝えるためにテントの裏に顔を出してみた。 そこには何やら坐禅を組みながら目を瞑り、魔法書のような物を開いていた。 その周りを囲む様に黒い魔法陣が地面に展開され、そこでひたすら呪文のような物をブツブツと唱えていた。 ミーナはよく聞き取れないので気づかれないようにそーっと近づいて聞いた。 「(何だろう…?こんなに近くで聞いてるのに何言ってるのかさっぱり…)」 ミーナはここで邪魔するのもグレンに悪いと思ったのか終わるまでそばで待つ事にし
last updateLast Updated : 2025-12-16
Read more

第5話 ②

今からおよそ10年前、ある国の悲劇によって世界中を恐怖させた。 その国は、赤い地獄ーレッドヘル。 昔は世界で一番平和で活気のある国だったが10年前の事件によって人はこの国に立ち入る事を禁止された。 そう、人はいない。 昔の事件の影響によって太陽は隠れこの国は年中黒い雲に覆われ冷たい風が街を吹き抜ける。 レッドヘルの中心部には一つだけ壊れていない小さめの建造物があり、その建造物はこの国の地下に繋がっている。 その地下には世間には知られていない場所があった。 地下の悪魔の住処ー通称(悪魔界) そこにはたくさんの悪魔が生存していて地下には建物や店が出回っていた。 そこにも人間と同じようにトップの悪魔が存在しその者達が集う場所があった。 その部屋には10人程度の悪魔達が椅子に座っていてそのうちの1人の男が言った。 「おい、聞いたかよ?あのロフィスがやられたらしいぞ?」 その男は逆立った黒髪に目がつり上がっている悪魔だった。 その発言に今度は手足の細いスタイリッシュな体型に金の長髪にウェーブが掛かった大人女性が返答した。 「らしいわね。あの予知能力は私達にはない存在だったから結構便利だっだのに…残念だわ。」 その女性はロフィスではなく、ロフィスの能力にしか興味がないようだった。 「なに呑気な事言ってやがんだ。ロフィスが殺られたって事はよぉ、あの悪魔祓いとか言う人間に負けたってことだろーが!」 逆立った髪の男が金髪の女性を睨みつけ怒鳴った。 それに対して女性はクスッと笑い。 「全く、まだまだ可愛い"憤怒"ね。まるで怒鳴るのがカッコ良いと思ってるような学生の反抗期のようね。」 「うっせーな"色欲"のくそババァ。てめえみてえなバカ女は男のケツでも追っかけてろ!」 憤怒と言われた男は凄みを利かしながら言った。 すると女性から笑顔は消え、無表情の顔になった。 ガタァンッ!! 「……は?あんた喧嘩売ってんの?」 椅子から立ち上がると黒いオーラが体の周りから発生し、それを見て憤怒の男が下品に笑いながら挑発する。 「ハッ!やるなら掛かって来いよ!このブスが!」 「このガキ……一回死ななきゃ分かんないのかな…?」 2人が攻撃態勢に入ろうとしたその時。 バァァァン!!! 机を思
last updateLast Updated : 2025-12-16
Read more

第6話 西の大国イフリーク

あれから数日後、グレンとミーナは旅を続けようやく大国イフリークに到着した。 この世界には東西南北の四つの大国がありここは西の大国で他の4つの国に比べると魔法を主とした文化が発展していた。 「わぁ~!みてグレン!建物があんなにも大きいよ!」 初めて見る都会の建物が珍しいのかミーナのテンションはいつも以上に高かった。 そんなミーナにグレンは呆れた様にため息をついた。 「…さっさとこっちこい。入国の手続きするぞ。」 この国では他国からのテロの防止の為か入国する際に身元と持ち物点検を兼ねた手続きが数カ所ある国の出入り口で行われていた。 もちろん勝手に不法入国すれば国中に警報が鳴り渡りこの国の守護神である魔法騎士団が一斉に出動する事態になり、問答無用で逮捕される。 魔法騎士団の強さは常人を遥かに凌ぐ存在と知っているためかこの国では犯罪件数はほぼ0に近かった。 グレンは入り口まで行くと係りの人に自身のパスポートを出してくださいと言われた。 「おい、お前のパスポートも出せ。この国ではお前の分も必要なんだよ。」 「ちょっ、ちょっと待って…えーっと…」 ミーナは自分の整理整頓されていない鞄をあさりだすが中々パスポートが見つからないためグレンは眉をピクピク震わせていた。 「なんだその汚い鞄は…ったく。すまんが俺のだけでも大丈夫か?急いでるんで。」 グレンは見るに見かねたのか係りの人に自分のだけでいいかたずねた。 「分かりました。今回は特別に1人だけのパスポートのみで入国を許可しましょう。ではこちらをお通り下さい。」 係りの人に案内されるとグレンはそのまま通過するがミーナはまだ鞄の中からパスポートを出そうと探しながら歩いた。 「あーー!!!」 するとミーナは急に大声を出したのでグレンと周りにいる他の人たちは全員こっちを振り返った。 「ど、どうした!?」 「見つかった…」 「え?」 「良かった~!パスポート見つかって。」 どーやらミーナは汚い鞄の中からパスポートを今頃見つけ出して喜んでいた。 グレンとその場にいる人全員はこれを見て同時にこう思った。 「(ややこしいからやめろって。)」 2人は入国を許可されたのでこの国の入り口を通り、大通りに出た。 その通りには普通の町では買えない木の
last updateLast Updated : 2025-12-16
Read more

第7話

宝石店を出てからミーナはカレンに案内されながら色んな店に寄り、手には買った服や旅に必要な生活必需品などが入った袋を持っている。重くなった荷物を持っているミーナを見て微笑ましく思ったカレン。笑いながらミーナに声をかけた。「うふふ、いっぱい買い物できて良かったね。ミーナちゃん。」「はい!本当にありがとうございます、カレンさん。」「いいのよ。仕事の休みは私1人で買い物してるからあなたみたいな女の子と買い物できて楽しかったわ。」「えへへっ。そういえばカレンさんは何の仕事してるんですか?」「私?私は……」「おーい、カレーン!」カレンが答えようとした時、2人の後ろの方からカレンを呼ぶ声が聞こえてきた。誰だろうと振り返ると手を振りながらやってくるのは男の人だった。一瞬彼氏かなと思うミーナだが数秒後その人が誰なのか一瞬で分かった。その人とは。「え、エバルフさん!?」この人はこの前までグレンを殺そうとしていた騎士団の1人のエバルフさんだった。向こうもミーナとカレンが一緒にいる事に驚いていた。「君は、紅の悪魔祓いと一緒にいたお嬢ちゃんじゃないか!?なぜカレンと?」「あら、あなた達2人とも知り合いだったの?」「ああ。この子はこの前団長に報告した悪魔祓いと一緒に旅してる子だ。…この子がいるって事はまさかこの国に紅の悪魔祓いがいるのか?」ミーナを見てグレンの事を思い出したエバルフ。焦っているのか額から汗が流れ落ちていた。それに気づいたミーナはエバルフを気遣うように返した。「大丈夫ですよ。この国に来てからグレンと私は別々に行動してるますから。」「ホッ……そうかそうか。じゃああいつは今いないんだね?」一瞬だけ安心したため息を吐くエバルフを見てカレンは笑いながら馬鹿にするように。「あはははっ!何ビビってるのよ。ほんっとに情けないわねぇ。」「うっ、うるさい!お前はあの化け物を見てないからそう言えるんだ!」「あんたと一緒にしないで欲しいわね。どんな敵がいても私は負けずに挑むわ。あんたと違ってね!」「何だとー!」2人が言い争ってるとそこに割り込むようにミーナが口を出した。「あのー。カレンさんの仕事ってもしかして…魔法騎士団の騎士ですか?」「ええ、そうよ。ちなみに私は10騎士長でこの人(エバルフ)よりも上の位よ。」指を差しながらエバルフを見
last updateLast Updated : 2025-12-18
Read more
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status