All Chapters of 悪魔祓い(デビルブレイカー): Chapter 11 - Chapter 20

69 Chapters

第8話 神級魔導士と悪魔祓い

南地区 黒いヒビ割れの悪魔が言った通り、この地区にも悪魔がいた。 その中でも黒いスーツを着たスマートな体型の悪魔は騎士団の攻撃を喰らっても倒れることはなく、街を容赦なく破壊していく。 「くそっ!もっと魔砲弾を撃てー!」 「だめです!もう弾が残り少ない!」 「くそっ!こんな時に12騎士長の1から9長は他の国に出張とは…エバルフとカレンはまだ戻ってこないのか!?」 「それが…未だに連絡が取れません!」 「くそっ!仕方がない!俺がやってやる!」 先陣を切って前に出たのはエバルフとカレンと同じ称号を持つ男。 11騎士長(イレブン・ナイツ) サージス・デルモンテ 見た目は黒髪に白髪が生えかかった40手前の男だが体力が自慢の筋肉質な男だ。 「11騎士長!1人で大丈夫でしょうか!?」 「お前らが出てきたら邪魔だ!砲撃手以外の騎士は周りの雑魚共をやれ!俺はあの黒スーツの悪魔をやる!」 サージスは他の騎士達に指示を与え、自分は黒スーツの悪魔の悪魔の方へと行った。 「1人でいいとは随分余裕だな。」 「ふんっ!俺は何年も騎士団やってきた男だ!お前みたいな貧弱な悪魔一捻りにしてくれるわ!」 サージスは手から自分の武器である1m?程ある巨大なサーベルを出した。 「まあいい。俺はこの国を潰す事が目的だが暇つぶしついでにお前と遊んでやるよ。」 「遊んでられる余裕があればなっ!」 サージスはサーベルを縦に振るとその威力で地面が割れた。 悪魔はそれをジャンプでかわし、空中に浮いた状態でその威力を見た。 「なるほど、身体能力を上げる魔法か。確かに人間にしては筋力だけはある様だな。」 悪魔は浮いた状態から一気に急降下し、サージスの胸に向かって鋭い槍状の魔力の塊を投げつけた。 「筋力だけと思うな悪魔め!」 そう言ってサージスは地面を蹴ると、その勢いで空を飛び上がった。 飛んでる最中に魔力の槍をサーベルではじいて避け、そのままの勢いで悪魔を斬りつけようとする。 しかし、黒スーツの男は浮いた状態で体を回旋させながらサーベルをかわす。 「ちっ!すばしっこい悪魔め!」 避けられたのが悔しいのかサージスは舌打ちをすると魔法でフワフワと落ちて地面に戻る。 「なるほど。とんでもない筋肉だな、地面を蹴る
last updateLast Updated : 2025-12-18
Read more

第8話 神級魔導士と悪魔祓い②

魔力を貯めていた悪魔の手が突然刃物で斬られたように落ちた。 「なにっ?」 すると今度は周囲にいた悪魔達がバタバタと倒れていき、悪魔の心臓部分には深い切り傷があった。 「まさかっ、俺以外の悪魔がほとんど全滅だと!?」 騎士達はいきなりの悪魔の全滅に戸惑ったがそれが誰の仕業かすぐに分かった。 「これは、もしかして…」 「ああ、間違いない。この魔力は、この魔力は我ら騎士団最年少で最強の方、団長 だ!」 この国の団長は歴代初の10代の団長だが他の国ではこういう噂を聞く。 イフリークの騎士団団長の実力はは数で表すと国の騎士5000人の強さに等しく、 戦場では自分は無傷で相手を全滅させる力を持つと言われている。 そのため、今まで相手からダメージを受けたことが一度もないと言われている。 「団長が来たのか!どこだ、どこなんですか!?」 「俺はここだ!」 その声は悪魔の背後から聞こえ、悪魔の方を向いた。 団長の横には団長以外に金髪の少女、ミーナが隣に立っていた。 「あの子は、ミーナじゃないか!?」 「ほんとだ!あの悪魔祓いと一緒じゃないのか?なぜ団長と!?」 騎士達の声が聞こえたミーナは驚きながら。 「えぇー!?カイルってもしかしてエバルフさんが言ってたこの国の団長なの!?」 「そうだよ。俺はこの国の騎士団団長。カイル・エリオンだ。ん?」 カイルはこの状況を見て気づいたことがある。 サージスがいない。 それに気づき、カイルは目の前にいる悪魔に向かって。 「ちょっとそこのマッチョな君?俺の部下のサージスががここに来てたよね?サージスはどこ行ったのかな?」 カイルは顔を笑顔にしながら尋ねた。 「ちょっとカイル君!?今この状況でその笑顔はおかしいよ!?」 「おかしくないだろ?人に物を尋ねる時は相手が答えやすい様に対応しないと相手が怖がっちゃうだろ?」 そう言ってカイルは笑顔のまま悪魔に尋ねた。 「おい、小僧。殺されたいのか?」 「殺す?そーゆー言葉は言わないほうが良いと思うよ?」 「何ぃ?」 「なぜならさー」 シュッーー。 カイルが離れた場所から剣を振ると悪魔の体が縦一直線に斬られた。 「グギャアアァァぁ!!!」 悪魔は血を吹き出しながら地面に転がって
last updateLast Updated : 2025-12-19
Read more

第8話 神級魔導士と悪魔祓い③

血だらけの悪魔に対してカイルは1つも攻撃を喰らっていないため、無傷だった。 そして、悪魔はあることを思い出した。 「お…思い出したぞ!お前は、イフリークの守護神だな?」 「……」 カイルは返事を返すことなく、コクっと頷いた。 「まさか、神級魔導師が相手とは。だが、このPDO(プロジェクト・デビル・オペレーター)の俺が負けるなどありえない!」 そしてPDOは地面に手を置くと周りに地割れが起こった。 カイルとミーナはあまりの揺れに体制を崩しそうになった。 「お前の魔法は影だ!その影を無くしてやればお前は何もでき…」 すると悪魔の背後から別の影が発生した。 そしてその影から一本の細長い棘がPDOの体を貫いた。 「グハァッ!こっ、これは初級魔法だと?」 地割れがやむとカイルは再び領域を作った。 今度の領域は直径30m程あり、離れていたPDOもその圏内に入ってしまった。 カイルは2つの長剣をクロスに振るとPDOの体はクロス状に切り傷が入った。 「俺はあいにく、影の魔法は全て扱えるんでね。お前のその子供が使いそうな地属性魔法は何の妨げにもならねーんだよ。」 「くっ…そぉ…ふざけやがって!」 悪魔は紫色の塊を目の前に発生させた。 しかも、今度は今まで出してきた中でも最大級の大きさで直径50mほどあった。 「仕方がねえ、先にこの町を破壊してやる。そしたら俺も死ぬがお前らは確実に死ぬぜ!」 そしてPDOはその巨大な紫色の塊を手で押すと遥か上空に打ち上げた。 上空で直径100kmくらいまで広がるとそのまま地上に落ちてきた。 「まずいぞ!あれをこの国が受けたら本当に全員死んでしまうぞ!」 騎士達や町の人々は上空にある塊を見て混乱していた。 しかし、カイルだけは落ち着いていた。 そして呪文を唱え始めた。 「表裏に通づる闇の門よ、神に赴け!」 するとカイルの影の領域が更に黒さと範囲を増し、そこから巨大な影の手が発生した。 その影の手は紫色の塊を掴むと一緒に影の世界へ引きずり込んだ。 影によって魔力の塊は消えてしまい、騎士達は驚いていた。 「すごい…あのでっかい魔力の塊を消してしまった!」 「あぁ、あの人のあの魔法はいったいどうなってるんだ?知ってるか?」 1人の騎士
last updateLast Updated : 2025-12-19
Read more

第8話 神級魔導士と悪魔祓い④

「うわぁぁ!もう2人ともなんでこんなに強いのよぉ!」 この2人の衝突に巻き込まれたくないミーナは建物の陰に避難した。 2人は剣を交じり合わせながらお互いを褒めた。 「俺の双剣を直で受け止めた人はもしかしたら君が初めてかもしれないね。」 「お前も、俺の剣を受け止めるとは中々だな。」 「それは光栄だね。じゃあこれはどうかな?」 カイルは一旦グレンから離れると横一直線に2つの剣を振った。 するとグレンのそばにあった建物が斬れて上からぐずれ落ちてきた。 その建物の残骸を刀で真っ二つにし、再びカイルに近づこうとした。 「俺がこんなヤワな攻撃でダメージを与えれるわけないだろ。」 そしてカイルに斬りかかろうとしたその時。 「…!?なんだ!体が動かねえ!」 突然グレンの体が斬りかかろうとしたポーズから停止した状態になり、どんなにあがいても動かせなかった。 「分かってるよ。君に小細工は通用しないって。でもね、俺には最強の影の領域があるんだよ?」 よく見るとグレンの足元にはカイルが広げた円状の影の領域に入ってしまっていた。 「俺の影はいわゆる絶対領域だ。君はこの影からどう逃げ切る?」 カイルはそのまま剣を上から振り下ろそうとした。 「絶対領域か。なるほど、確かにこの魔法は並の人間じゃ手も足も出せねえな。だが…」 するとグレンの足元から光が漏れた。 「俺は並の人間じゃねーんだよ。」 その瞬間、グレンの足元の光が強くなった。 光が強すぎるため、グレンの足元だけ影が消えてしまいその間にグレンは空間移動で領域の無い所に移動した。 「うっ!…眩しい…!」 「隙だらけだ!」 眩しさで目を閉じたカイルにグレンは高速の蹴りで建物の壁まで吹っ飛ばした。 吹っ飛ばされたカイルは口から血を吐き捨て咳き込んだ。 「ゲホ…ゲホ…まさか俺の領域を抜け出すとは…」 「俺にそんな単純な魔法は通用しない。どうする?まだやるか?」 「まさか!俺もそうと分かれば本気を出してやるよ!」 するとカイルの双剣が影を纏うと剣が黒く変色した。 「黒帝剣技!蛇貫!!」 そう言って剣を振ると剣から二体の影で出来た巨大な蛇が高速でグレンに向かって襲った。 あまりの速さに光魔法が追いつかなかったグレンはそれを刀で受
last updateLast Updated : 2025-12-19
Read more

第9話 カイルの過去

グレンの魔力が溜まるまであと2分をきったがカイルにしてみたらこの時間は非常に長く感じた。 腕の筋肉が痙攣しすぎて既に感覚が無くなっていた。 「あともう少しだけ持ち堪えろ、騎士団の団長。あと少しでこの悪夢を終わらせてやるよ。」 「たの…むっ!」 しかし、黒い根っこは時間が経つに連れて再生するスピードを上げてくる為どんどん追い込まれていくのだった。 だめだ…追いつかない! そう思った時、カイルの頭の中で声が聞こえた。 「あんたって、すぐ諦めるよね。なっさけないなー!」 その声は綺麗な声であるが口が悪く少し男勝りな感じがした。 そして頭の中でその声の主を連想させた。 …エミル! 「あんたまた親に逆らったのかよ?」 目の前にいるのは俺の昔からの腐れ縁で親友の女の子。エミル・ウォーマリン。 明るめの綺麗な水色の髪をした短髪の少女。服は露出が目立った半袖のTシャツにショートパンツを履いていた爽やかな感じだった。 「うるせーな。あんな親は親じゃねーよ。毎日仕事仕事で俺の事なんかどーでも良いと思ってる癖に家にいる時だけ親づらするとかありえないだろ。」 俺の家はちょっとした金持ちの家で父も母も共に魔法関係の職に就いていた。 それはエミルのも同じ悩みを持っていて2人はその裕福な家庭を持つものの悩みが一致したのもあり、仲良くなったのだ。 「それはあんただけじゃないだろ?それに今回はあんたが学校サボったから怒られたんじゃねーか。」 「そんな事、別に学校行かなくても俺は俺のままで生きていけばいいんだよ。」 「へー、あんたみたいな知識もない男がこの魔法社会で生きていけるとでも?」 「学力じゃねーよ!俺はいつか騎士団に入団して敵を倒しまくって戦績を上げてやるんだよ!」 「あははははっ!!あんたみたいな弱い男が騎士団に入れるわけないだろ?」 その時の俺は確かに弱かった。当時は剣は良くても神級魔法の引き出し方が分からなかったため魔法実技ではいつも最下位だった。 一方エミルは学力優秀、魔法実技じゃ彼女に敵うものは男子でも居なかった優等生だった。 そんな彼女を俺は羨ましかったんだろう。いつも挑発していた。 「うっせー!いつかお前も超えてやるよ!」 「あーそう。じゃあ今すぐ超えて見せなさい?」 「あ
last updateLast Updated : 2025-12-22
Read more

第9話 カイルの過去②

そして現在、俺はこの国の危機を守らなければならない!そのために俺が…俺が…!! 「うわぁぁぁぁぁあ!!!!」 カイルが思いっきり剣を振ると黒い根っこは根元から一気に切り落とされ、切られた部分が霧散していった。 多少時間を稼げるが再生を続けるこの黒い根っこは10秒もあれば元どおりの状態に戻れた。 「このままじゃ…このままじゃ…」 諦めるな!カイル! エミルの声が頭の中で蘇った。 「そうだな、よし!俺も本気出さないとな。」 するとカイルの剣が黒く変色し、瞳が黒から赤く変わった。 「一発で止めてやる!」 カイルは縦に思いっきり振ると根元まで一直線に切れていった。 そして切れ目から影の蛇が現れ、切れた根っこを貪り尽くした。 「あと何秒だ!グレン!」 魔力を溜め続けているグレンの方を向くとグレンの周りには黒い炎が溢れ出していた。 「あと10秒だが、もういける。お前は良くやった。休んでろ。」 そして、グレンは空間移動で根元まで移動した。 「ー生命を駆逐する破壊の業火」 するとグレンが唱えた呪文によって根元の周りに5つの魔法陣が束になって囲んだ。 「あれは…五重魔法陣!?」 「え、それって凄いの?」 ミーナがそれについて聞くとカイルは別の意味でびっくりした。 「え、凄いだろどう考えても!?魔法陣1つ出すだけでもかなり労力を消費するのにそれを5つも…今まで見てきた中であいつはエミルに続いての化け物だな…」 「え、エミルって…」 ミーナが聞こうとした瞬間、グレンが魔法陣の中心に刀を突き刺した。 突き刺した瞬間、国全体に響き渡る衝撃が発生し建物が全て消滅した。 そして、刺した根元はチリとなって消え再び再生しなかった。 衝撃は周りの建物と悪魔となった者だけが巻き込まれ、他の人間には一切衝撃には巻き込まれなかった。 だが、建物が全て消滅した事でイフリーク全土は何もない殺風景と変わり果てた。 それを目の前にカイルは目を大きく見開いたまま固まった。 そして一言。 「俺たちのイフリークが…何もない…。」 それはこの国を愛していたカイルにとってあまりにも厳しく信じられない光景だと思う。 ミーナも学校で同じような事があったため、カイルを見て自分の過去を思い出し体が震えていた
last updateLast Updated : 2025-12-22
Read more

第10話 更なる襲撃

あれから数日後、助かったイフリークの国民達は他国の騎士団に救助されることになった。 絶望、それは誰しもがそう感じているだろう。 つい数日前まで、人と魔法で賑わっていたイフリークは見る影もなかった。 救助に来た他国の騎士団はイフリークの国民達を自分たちの国である南の大国 シルフに連れて行く事になり、カイル達も含めた騎士団や国民達は用意された100台以上ある馬車に乗せられた。 そこにはどういう訳かグレン達も乗る事になり、当然カイルはグレンに睨みを効かせる。 「おい…なんでお前がここに乗ってんだ?」 するとそれに対して軽く受け答えするグレン。 「俺たちは次に目指すところは南の大国 シルフだ。丁度いいと思うから乗らせてもらう事にした。、」 そのさらっと流した態度にとうとう堪忍袋の尾が切れたカイル。刀を鞘から抜き取った。 「ふざけんな、歩いて行けばいいだろーが!てめえの顔なんて見たくねえんだよ!」 「だ、誰か!団長を止めてくれ!」 「落ち着いてください!団長!」 カイルが今にもグレンに斬りかかろうとするので慌てて団員達が止めに入った。 「離せ!俺はこいつを許さない!イフリークは俺の…俺とエミルの…うっ…うぐぅ…!」 そしてカイルは剣を抜いたまま力なく泣き崩れてしまった。 その姿を見たグレン以外の全員は気の毒すぎて話しかけることも出来なかった。 いや、1人だけいた。 その人は人ごみの中を平然とした顔でこっちの方まで歩み寄ってきた。 そしてカイルの目の前までいくと、カイルは顔を上げそして驚いた。 「お前は…ハンジ!」 そう、幼い頃エミルと仲が良く、綺麗な顔立ちのハンジであった。 「エリオン君。あなたがエミルと過ごしたこの国はあなたの大切な故郷。それは私達も同じように思ってるわ。」 「だが、俺はエミルの約束を守れなかった…」 「いいえ。あなたはしっかり守ったはずですよ。あなたが騎士団団長としての責務をちゃんと果たしていること。そして、私達が今生き残っているのはエリオン君達騎士団のお陰よ。今は面影のない国になってしまったけど、また1からやり直しましょう。それまではシルフの皆さんのお世話になりましょう。」 「ハンジ…」 そしてカイルはハンジの胸元で再び泣いた。他のイフリークの人や他国のミ
last updateLast Updated : 2025-12-23
Read more

第11話 嫉妬の悪魔

時は少しさかのぼり、現在ミーナとハンジはグレンの部屋に向かおうとしていた。 「グレンの部屋は確か…こっちです!」 ミーナはハンジをグレンの部屋へと誘導していく。 そして、グレンの部屋の前まで着いた。 「グレン、大変だよ!カイル君が盗賊に…って、あれ?」 部屋を開けるがどこにもグレンの姿が見当たらなかった。 「…いないみたいね。」 「本当に、グレンは…」 こんな時でも勝手な事をするグレンに呆れるミーナ。 「どこ行ったのでしょうか?」 「分からないです…でも、あまり自分から動かないグレンが自分から動くって事は何かあるって事だと思いますよ。…何か、嫌な事が起こらなければ良いんですけど…」 ミーナは不安な顔をしながら最後にそう言った。 ここは先頭の操縦席。 先ほどライクが言っていたもう1人の仲間はシルフとは別のある場所に向かって馬車を誘導していた。 その背後に突然現れた空間の穴から黒いローブを着た男性、グレンが体を乗り出してきた。 「…貴様、この馬車どこに向かってる?」 グレンがそう言うと、座ったまま盗賊は答えた。 「どこに向かってるかなんて、そんな事知ったところで今更無意味だ。」 「…女?」 「あんた達乗客全員、ここで死ぬんだから。」 それを聞いた瞬間、グレンの頭の中で部屋全体が氷で覆われると同時に自分まで凍らされると察知し、咄嗟に黒炎を纏った。 グレンが黒炎を纏った直後、グレン以外の部屋全体が氷に覆われた。 「…なんだ、あいつの魔力…」 戦う素振りを見せない盗賊の思わぬ魔力にグレンは思わず冷や汗をかいた。 部屋の天井を見ると至る所に長さ10cm程度のの氷柱がグレンの真上に並んでいた。 「ー雨ノ神、その水の槍で大地の渇きを癒せ。」 操縦しながら盗賊がそう唱えるとさっきまで氷で覆われていた部屋が今度は部屋全体水で覆われた。 水は壁に張り付いているかの様に床へは落ちず、まるで壁に水の膜が張った様な状態だった。 そしてその膜から水の槍が複数発生し、全ての槍がグレン目掛けて襲い掛かった。 グレンもその水の槍が来ると想定してたのか襲ってくる槍全てを空間魔法を使って全て避け切った。 しかし、避けた水の槍は再び一つに纏まると今度は巨大な水球へと変化した。 終始操縦
last updateLast Updated : 2025-12-24
Read more

第12話 邂逅

あの日、私とその親友であるカイル・エリオンは家へ帰る途中で何者かに誘拐された。そして気づいた時はもうどこか分からない暗い暗い檻の中に閉じ込められていた。なぜ閉じ込められていたのかはあまり覚えていないけど、多分親から身代金としてお金を手に入れる為に利用しようとしたのだと思う。自分の親は確かに裕福だった。それは認める。けど裕福は幸せとイコールではない。お金があるから周りから違う目で見られ誰1人して私を対等に扱おうとした者はいなかった。親もお金が全てという考えの人でお金で私の人生を奪おうとした。私は小さい頃から一人ぼっちだった。檻の中にいる時、既に私は全てを諦めてしまっていた。意識が鮮明になってきて目を開けるとそこには先に目覚めたカイルがいた。盗賊達は私たちを利用して親から金を取ろうという計画らしい。それでもし、親が金を出さない時は…死ぬだろうとそう考えていた。「もう、ダメかもな俺ら。親にも愛されず、学校でも特別待遇の様に周りから変なプレッシャーを受け、最後はこんな誘拐犯に捕まって殺されて…もうこんなの嫌だ…もう死んだ方がマシだ!いっそ殺してくれ!」わたしは久しぶりに見た。あんなに負けず嫌いで不器用なカイルがこんなにも悲しそうに弱音を吐くなんて。確かに、こんな状態になったら誰でも怖いよ。私も実際心の中じゃ辛くて苦しくて…今にも泣きそうだ。けど、私はそんなカイルが許せない。私が知ってるカイルは…こんなところで泣いちゃダメだ!私はいつの間にか、カイルの頬に思いっきりビンタしてしまった。パンッ!「あんたってすぐ諦めるよね?なっさけない!死ぬなんてダサい言葉で何でも片付けようとすんじゃねーよ!確かに今の暮らしは辛いことばかりだけど、まだ私たち子供だから、…きっと、大人になれば自由になれる…だから…死ぬなんて言葉で逃げるなよ…頼むから…」本当にカイルが弱いなんて思ってもいない。けど、こんなに弱気になってるカイルを見続けるのはもう嫌だ。本当に弱いのは私だ。自分の弱さを隠してカイルのせいにするなんて…。けど、カイルはそんな私に言った。「…そうだな。大人になれば自由だよな。こんなとこさっさと出て、2人で自由を手にしよう!」「カイル。…うん!」カイルの顔を見ていつの間にか私にも元気が出た。…そう、こいつがいるから私も強くなれるんだ。私は
last updateLast Updated : 2025-12-25
Read more

第13話 南の大国シルフ

その頃、ミーナ達はグレンとカイルが乗った馬車と離れてしまい、現在は残った人達を騎士団達は馬車の外に集めさせた。しかし、集められた一般の人達は数日前の事件から現在まで散々な目に遭っている為不満が高まっているのか騎士団の人達に文句を言っていた。「どういう事なんだよ!馬車が無くてどうやって移動するんだ!」「お前ら騎士団だろ!俺たち今物凄く困ってるの見てわかんねーのかよ!」「そうよ!私達はこれからどーなるのよ!」「何とかしろ!騎士団だろ!」口々に罵声を飛ばす一般の人達。無理もない。つい数日前までは平和に過ごしていたのだ。急にこんな事が続けば誰だって普通じゃいられなくなる。しかし、一般の人達はそれ以上に耐えられない事があった。それは。「そもそも!なんでそこにいる盗賊どもは殺されてないんだ!そんな奴らさっさと殺しちまえよ!」そうです。今回馬車を襲撃した盗賊、エミル達がいるからである。エミル達の事はミーナがエバルフに事情を話して分かってもらえたが他の人は納得いかない。自分達をこんな目に合わせた盗賊を何故生かしているのか理解できないでいた。「こいつらのせいで沢山の人が死んだんだぞ!」「そうだ!そいつらにも同じ目に遭わせろ!」「殺しちまえよ!そんなクズ盗賊なんて!」「みなさん!お気持ちは分かりますが…どうか落ち着いてください!」「うるせー!そもそも騎士団がしっかりしてねーのが原因なんだろーが!俺たちこれからどうしたら良いんだよ!」一般の人達の怒りはもはや誰にも止める事が出来ず、他の騎士団達も困っていた。エミル達はそれを只々うつむきながら聞き、ミーナはそれを見て悲しそうな顔をした。「エミル…さん…」すると1人の男性が騎士団の人を押しのけてエミルの前に来た。「もういい!こいつが主犯だろ?お前ら騎士団が殺さねーなら俺が殺してやる!」そう言って男性は騎士団の剣を奪おうとするがそれを阻止する為に他の騎士団達が止めに入った。「おいやめろ!お前らいい加減に…」「やめないか!これ以上イフリークの伝統に傷を付けるな。」すると、いかにも高級な衣服に包まれた白髪で凛々しい顔をした中年の男性の言葉で一般の人達は一瞬で静まった。「い、イフリーク王!」なんと、その人物というのはイフリークの王であつた。その男は高価な服装を纏っている割にはどこか威厳に欠
last updateLast Updated : 2025-12-25
Read more
PREV
1234567
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status