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第7話 襲撃

Author: アイさん
last update publish date: 2025-12-18 11:11:59

宝石店を出てからミーナはカレンに案内されながら色んな店に寄り、手には買った服や旅に必要な生活必需品などが入った袋を持っている。

重くなった荷物を持っているミーナを見て微笑ましく思ったカレン。

笑いながらミーナに声をかけた。

「うふふ、いっぱい買い物できて良かったね。ミーナちゃん。」

「はい!本当にありがとうございます、カレンさん。」

「いいのよ。仕事の休みは私1人で買い物してるからあなたみたいな女の子と買い物できて楽しかったわ。」

「えへへっ。そういえばカレンさんは何の仕事してるんですか?」

「私?私は……」

「おーい、カレーン!」

カレンが答えようとした時、2人の後ろの方からカレンを呼ぶ声が聞こえてきた。

誰だろうと振り返ると手を振りながらやってくるのは男の人だった。

一瞬彼氏かなと思うミーナだが数秒後その人が誰なのか一瞬で分かった。

その人とは。

「え、エバルフさん!?」

この人はこの前までグレンを殺そうとしていた騎士団の1人のエバルフさんだった。

向こうもミーナとカレンが一緒にいる事に驚いていた。

「君は、紅の悪魔祓いと一緒にいたお嬢ちゃんじゃないか!?なぜカレンと?」

「あら、あなた達2人とも知り合いだったの?」

「ああ。この子はこの前団長に報告した悪魔祓いと一緒に旅してる子だ。…この子がいるって事はまさかこの国に紅の悪魔祓いがいるのか?」

ミーナを見てグレンの事を思い出したエバルフ。

焦っているのか額から汗が流れ落ちていた。

それに気づいたミーナはエバルフを気遣うように返した。

「大丈夫ですよ。この国に来てからグレンと私は別々に行動してるますから。」

「ホッ……そうかそうか。じゃああいつは今いないんだね?」

一瞬だけ安心したため息を吐くエバルフを見てカレンは笑いながら馬鹿にするように。

「あはははっ!何ビビってるのよ。ほんっとに情けないわねぇ。」

「うっ、うるさい!お前はあの化け物を見てないからそう言えるんだ!」

「あんたと一緒にしないで欲しいわね。どんな敵がいても私は負けずに挑むわ。あんたと違ってね!」

「何だとー!」

2人が言い争ってるとそこに割り込むようにミーナが口を出した。

「あのー。カレンさんの仕事ってもしかして…魔法騎士団の騎士ですか?」

「ええ、そうよ。ちなみに私は10騎士長でこの人(エバルフ)よりも上の位よ。」

指を差しながらエバルフを見下するカレン。本当の事を言われたエバルフは何も言い返すことが出来なかった。

「えぇー!エバルフさんよりも上の人なの!?…すごいですね。女性なのに戦う騎士ってカッコいいです!」

「確かに戦ってるよな。何度も何度も懲りずに合コンに参加しては男の取り合い合戦で敗ぼ…いだだだだ!!」

エバルフが余計なことを言ったためカレンはハイヒールの踵でグリグリとエバルフのつま先を強く踏んだ。

「あれは!…ただの…!遊びでしょ!私だって本気出せば……あっ、ごめんねミーナちゃん。こんなはしたない所見しちゃって。」

ミーナに喧嘩してるところを見られてる事にハッと気づき我にかえるカレン。

「あははっ、2人は仲が良いんですね。」

「「誰がこんな人(こんな奴)!!」」

ミーナ達3人が会った時と同じ時間に事件は起ころうとしていた。

彼女達は今この国の東地区にいるのだが事件のきっかけはこの国の西地区だった。

普段通りの街の風景の中に1人だけ不自然な行動をする男がいた。

その男の体はガクガク震えていて今にも倒れそうに歩いていた。

「あのー、大丈夫ですか?何だか具合悪そうですけど。」

「……」

通りすがりの親切な人が声をかけてもピクリとも反応しないその男。

すると急に震えるのをやめピタッとその場に立ち止まった。

「…せ…め…」

「え?」

そして数秒後、道路のど真ん中で親切な人の胴体に大きな穴が開いていた事を周りは気づく。

そして次々に発狂の声が聞こえ始め、人々は混乱状態になりながら逃げようとした。

「せ…めつ。…せんめつ………殲滅だ。」

そして男は胴体に刺した大きな爪を抜き取り付いた血を振り払った。

そう、こいつの正体は悪魔。

これがイフリーク史上最大の事件へと繋がるのだった。

突然、平和なイフリークに鳴るはずのない緊急のサイレンが鳴った。

イフリークの周りからは魔法で出来た防壁が展開され、街は避難体制に入ろうとしていた。

『国民の人たちは速やかに避難してください!そして、魔法騎士団は直ちに出動せよ!場所は西地区の商店街だ!』

このサイレンを聞いていたミーナ達。

「急にどうしたんだろう…さっきまであんなに平和だったのに!」

「確かに…!この国でサイレンが鳴る事はた滅多に無い…。カレン…いや、10騎士長!急いで西地区に行くぞ!」

「分かってるわ!…ミーナちゃんはここで待ってなさい!」

するとカレンは服のポケットからペンダントを取り出し開くと魔法で騎士団の鎧に一瞬で着替えた。

そして2人はエバルフの風で2人を包みこむと高速で移動し、ミーナは声をかける前に置いて行かれた。

「私…また何にも役に立たない…」

仕方が無いのでミーナは人が逃げていくところに紛れて走った。

すると前から来た1人の男にぶつかり後ろに倒れた。

「いたた、君大丈夫かい?」

ミーナの前にいた男の人は、二刀の長刀を腰にぶら下げ騎士団の鎧を纏っていたが黒髪で幼い顔だったのでとても騎士には見えなかった。

「ごめんなさい、僕怪我は無い!?」

完全に少年と思っているミーナ。男は少しムッとなったが急いでいたのでスルーした。

「僕?…まあいいや。とりあえず君はどこかに逃げるんだ…っとすまない。」

すると男は腕に付けてる通信機とやりとりし始めた。そして再びミーナを見ると。

「…今情報が入ったが西地区には悪魔が暴れてるそうだから早く避難しなさい。ここは騎士団に任せ…」

「悪魔…ですか?」

「え?」

するとミーナはその男の肩を握ると慌ただしく揺さぶりながら言った。

「早く行かないと!あそこには騎士団のエバルフさんとカレンさんがいるの!早く行かないと殺されてしまう!」

「…君は、2人を知ってるのか……分かった、君も一緒に来なさい。僕が連れてってやるよ。」

「え、ありがとうございます!僕は優しいね。」

「僕って言うなー!僕のことは(カイル)と呼んでくれ。」

カイルは僕と言われるのが嫌だったので本名を名乗ったがミーナは構わず。

「分かった。カイル君。」

「…もういいや、来なさい。早く12騎士長と10騎士長を助けに行くぞ!」

「はい!」

そして突然出会ったカイルとミーナは今現在悪魔がいると連絡があった西地区に向かい始めた。

この時ミーナは気づいていなかった。

今横にいるのはこの国で一番強く、そして騎士団の団長だという事を。

その頃、西地区では1人の男(悪魔)による大量殺戮が始まっていた。

悪魔に殺された人間は再び蘇るので新たな悪魔となって他の人間を殺し、悪魔は数を増やしていく。

「ひぃ……おかぁしゃん…僕だよ…僕の事忘れたの…?」

「グルルル…」

母親を殺された子供は悪魔として蘇った母親の姿に惑わされ、あっけなく殺されていく。

もちろん、人間としての感情は一切無い。

ただの食料として食い殺されるだけだった。

風の移動系魔法でやっと到着したエバルフとカレンは地獄と化した西地区の光景を目にした。

人の血によって赤く染まった町にいる人々と悪魔の姿はまるで地獄をイメージしたみたいだ。

「なんて光景だ…まるであの時を見てるみたいじゃねーか……。」

エバルフは目の前の状況と自分の住んでいた町が重なって見えた。

ーあの時の悪夢がまた襲ってくる。

「エバルフ!悪魔が襲ってくるわよ!」

カレンの声で我に返ると目の前から人間の姿をした悪魔が猛スピードで襲ってきた。

エバルフは間一髪でかわし、体制を整えると剣を抜いて構えた。

「すまん、カレン!」

「しっかりしなさい!油断して殺されたら許さないわよ!…っく!」

悪魔は鉄の棒を上から思いっきり振り下ろしたがカレンは剣で弾くと十分な距離を取った。

「なんて力なの?ちょっと弾いただけで手の痛みが…」

そして悪魔はもう一度カレンに接近し、鉄の棒を振り下ろした。

今度はカレンはそれを見切ったのか左にかわして悪魔の右腹を斬りつけた。

「ウガァァァ…ァァ…」

悪魔はもがき苦しみ、そのまま絶命した。

「さすがだな、10騎士長。」

「なめないで。…それよりも何よ、あの大群は…。」

カレンとエバルフの目の前には悪魔の集団がゾロゾロと歩いてきた。

その1番先頭には今回西地区で通りすがりの人を殺し、大量殺戮のきっかけを作った男性の悪魔だった。

「おい、10騎士長。あの先頭にいる奴、他の悪魔とは違う雰囲気だぞ。」

「そうね。いかにも強いぞってオーラが出てるわ。」

悪魔の集団を引き連れた男性の悪魔は10メートルくらい離れたところで立ち止まると後ろの悪魔の集団もそれに合わせて立ち止まった。

先頭の悪魔は服装だけ見たらどこにでも居そうな青年だが顔には黒いひび割れ線が所々に入っていた。

「これは参ったな…騎士長2人が組んでやがる。…うっとうしい、消えな。」

最後にそう付け加えると後ろにいた悪魔たちが一斉に襲いかかった。

とても2人では相手しきれない悪魔の数を剣で立ち向かうがやられるのは時間の問題だった。

あまりにも悪魔の数が多すぎたのでエバルフは魔法を使用した。

「消えろ!悪魔どもめ!」

エバルフは風を纏った剣を振ると突風の斬撃が悪魔達を次々に薙ぎ払った。

しかし、戦闘しながらの魔法は体への負担が大きいため持久戦には向いていない。

エバルフは魔法を使用したことでさっきよりも苦しそうな顔をしている。

「はぁ、はぁ、早くこいつらを殺さないと俺たちが危ない…」

すると突然エバルフの背中に激痛が走った。

「ぐっ…ヤバイ!…背中を斬られた……」

悪魔の爪がエバルフの背中を引っかき、背中からはおびただしい量の血が流れていた。

一方、カレンは少しだけ魔法で身体強化はしてるものの悪魔をスムーズに斬り倒していくがこちらも体力の限界が目に見えていた。

「なんでこんなにも多いのよ!これじゃ切りがないわ!」

「全くだ!…他の騎士長や騎士達はまだ来ないのかよ!」

エバルフは愚痴を吐きながら剣を構えている。

するとさっきから戦いに参加しないヒビ割れの悪魔が引き笑い気味で笑いながらとんでもない事を言った。

「他の騎士達なら多分来ないと思うよ。確かさっき南地区に現れた謎の悪魔をなんとかせねばとか言うてたかなー?」

南地区にも悪魔が?どうなってるんだ。

この事件はこのヒビ割れの悪魔が東地区で起こし人間を殺してるから悪魔が誕生しこの西地区で悪魔が出現するのは分かる

それに悪魔が発生したこの西地区は事件が発生してから他の地区に侵入しないように閉鎖していて進入は不可能。

万が一を除いてもありえないが、その万が一があるとすれば。

「……まさか、お前以外にもう1人悪魔がいるのか?」

「アハハハ!その通りだ。俺がこの事件の元凶?馬鹿め!その時点でお前らは負け決定なんだよ!」

「そ…そんな…嘘だろ…」

今回の騎士団への命令はこの西地区にいる悪魔を駆除するのみ。

戦力はほとんど西地区にとられてるのに南地区にいきなり現れたら多くの人達の命を失うことになる。

そう考えるとエバルフは再び妹の事を考えてしまい、頭を抱えた。

「フハハハハッ!人間は馬鹿な生き物だ!わざわざ死にに来てくれるんだからな。さあ、お前ら今の内だ!その醜い人間を斬り殺せ!」

悪魔達はそう指示されるとエバルフに爪を向け、その多数の爪がエバルフめがけて伸びた。

カキィィン!

もう少しで斬られそうになったエバルフの目の前でカレンは爪の攻撃をすべて剣で受け流した。

「何っ?」

カレンは攻撃の手を止めず、今度は両手に発生させた雷の魔力を3秒ほど溜めて悪魔達に目掛けて放った。

落雷の如く一直線に突き進み、悪魔達の3分の2程度が原型を留めることなく消滅していった。

「この女…なんて威力だ!」

ヒビ割れの悪魔はあまりの威力で砂ぼこりが舞い、思わず腕で顔を隠した。

「ウア"ッ!…あがっ…あぁ…ああぁ!…」

バタッ

カレンはさっきの魔法が体にきたのか体を疼くませながら横向きに倒れた。

エバルフは慌ててカレンのそばにしゃがみ込んで体を揺さぶった。

「カレン!おい、大丈夫か!?…なんであの魔法を…あれは体への負担が大きすぎて使うなって団長に言われただろ!?」

するとカレンの口元からかすれるくらいの小さな声が聞こえた。

「…悔しい…」

「えっ?」

「悔しい…悔しいよ、エバルフ…。この国を愛する人たちがどうして人を殺しているの?しかもそれを守れない私たち騎士団はもっと悔しいよ!」

カレンの目からは涙が流れていた。

周りをよく見ると人々は悪魔に襲われ、逃げ惑っていた。

襲ってる悪魔のほとんどが元々この国の市民。

だったがこいつらのせいで殆どの人が悪魔化し、普段なら自分の子供、仲の良い友人、恋人だったはずの人たちを容赦なく殺していく。

こんな地獄、もう体験したくない!

変えなければ…これ以上、悲劇を生んではならない!

「10騎士長…いや、カレン。あとは俺に任せろ。こんな地獄、さっさと終わらせてやる。」

エバルフはカレンの体を持ち上げ、戦いに巻き込まれないよう隅っこに寝かせた。

「さあ、覚悟しろ害虫(悪魔)ども!今から纏めて駆除してやる!」

それを聞いたヒビ割れの悪魔は眉を吊り上げながら。

「ハァ?何言ってんだよ、お前。駆除されんのはお前ら人間の方だよ!」

それと同時に悪魔たちは一斉にエバルフを襲った。

ビュッ!

一瞬の風が悪魔の集団の間を吹き抜ける。

エバルフの周りから輝かしい風が竜巻の様に発生していた。

「吹き抜けろ、逆境をも覆す神の風ー」

そう唱えた直後、悪魔の体から徐々に斬り傷が入りそして一気に上半身が吹き飛んだ。

それは全ての悪魔だけに同じ反応が起こり、それ以外の人間は何ともなかった。

「なっ!?…ば、バカな!」

ヒビ割れの男はどういう訳かその攻撃をかわしていたので助かっていたがそれ以外の悪魔がやられたのを見て驚きを隠せなかった。

「次はお前の番だ。」

「くそ!人間如きが呪文を唱えやがって!」

「人間如き?…1つ教えてやろうか、悪魔野郎。」

「何だ!」

「俺はお前らと違って、大切な誰かを護る時にとてつもない力を発揮する。そして…この大切な国を潰そうとするお前は俺の敵だ!消えろ!!」

エバルフは風魔法で一気に詰め寄ると、剣を下から斜め上に斬りつけ、ヒビ割れの悪魔から大量の血が吹き出て、その場に倒れた。

エバルフは息を切らしながら隅っこに置いたカレンのそばに行った。

寝てるカレンにエバルフは笑顔でこう言った。

「はぁ、はぁ、カレン…護ってやったぞ…あとは、団長に任せよう。」

そしてエバルフもその場に倒れこんだ。

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    時は少し遡り、場面はミーナとイフリークの国民達に変わる。現在、彼女らはティラーデザートとは別の場所で窮地に立たされていた。大量の悪魔達が周囲を取り囲み、エミルと騎士団の人達が応戦している。それを何もできないまま只々見ているだけのミーナとイフリークの国民達。国民の中には、騎士達が守らず心臓を取られてしまう者もいた。何故、この様な事になったのか。どうしてティラーデザートから離れた場所にいるのか。現在に至るまで更に30分程、時間を遡る。シルフを目指し、猛暑の中を歩き続けるイフリークの国民達は途中で大きなクレーターを発見した。「何だ、この大きなクレーターは。隕石でも落ちたのか?」「

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第14話 存在意義

    この時の俺はどんな人だったのか、今でも鮮明に覚えている。しかし、どうしても思い出せない事が1つある。自分の本当の名前だ。名前は悪魔祓いになったと同時に捨てたからだ。今も過去の記憶は覚えてても、自分の名前に関する記憶だけはどうしても思い出せない。覚えているのは、楽しかった日常が一夜にして地獄に変わってしまった事。そして…あの時俺を逃してくれた俺の兄の最後を、俺は今でも覚えている。11年前ーキュアリーハート。それは(癒しの心)という意味を込められた平和の国。この国は東西南北にある四大国の中心に位置している。四大国に比べて経済力があるとか、規模が特別大きいなどそういった事はなく

  • 悪魔祓い(デビルブレイカー)   第13話 南の大国シルフ②

    「月の民殲滅は確かにシルフの国王が提案し、様々な国の魔道士達を招集させて殲滅していく、というのが一般的に知られている事です。」 「はい、俺もそういう風に聞きました。」 「でも本当は違うの。シルフの国王は元々平和主義を心掛けていた心の優しい人で当時も月の民殲滅には反対していたのです。けど、あの男が来てからシルフの国王は変わりました。」 「それは、さっき言っていた思考を操る魔法か?」 フィナの口ぶりで何を言いたいのか察したグレンが口を挟んだ。 「はい。12年前に突然やって来たハイド・スペクターが原因だと思います。彼は何故なのか分かりませんが会った当初から国王に気に入られ、その日

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