All Chapters of Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜: Chapter 61 - Chapter 70

70 Chapters

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あっという間に時が過ぎ、年末が近付いてきた。その間准は会社の幹部に自分は国に戻り、代わりに今度は怜士が来るということを伝え、引き継ぎの書類などを整えていた。それだけで彼らはグループの代表が変わることを知り、口々に祝いを述べ、そして激励してくれた。それからの会議にはビデオ通話で怜士も参加し、次々に改善するべきことなどを指摘して、次第に会社を自分流の運営方法に変えていった。准も甘い方ではなかったが、これからは更に厳しく管理されることになりそうな予感に、人々は口元を引きつらせるしかなかった。そしてー。「理那人は?」飛行機の中、准が尋ねた。ファーストクラスの座席。座っているのは、自分たちだけだった。プライベートジェットを使わない時、准は、怜士がそうしていたようにファーストクラスの空間に誰も立ち入らないよう、座席を全て購入する。理由は…よくわからない。が、いつだったか怜士に訊いてみたところ、適当に「煩いから」とだけ言っていた。「煩い」…それは視線なのか、存在なのか。とにかくそうしたことに准も慣れてしまって、いつもこうしていたのだった。一度、もったいないかなと思い、そのまま他の乗客と一緒に乗ってみたことがあったのだが…。確かに煩かった。何が、と言われたらよく説明できないのだが、何をするにも人の視線が煩かったのだ。それ以来、父と同じこのやり方を通すことにしていた。今回は准、本田、そして有紗の3人のみだ。准の質問に、有紗が答えた。「あの友梨っていう子と一緒に、I国に戻ってるわ」「へぇ…?」彼女が言うには、友梨はどうやら〝恋人として家族に紹介される〟と思っているようだ…というのだ。「紹介するのか?」「ええ。一番上の兄に」有紗はそう言いながら、人差し指を上に向けて立てた。准はそれを聞いて、フッ…と嗤った。「なんだ?たらい回しにするつもりか?」それには彼女はひょいと肩を竦めた。「選ぶのは、彼女よ」「…まぁ、そうだな」そう言うと、もう准はこの話題に触れなかった。彼は目を瞑って眠ろうとしていた。これから国に帰っても、しばらくは真田邸に戻れない。万が一を考えて、家の者にも感染者などを出さない為、この3人はホテル暮らしをする予定だった。芽衣は今、最後の治療に入っている。これが無事に終わったら身体が回復するまで病院にいて、それから、いよいよ
last updateLast Updated : 2026-03-19
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芽衣の言葉に、2人は慌てたように振り向いて否定した。「違うよっ。ケンカじゃないよ」「でも…」まだ不安そうに2人を窺う娘に、聖人も尚も、胸を痛めた。この子はいつからこんなにも不安げで、おどおどしたような目を自分たちにまで向けるようになったのだろう…?小さい頃はもっと天真爛漫で、自分たちに愛されていることを当然のように受け止めていたのに…。尚はいつからか、芽衣が人の顔色を窺うようになっていることに気がついていた。でもそれは、周りの状況に自分を合わせることも必要なんだと外で学んだからだと思っていた。だって、その時の芽衣はまだ自分たちに対してこんな顔はしなかったから。だが少し前くらいに怜士から、「どうやら芽衣は誰かに虐められているようだ」と聞かされ、ショックで倒れそうになった。誰がそんなことを!?あの子は誰にでも優しいいい子なのにっ。そんなことをまくし立てた記憶がある。そしてそれに対する怜士の返事は、「優しいから虐められない…なんて誰が決めたんだ?優しいから標的になることもある。原因は様々だし、理由なんか、加害者本人にしか分からないだろう?」というものだった。確かにそうだ。でも、反抗することも反論することも、やり返すこともできない子に向かって意地悪をするなんて…卑怯だわ!尚が歯を食いしばると、怜士はフッ…と冷めた目で嗤った。「心配するな。今、誰がやったのか調べてる。関わった奴ら全員、後悔することになるだろうさ。自分たちがいったい誰に手を出して、誰を怒らせたのか。一生忘れられないようにしてやる」だから、それで気を直せ。そう言われた。尚はできれば自分の手で相手をぶん殴りたい気分だったが、なるほど…それなら納得できる。それでようやく引き下がった。「芽衣…パパとママはね、あなたに幸せになってもらいたいだけなの。その為ならなんだってするわ。だからね、そんなに心配しないで?お互いに違う考えをしてたりした時には、話し合うことが必要でしょ?それは、ケンカじゃないの。わかる?」「……」まだ疑わしそうに2人を見ていた芽衣は、その言葉に頷いた。詳しくはわからなかったけど、「ケンカじゃない」という一言に、安心したのだった。「わかった」そう言って、ニッコリと笑った。信号で止まった時、後ろの車を覗くと、運転席の准がひら…と手を振った。芽衣はそれにふふ
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*「で?これが混ざってた…という訳か?」「ええ。確認したところ、これだけでした」「……」1週間後。今日は芽衣の受診日で、彼女は母親の尚と病院へ行っていた。准はここに帰って来て、毎日のように仕事の後は彼女の部屋で共に過ごしていた。その時、いつかビデオ通話をしていた時に見た千羽鶴が、まだ芽衣の部屋に飾ってあるのを見て、彼女に言ったのだった。「こういうのは、皆の願いがこもってるから〝ありがとう〟てお焚き上げとかした方がいいんじゃないかな?」「そうなの?」芽衣は「よくわからない」と言い、准に任せるとそれを託してくれた。だが准は、それを自分の部屋に持って行くと、本田に手伝ってもらって全部バラした。実は最初にビデオ通話でそれを見た時から、違和感を持っていたのだ。というのも、殆どの鶴は一色の紙を折ってグラデーションのように繋げてあるのだが、一部、なぜか所々に柄の入った折り鶴が混ざっていたのだ。それが遠目で見ても汚れのように見えて、なぜこんな風に?と思ったのだった。何かしらのアクセント的な感じにした、というのならそれでいい。だが、それにしては…。なぜ柄もの?折り紙にはそれこそ色々な色がある。千羽鶴にはあまり使われないが、金色や銀色もあるのだ。アクセントにするなら、そっちの方が綺麗な気がするし、わざわざ他の物を買う手間も省ける。准は納得がいかなかった。だから、確認をした。そうしたらー。一色で折られた鶴は皆異常はなかった。折り目が捻れていたり、重なってなかったりといろいろあったが、生徒の皆が一生懸命折ってくれたんだろうな…と思えた。だが柄の入った、一見綺麗な折り鶴の方は…。最初、外見だけ見ていた時には気がつかなかった。でも偶然、それを光に翳した時、中に何か書いてあるのがわかった。なんだ…?准は訝しげにそれを眺め、やがてそれを開いてみたのだった。「っ…」見た瞬間、怒りで血の気が引いた。そして、チッ!と舌打ちをして、驚いている本田にそれを見せ、「この鶴を全部開け!」と命じたのだった。本田も怒りにギュッと眉を寄せ、柄ものだけでなく、念の為一色の折り紙で折られた方も開き始めた。その結果。一色の鶴には何もなかった。でも柄の入った方には…。全部ではなかったが、柄物100羽のうち80羽に、はっきりと悪意ある言葉が書かれていたのだ。「呪」「死
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「お久しぶりね」そう言われて、怜士は薄く笑った。「そうだな。元気そうじゃないか」「ええ、おかげさまで」肩を竦めてそう言ったのは、藤原架純だった。彼女は昔、怜士に入れ込んで絶対に彼の花嫁になるのだと息巻いていたのだが、なんやかんやとあって結局I国の裏社会のボスと結婚し、離婚して、そして今があった。つまり、彼女は理那人と有紗の母親だった。彼女は離婚してこの国に帰って来て、もう結婚はしないと独身宣言をして、父親に付いて会社経営のノウハウを学び始めた。そして今、彼女はこの街の一等地に1階は美容院、2階はネイル、3階はフェイシャルを含めた全身エステ4階はオフィス…という4階建ての美容関連事業が入ったビルのオーナーになっていた。もちろん各階の美容会社も彼女のもので、ビルの周りには高級ブティックなどが建ち並び、いわゆる『ビューティーロード』の一角を占めていた。「大したものだ」「ふふっ、ありがとう」そう言って笑う彼女は、余裕があるせいか気品があり、女としての魅力が溢れ出ていた。「ところで、今日はなんの用なの?」「ああ…」架純は怜士を応接室に案内し、秘書にお茶を用意させて尋ねた。「お前の子供らのことだがー」「ああ、それね」彼女は怜士の意図を汲んで、先に口を開いた。「うちの父が何を言ったのか知らないけど…。私は気にしてないわよ。いつでも会いに来てちょうだい」「本当にいいのか?」探るように尋ねても、架純は実にあっけらかんと答えた。「本当よ。だって、私の子よ?会いたくない訳がないわ」その答えを聞いて、怜士は満足気に笑った。「じゃあ、近いうちに連れて来る」「わかったわ」そう言って、2人は出されたお茶を飲み、あとはなんとなく会話もなく、そのまま解散となった。社長室の窓からビルを出て車に乗り込む怜士を見送り、架純はポツリと呟いた。「相変わらず、無愛想な男ね」「……」側に控えてそれを聞いた秘書は、肯定も否定もできず、ただ気まずそうに笑うだけだった。車中ー。怜士は考えに耽っていた。自分は架純の件を片付けた時、レリーが自分に感じている命の借りを返してもらって、それで彼らとの関係を切ったつもりだった。彼らはどうあってもまともな社会の人間ではなかったし、いつまでも彼らと繋がっているのは決していいことではない。自分はまだいい。どんな形に
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「最悪だな」フッ…と呆れたような嗤いを零しながら呟く怜士に、准も頷いた。理那人たち2人は「こんな国には住みたくない」と切実に思っていた。小さい頃、父親に母の生まれた国のことを話してもらったことがあって、憧れていたのだ。女だからと理由もなく虐げられることがない国。本人の努力が認められる国。それに、誰もが皆平等に、豊かに見えた。もちろんその中での格差はあるだろう。でもそれさえも、努力で覆すチャンスがある国ー。理想郷ではないことくらい分かっていたが、理那人も有紗も、本当にこの国に来たかった。ファミリーは当然豊かすぎるほど豊かだったが、やはり「女」だというだけで有紗は軽く見られていたし、そもそもミックスというだけで2人は〝正妻の子〟であるにも関わらず、余所者扱いをされていた。「たぶん父もミックスで、この気持ちがよくわかっただろうから、きっとこの選択を許してくれたのだろうと思う」理那人はそう言った。彼は成人後も進学して勉強をしながら、父親に付いて事業の勉強もした。そんな彼を〝後継者として鍛えられている〟と勘違いした他の兄弟たちからは散々痛い目に遭わされたが、やっと18才になってこの国でも成人と見なされる年齢となってから、理那人は有紗を連れてさっさとI国を出たのだ…と言うのだった。准とは、父親から怜士のことを聞いていたようで、連絡先をどうやってか手に入れて接触してきた。会ったのはほんの数回。その頃の准もA国での基盤作りに忙しかった為、ほとんどが電話やビデオ通話による接触だった。彼らは不思議と気が合った。准にしても、自分に取り入らずとも立っていられる、いわゆる〝対等な立場の友人〟ができたことが嬉しかった。だから、彼らが藤原家であまり歓迎されていない状況をなんとかしてやりたかった。というか、それは怜士がやることでは?と思ったのだった。「つまりー」「あ〜、わかったわかった。もういい」准の言葉を怜士は遮った。「要するに、俺にその双子と母親の間を取り持てって言いたいんだろ?」どこかうんざりしたような口調に、准は眉を寄せて頷いた。「お願いします」そうして頭を下げる息子に、彼はため息をついた。「今回だけだ」そして今日、彼は架純の元を訪ねたのだった。まぁ、結果的に彼女はまったく彼らと会うことを拒否しておらず、苦労なく准からの頼みを叶えることがで
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声がした方を振り仰ぐと、その螺旋階段の一番上から友梨たちの方を見下ろしている一人の男がいた。「旦那様」その男が現れた時、全ての使用人たちが深く頭を下げた。旦那様!?…てことは、理那人さんのお父さん!?友梨は驚きに目を見開いて、一人顔を上げて彼を見つめていた。そんな彼女をレリーは面白そうに見て、後ろに控えていた男に何かコソッと囁いた。男はチラッと友梨に視線を向け、そして頷いた。え、なに…?友梨は不安そうに目を泳がせたが、次に顔を向けたレリーが人好きのする笑顔を見せたことでホッと胸を撫で下ろした。「君が、リナトの連れて来た女の子かい?」「あ、はい!関根友梨といいますっ」「友梨さん…。ふ~ん…」その値踏みするような瞳にほんの少し眉を寄せたが、続いた言葉にドキリとした。「悪くないね。…お前たち、彼女に対して失礼な態度を取らないように。わかったか?」「はい」深々と頭を下げる使用人たちに、友梨の胸はスカッとした。ほら、みなさいよ。今度あんな態度をとったらただじゃ済まさないんだからっ。彼女はふんっと、横目で執事らしき初老の使用人に嘲笑の視線を送ると、彼は一瞬、恨めしそうに睨みつけてきた。だが彼はこの家で長年勤め上げてきたのだ。容易には感情的に声を荒げたりはしない。「こちらへどうぞ」恭しく案内するのに、友梨は満足そうに目を細め、後をついていった。『……』そんな彼女の背中を見送って、レリーについていた男が言った。『お父さん、本気であんな女をうちに迎えるつもりですか?』その言葉に、レリーはぷっと吹き出した。『そんなわけないだろう?見たか?あのバカさ加減を』『でしたらー』『適当に泳がせとけ…とさ』『は?』それだけ言うと、彼はスタスタと書斎に向かって歩きだし、訳が分からず眉を顰めていた男、レリーの息子で秘書をしているAli(アリ)は、慌てて後を追った。『どういうことですか?』彼は気に入らなかった。既に後継から外れた弟のいうことをきかなくてはならないことが、忌々しかったのだ。その上、いきなり女を連れて来て、一族の集まりに参加させるなど…。許し難い暴挙だった。だが、感情的になってはならない。たかがこんなことで感情を乱すなど、ボスになる資格がないと判断されかねない。アリは先ほど父にこっそりと『リナトが連れて来た女だ』と言われた時、
last updateLast Updated : 2026-03-26
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*夕方まで一休みした友梨は、改めて自分に用意された部屋を見て、満足気に微笑んだ。これが単なるゲストルームだなんて、相当なお金持ちね。その目には、所有欲がありありと浮かび上がっていた。准さんも素敵だけど、私に冷たいし…。理那人さんの方が優しくて扱いやすそうよね?そう胸の内で呟いた。彼女は今、目の前にある広くて豪華なゲストルームの値打ちを見ると共に、今日開かれるという家族の集まりで、どう自分に好印象を持ってもらえるようにするか…。その課題に頭を悩ませていた。理那人さんは「別に普通にしてればいいよ」て言ってくれたけど…。彼女は立ち上がって、彼が用意してくれたドレスを見てみた。「素敵…」それは薄いピンクの、軽やかな印象のワンピースだった。身体に当ててみると友梨の白い肌を引き立てて可憐に見せていたし、一緒に贈ってくれた白いハイヒールと合わせると、とても似合っていた。惜しむらくはアクセサリーを贈ってくれなかったことだが、もしかしたら着替えるときに使用人から渡されるのかもしれなかった。彼女はうきうきと、ドレスを身体に当てたままその場でくるりと一回転し、ひらりと揺れる裾をチェックした。うん。いい感じ。彼女は自分の脚の形の美しさを自覚していたので、いつもそこをきちんと魅せられるものを選んでいた。そういう意味でも、このドレスは合格だった。もう少ししたら準備を始めるだろう。友梨は今から楽しみで、知らず笑顔になるのだった。コンコンーそれからしばらくしてメイドが入って来て支度を手伝ってもらい、その時にアクセサリーも付けてもらったのだが…正直、がっかりした。なんというか…。よく言えばシンプルで清楚。悪く言えば質素で貧乏くさい。「……」友梨は鏡に映る自分に、不満げな顔をした。髪飾りに付いているのは小さなタンザナイトがいくつか。そして一粒ダイヤのついたショートネックレス。それとお揃いのピアス。…それだけだった。「…これ…理那人さんからなの?」尋ねると、メイドたちはキョトンとした。そして当たり前のように「違う」と言ったのだった。「それは、こちらがドレスに合わせてご用意いたしました。清楚で愛らしく見えるように」「……」清楚で愛らしい?いやいや、どう見ても、ただの貧相な女でしょう…?友梨の顔を見れば、彼女がこの仕上がりにまったく満足していないこと
last updateLast Updated : 2026-03-26
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もしかして、嫉妬してくれてるの…?他の男性からプレゼントを貰うな…なんて…。結構、独占欲が強いのね。そう思って、ふふっと嬉しそうに笑った。「……」理那人は、薄っすらと頬を染めて微笑む彼女を見て、呆れたようなため息をそっとついた。そして何事もなかったようにそのまま彼女を連れて、とある席へと誘ったのだった。「あなたの席はここです」「え?…あの、理那人さんは?隣じゃないんですか?」友梨は、大きな長テーブルの席につく女性たちを見て、動揺した。彼女は、今日は理那人の家族に紹介をしてもらえると思っていたので、当然彼の側にいられると思っていたのだ。だがー「すみません、僕の席は父の隣なんです」理那人はそう言った。彼の指差す方は、友梨の座る席からかなり離れた場所、広間の前方にあった。そこには男性ばかりが座っていて、見渡すと、女性はほとんどが皆、広間の隅の方に固められていたのだった。「……」友梨はこの国の特徴を思い出した。「彼女たちは?」それなら…と男性たちの座る席の比較的近くに座る女性たちのことを尋ねると、彼は何でもないことのように答えた。「彼女たちは、父や兄たちの妻や恋人たちです」「え…じゃあ、私は…?」私はなんなの?あなたの恋人じゃあないの?そう言うと、理那人は驚いたように目を見開き、言った。「僕たちはまだ、そこまでの関係ではありませんよね?」「は…?」そうなの?だったら、なぜここへ連れて来たの?友梨の頭の中は疑問だらけだった。自分たちの間には確かにまだ、なんの関係もない。ただ何度かデートをしたくらいだ。でも、実家に連れて行って、家族に紹介するっていうのは、恋人になるってことじゃないの?理那人は混乱している友梨を「じゃあ、また後で」と一言だけ残して、自分の席へと去って行ってしまった。「なんなの…」ボソッと呟いた友梨に、周りからクスクスという笑いと、面白いものを見たというような嘲笑の視線が向けられていた。「恋人気取りとか…図々しい子ね」「本当…何様よ?」クスクス…ヒソヒソ…と耳障りな雑音に、友梨は顔を真っ赤にして俯いていた。悔しい…っ。理那人さんってば、なんなの!?友梨は屈辱に震えていたが、やがてキッと顔を上げて周りを睨みつけると、後は無視した。彼女は食事の間中、理那人たち男性陣が座る席の近くにいる女たちを、じっと見
last updateLast Updated : 2026-03-26
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理那人は一つため息をついた。「友梨さん、僕は昨日言いましたよね?男性からの贈り物は受け取ってはいけない、と」「……」「どうしますか?」友梨には分からなかった。彼女はただ、理那人を嫉妬させたかっただけだ。それなのに、たかがプレゼントを受け取っただけで、こんな身売りのようなことになるなんて思わなかった。でも…。彼女には、今、絶対に嫌だという訳にはいかない事情があった。昨夜、自室に戻って来てシャワーを浴び、貰ったプレゼントをもう一度手に取った。中身は皆、綺麗な宝石のついたネックレスやブレスレット、それにブローチやイヤリングなどの装飾品だった。どれも皆華やかで、そして高価な感じのするものだった。友梨は、高価なプレゼントを贈られるということは、自分がそれに見合う女なのだという証拠のように思って、心が満たされた。トゥルルルル…トゥルルルル…そうして満足の笑みを顔に浮かべた時、スマホの着信音が鳴った。「もしもし?」気分が良かったから、少し弾んだ声が出た。だが…『友梨……』相手は母親だった。しかも、なぜかとても暗い声だった。「どうしたの?」訝しげに問うと、信じられないことを聞いた。『友梨…。パパが、奥さんと離婚したんだって…』「え……本当に!?」良かったじゃない!そう言おうとしたところ、彼女の耳に母親の嗚咽が聞こえてきた。「え、どうしたの?まさか…離婚したのに、結婚してくれない…とか?」『違うの…っ』泣くばかりで要領を得ない母親をなんとか宥めて、そして聞き出したところによると、なんと父親の井岡康三の元妻から、全ての財産の差し押さえがきたと言うのだった。「すべて…」彼女が言うには、井岡は実は妻の家の婿養子で、今までの政治家としての影響力が薄れることを考慮して、元の名前を名乗っていただけだった…と言うのだ。そして彼は、友梨も知っているが、この国と同じで女の価値を低く見ている。だから婿養子であるにも関わらず自分が主であるかのように威張り散らし、妻の家のお金を自分のもののように使っていたのだ。自分の稼いだお金は適当な遊興費で使い切り、そもそも政治家を辞めてからはまったく稼ぎなどある訳もなく、だが妻から渡されていたカードを好きなだけ使ってもなんの支障もなかった為、彼はそれを自分のお金だと錯覚し続けていたようなのだった。そして友梨の母
last updateLast Updated : 2026-03-26
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集まっていた男たちは、互いに顔を見合わせて、そして言った。「1番と言われても、あまり大差ないんだが?」「じゃあ、具体的な資産を教えて」「……」さすがにこの言葉には、男たちの目付きが変わった。「なぜそんなことを?」「いい加減にしろ」「優しくしてやったらすぐこれだ。まったく女って奴は…っ」等と口々に捲し立ててきた。だが決定的な一言は言わなかった。〝黙って俺達の靴を舐めろ〟と。それは、いわゆる奴隷と何ら変わらない扱いだった。彼らは別に妻や恋人を求めているわけではない。珍しい女をコレクションしたいだけなのだ。それなのになんだと?資産を教えろだと?ふざけやがって!そんな感情が噴き出していた。ここにレリーの息子、リナトがいなければ、今頃こんな女など我らに連れ去られていただろう。その後どんな風に扱われようと、俺達の勝手だし、誰にも口出しはさせない。自分たちは、それだけの対価を贈っているではないか!「…っ」友梨は不穏な空気を肌で感じ、一歩後退った。理那人はそんな彼女を見て、内心もう面倒くさくて堪らなかった。もう…なんなんだ。面倒なことばっかり言いやがって…っ。彼は深いため息をつくと、ヴヴンッと彼らの注意を引いた。「皆さん、とりあえず落ち着いてください。友梨さんも、失礼な言動は控えてください」その言葉に、今にも立ち上がりそうだった男たちはソファに座り直し、友梨はホッと息をついた。「友梨さん」だが理那人の次の言葉に、彼女の中にあった彼への淡い期待も崩れ去った。「あなたにそんなことを問う権利は、ここではありません。僕の忠告を聞かなかったあなたの自業自得です。あなたが今するべきことは、彼らの忍耐力に感謝することであって、そうやって駄々をこねることではありません」「駄々…?駄々ですって!?どうしてよ!」どうして私が、私自身を託す相手を選んじゃいけないの!?少しでもいい人の所に行きたいと思うのは、普通のことでしょ!?「どうして、私にそんなに冷たいのよ!?私が何かしたっていうの!?」喚き散らすと、静かに聞き終えた理那人がはぁ…とため息をついた。「あなたは、怒らせてはいけない人を怒らせた。…それだけです」「はぁ!?」怒らせちゃダメな人って、誰よ!?友梨の目から、涙が零れ落ちた。そんな彼女に、彼は言った。「怒らせたでしょう?准さんを
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