この世に愛はあって、おかあさまはこの世に|其《そ》れがないからくれないんじゃなくて、わたくしとの間にそれが|存《ぞん》してないだけ。 そんなのは知っているんだよ。でもじゃあこの状況をどうする? 『生まれて来て、よかった。』がだめならわたくしがほんとうに心を込めて言える言葉は、ここにいる皆を護れる言葉は……。 ――! そうだ……!|聖別の儀《セパレーション》の日にわたくしは一度言っている。心を込めて言っている。 ◆◆◆ 「最期に言い残すことはァ……?」 ――ああ、ありがとう。|ひまりさん《ママ》。 「――産まれてきて、ごめんなさい。 ……|産《・》|ま《・》|れ《・》|て《・》、|こ《・》|な《・》|き《・》|ゃ《・》|よ《・》|か《・》|っ《・》|た《・》――。」 「――じゃあな、アイ。」 ◆◆◆ ……あの、言葉か……。 ◇◆◇ 「……かげろうははるくんを手伝って、わたくしはもう大丈夫。」 「……しかしっ!」 アイはかげろうとおでこをあわせて、瞳をやさしく見る。 「……大丈夫、はるひちゃんもかげろうの大事な幼なじみでしょ? わたくしたち三人はさ……みんながみんなを大事に想ってる幼なじみ三人組……でしょ……?」 |追憶《ついおく》を見下ろすアイの瞳。 |偶像《アイドル》を見上げるかげろうの瞳。 2人は旧知の幼なじみという、大好きな相手という、同じものを見ながら……しかし哀しいかな、全く別のものを見ていた。 アイは美化して彩った過去の|追想《ついそう》を、かげろうは神聖視して|歪《ゆが》めたどこにもいない
آخر تحديث : 2026-05-25 اقرأ المزيد