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All Chapters of 怖い話まとめ2: Chapter 21 - Chapter 30

63 Chapters

埋もれた神社

 聞いた話。 車から5分くらいのところに妙なものがある。石段があって、その上に2mくらいかな、土が盛られている。手前には石造りの鳥居がある。 両隣は昔なにかの店だったと思われる建物と、何かの会社。お店も少しある住宅街って感じの場所。 ずっとそれが何か気になって、親戚のおばあさんに聞いたら、色々教えてくれた。 遠い昔、いつかは分からないけど、皆が着物を着てた時代。このへんは町のはずれだったらしい。町で困ったことがあると、僧侶がふらっと現れては解決に導いてくれた。 僧侶は高確率で、「町のはずれにある神社に願いなさい」と言った。実際に願えば解決するから、いつしか人々は困り事があれば神社へ行き、お供え物をしたり、掃除をしたりして、願い事をするようになった。 町の人が、気になって僧侶の後をつけることにした。というのも、神社は小さいもので、人ひとり入れるかどうかといった具合だった。 そこから来てるとは思えない。かといって、町内に神社も寺もない。だから僧侶がどこから来てるのか気になって尾行したというわけ。 僧侶は狐になると、お供え物を食べ、小さな神社の中に入って眠った。怒った尾行者は町に戻ると、見たものを皆に話した。というのも、この町の人達は昔から狐に困らされていた。 盗みはするし、子供に怪我をさせる。挙句の果てには商売の邪魔までするのだから、皆狐を恨んでいる。 町の人達は桶いっぱいの土を持って神社に行くと、勢いよく土を投げつけた。子供から年寄りまで、ほとんどの町人が代わる代わる土を投げつけるものだから、狐は生き埋めになってしまった。 町の人達は神社が埋もれるまで土をかけ続けたという。 それがあの謎の鳥居と小さな山らしい。
last updateLast Updated : 2025-12-21
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死にたくなる鳥居

 地元には死にたくなる鳥居がある。昔、鳥居で首を吊った人がいて、その人の怨念だか何かがそうさせているとか。 嘘くさいじゃん? だから俺、A、Bは肝試しに行ったわけよ。俺達3人はバカだし根明だから、自殺とか考えたことない。 夜に3人で歩きで行くと、Bがいきなり泣き出した。その場でうずくまって、ぶつぶつ言いながら泣いてる。 耳を澄ませると、「ごめんなさい、生きててごめんなさい。死にたい、死にたい。死んで償いますから」とか言ってた。 俺とAはヤバいと思って、Bを引っ張りながら鳥居からすぐ離れた。 鳥居が見えなくなって少ししたあたりで、Bが、「あれ、俺なんで死にたいなんて思ってたんだろ」なんて言い出す。 Bの話をゆっくり聞くために、ファミレスに入った。話を聞くためっていうか、明るくて人がいるところに行きたかった。「鳥居によ、ロープがぶら下がってただろ? 首吊りできるように、輪っかになって。それ見た途端、死にたくなってさ」「ロープ? 何の話だ?」 俺とAは顔を見合わせた。ロープなんて見てないからだ。「嘘だ、あったよ。俺等、前からちょいちょい悪いこととかせこいことしてたろ? 小学生の頃に女子泣かせたりもした。そういうことがフラッシュバックっていうの? ばばばばーって、一気に蘇って、今までなんとも思ってなかったのに、罪悪感がのしかかってきてさ」 信じられない話だけど、そんな嘘をつけるほど、Bは頭が良くない。 なんとなくひとりになるのが嫌で、ファミレスから1番近いAの部屋に泊まった。 その後お祓いとかは行ってないけど、Bは相変わらず元気だ。
last updateLast Updated : 2025-12-21
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罰を当てる

お婆ちゃんが怖いと思った話。短いけど、よかったら聞いてって。 僕のお婆ちゃんは優しくて、いつもにこにこしてる。怒ったところを見たことがない。 例えば、僕がコップを落として割っちゃった時、母さんは僕を叱るんだけど、お婆ちゃんは「まぁまぁ、わざと割ったんじゃないんだから。それより怪我はない?」と心配してくれる人。 中学生の頃、お婆ちゃんと買い物をして、荷物持ちをしてたんだけど、帰りに公園前を歩いてたら、ボールが飛んできてお婆ちゃんにぶつかった。 お婆ちゃんは倒れて足をくじいた。 小学校高学年くらいの子達がボールを取りに来て、そのまま去っていこうとするから呼び止めた。「ちょっと君達。そのボール、お婆ちゃんに当たったんだけど。謝らないとダメじゃないか」「うっせーな。そんな死にぞこない、別にいいだろうが」「つーか中学生にもなって、ババアといるとかきもーい」 小学生はゲラゲラ笑った。怒って小学生に近寄ろうとしたら、お婆ちゃんが僕の腕を掴んでとめた。「いいんだよ」「でも」「あの子達には罰を当てるから。それより、静子さん(僕のお母さん)に電話しておくれ。足をくじいちゃってねぇ」 罰を当てるという言い方が気になったけど、それどころじゃない。お婆ちゃんを公園のベンチまで運んで、お母さんに電話して迎えに来てもらった。 1ヶ月後くらいかな。葬式が頻繁に行われた。参列者には小学生がたくさんいて、その中にはあの時お婆ちゃんにボールを当てた子もいた。「言ったろ? 罰を当てるって」 お婆ちゃんは涼しい顔でそういうと、お気に入りの和菓子屋に入っていった。 中学校でも葬式の話題が出た。亡くなった小学生は4人で、皆同じ学年で問題児だったらしい。万引きをしたり、弱いものいじめをしてたとか。 クラスメイトの弟が同じクラスだったらしくて、情報が広まってた。
last updateLast Updated : 2025-12-21
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更生施設の秘密・神に守られた男

 問題児が入る更生施設がある。刑務所や少年院に入ってた人が入る施設ね。更生率トップの施設があるんだけど、その秘密についてこっそり書かせてもらう。 その施設には鏡がたくさんある。一部屋最低2枚はあるかな。多い部屋は8枚くらいあるかも。窓にマジックミラーになるシートが貼ってあるくらい徹底してる。 鏡は飾りがないやつ。学校とか公衆トイレにあるような、洒落っ気もないやつね。鏡の四隅には「お前は誰だ」か「お前は従わなければいけない」って書いてあんの。施設内の鏡全部に。 なんなら、壁にも書かれてたりする。それだけあれば無意識に読んじゃうよね。 ゲシュタルト崩壊起こして、不安にさせて、「周りの人の言う事を聞けば問題ない。お前は何も出来ない哀れな存在」って洗脳してくんだってさ。 それでイエスマンを作り上げてブラック企業に放り込んでるってわけ。神に守られた男 父ちゃんから聞いた話。父ちゃんが若い頃、不良が多かったんだって。特攻服着て、改造バイク乗り回して、喧嘩に明け暮れる不良が。 愚連隊とか暴走族ってやつだね。父ちゃんも暴走族のひとりだったらしい。下っ端だったらしいけど。 総長と副総長がいて、あとは役職とかはないんだけど、喧嘩強いやつが偉いみたいなのがあったとか。 父ちゃんが入ってた暴走族Aと、因縁のあるBが、チキンレースで決着つけることになった。チキンレースっていうのは、壁とか崖に向かって猛スピードで突っ込んで、ブレーキ踏んで、壁とかに近い人が勝ちっていうレースらしい。 んで、総長同士の戦いになるはずだったんだけど、副総長が、「ここは自分にやらせてくれ。あんな連中、総長が出るまでもない」って言って、Aの副総長とBの総長が戦うことになった。 場所はとある山の崖。 B総長は50センチくらいのところで止まったけど、A副総長はギリギリというか、タイヤの半分は崖の向こうだったって。「あーあ、怒られちまった。守ってくれるのはこれっきりだってよ」 A副総長は、焦げたお守りを見せながら苦笑して、暴走族をやめてったんだってさ。 本当はケジメとして痛い思いをしないと行けないんだってさ。バイクで市中引き回しとか、皆に殴られるとか。 でも、A副総長はB総長を倒してくれたから、お咎めなしでそのまま抜けたんだって。 暴走族が解散して、父ちゃんも普通に働き出した頃、A副総長
last updateLast Updated : 2025-12-21
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合わせ窓

 これは知り合いのおっさんから聞いた話。おっさんはガラス業者やってて、一般家庭や企業さんとかの窓が割れたりしたら取り替える仕事をしてる。「学校の廊下側にある教室の窓って、皆曇りガラスだろ? それってなんでか知ってるか?」 おっさんは酒を飲みながら聞いてきた。言われてみれば確かに、小学校から高校まで通ったけど、どこの教室の窓も、廊下側だけ曇りガラスだったな。「んー、授業に集中できるようにとか?」「それもあるかもしれねーが、合わせ窓にならないようにだよ」「合わせ窓? なんだ、それ」「合わせ鏡は聞いたことあるか?」「鏡を向かい合うように置くと、霊だか悪魔が来るってやつだろ?」「そう、それ。窓ガラスでも同じことが起こるんだよ」 そう言っておっさんは昔話を始めた。 おっさんがまだ学生だった頃、その学校の窓は全部普通の窓ガラスだったらしい。ついでに言うと結構新しい学校で、おっさんは3期生だったんだと。 まだ新しい校舎だし、死人が出たり、大きな怪我をした人が出たりってことはなかった。おっさんには2つ上の姉貴がいて、姉貴は1期生だった。姉貴も事件や事故は見聞きしてないって言ってたし、本当に何もなかったんだと思う。 だけど、ことあるごとにおかしな現象が起こってたとか。誰かが投げたわけでもないのにものは飛ぶし、体調不良になる人が生徒、教師問わず、大勢いた。 だから、この学校は呪われてるんじゃないかって言われてた。 昭和だったからか、今よりもオカルト系のことは信じられてたとかで、学校はお坊さんだかなんかを呼んだんだってさ。 そしたら窓が悪いって言うんだ。普通の窓ガラスだと反射して鏡みたいになるだろ? だから、廊下側の教室の窓が廊下の窓と合わせ窓になって、霊が迷い込んでくるってさ。 急遽休みになって、廊下側の窓ガラスが曇りガラスに変えられたらしい。それ以来、ものが飛び交うこともなくなったし、体調不良になる人もぐっと減ったとか。 おっさんは学校を卒業して、今の会社に入った。先輩に学生時代にあったさっきの話をすると、合わせ窓の話は本当なんだってさ。だから、窓際に鏡が置いてある家には不幸が舞い込むとか。 先輩達が指摘して鏡の位置を変えたら、住人から感謝の電話が届いたとか言ってた。 おっさんはよく変な嘘をつくので、本当かどうかは知らん。けど、聞いててゾッとし
last updateLast Updated : 2025-12-21
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霊の不満

 私は趣味で文字書きをしてる。得意分野はホラー。これは私がホラー小説を書いた日に見た夢の話。 その夜もホラー小説を書いてたの。幽霊は長くてボサボサの黒髪で、服は返り血がついた真っ白なワンピースを着てる。ありきたりだけど、斬新すぎてもなんかなって思って、そういう容姿にした。 2000文字くらいの短編なので、その日に書き終えて眠ったら、夢を見た。 夢には事故で亡くなった先輩が出てきた。先輩は茶髪のショートカットで、シャツにジーパンとラフな格好をしたサバサバ女子。「あんたが書いた小説さぁ、ありきたりすぎない? 幽霊が皆ボサボサロングヘアで、赤か白のワンピース着てると思うなよ?」「てか、なんで男の霊書かないの?」「あーあ、いい男死んでないかなー。合コンしたいわ」 などなど、色々言ってた。確かに、幽霊って女の人が多いし、髪型も服も似たりよったりだなって思った。「じゃ、先輩のこと書いていいですか?」「いいけど、死んでるなんてもったいないほどいい女って書いて」 先輩は笑いながら言うと、「じゃ、いい男探してくるわー」って言って、電車に乗ってどこか行ってしまった。 ショートカットの幽霊も斬新だと思って、さっそく先輩がモデルの小説を書いて投稿したら、「斬新」とか「幽霊と思えないポジティブさ」とかコメントが来て嬉しかった。
last updateLast Updated : 2025-12-21
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避難ごっこ

 小さい頃、私は狭いところが大好きで、箪笥と壁の間にある隙間や、椅子の下で遊んでた。 特に気に入ってた遊びは避難ごっこ。椅子を壁際に置いて、ブランケットを被せて、テントみたいにするの。その中でお菓子やジュースを食べたり飲んだりするのが楽しかった。 不謹慎だけど、防空壕とか楽しそうって思ったりしてたっけ。 台風が来ると、小さなリュックにお菓子と水筒を入れて、避難ごっこをしてた。当時の台風って、学校や幼稚園が休みにはなるけど、大きな被害をもたらすことはほとんどなかったから、あんまり怖いって思ってなかった。 それどころか、ちょっとしたイベント感覚だったかも。 学校休めるし、台風が過ぎたら友達と遊べてたし。 ある夏、また台風で学校が休みになったので、私は和室にある箪笥と壁の隙間に椅子を置いて避難ごっこをしてた。 いつものようにお菓子を食べてると、地震が来た。すごく大きな地震だったし、地の底から聞こえるような低い唸り声も聞こえて、怖くて泣いた。 お爺ちゃんが私の泣き声を聞いて来たら、地震も唸り声も止まった。お爺ちゃんにさっきのことを話したら、「たぶん家鳴りだろう」って言ってた。 本当に避難してる人からしたら、私の遊びは不謹慎だったから、家鳴りが注意したんだろうって。 ちょっと納得できなかったけど、怖かったのでもう避難ごっこはしなくなった。
last updateLast Updated : 2025-12-21
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万年芝

 近所の空き地に万年芝と呼ばれてる芝桜がある。空き地と言っても所有者がいて、その人が趣味で芝桜を植えている。 春になると見事に咲き誇るので、地元の人のささやかな楽しみになっている。 普通、芝桜は時期が過ぎれば枯れて、また季節になったら咲くんだけど、一部の芝桜は年中咲いてる。皆その芝桜を、万年桜とか万年芝って呼んでる。 万年芝には変な噂がある。真夜中に、その芝桜の上で女が泣いてるって噂。中学1年の頃、この噂を確かめに行こうってことになった。 冬の部活帰り。6時過ぎだったかな。それでも外は真っ暗で、街灯もあんまりなかったから怖かった。 同じ部活のヤツふたりと一緒に、芝桜のところに行く。 本当は深夜に行きたかったけど、中学生が深夜に出歩けるわけがない。こっそり抜け出そうっていう考えはなかった。それは俺達がいい子だからではなく、寒いのが嫌だったからだ。 インスタント肝試しって感じで、自転車漕いで空き地に行くと、万年芝のところに女がいた。 女は赤い血の涙を流して、流れ落ちた涙は芝桜に降り注ぐ。今朝見た時、白っぽい色の芝桜は毒々しい赤に見えた。 暗がりなのに何故見えたかというと、女がほんのり発光してたから。 女は俺達に気づくと、鬼の形相で睨み、何かブツブツ言っていた。こっちに来る気配はないけど、怖くて逃げ出した。 翌朝、空き地前は通学路でもあるので芝桜を確認すると、万年芝は白い花を咲かせていた。
last updateLast Updated : 2025-12-21
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開かずの小屋

 うちは古めかしい日本家屋で、この辺で1番広い敷地。敷地こそ広いけど、生活は割と質素なので、金持ちってわけではないと思う。 そんなうちの庭には、開かずの小屋がある。実際に開かないわけじゃないんだけど、昔から開けるなって言われてる。あと、鍵がかかってて、業者が時々来て、鍵を変えたりしてる。 なので、俺は小屋の中が何かずっと知らなかった。最初は気になってたけど、なんか気持ち悪いって思うようになって、存在を意識しないようになってた。 親父から小屋について教えてもらったのは、成人式から帰ってきた時。他の奴らは飲み会に行ってたけど、俺は仲の良い友達もいなかったし、呼ばれてないので、参加せずにまっすぐ帰った。 親父は祝の言葉もそこそこに、俺を和室に座らせ、目の前にボロボロの紙束と鍵を置いた。「庭に小屋があるだろ? あの中にあるものについて話す」 そう言って、神妙な面持ちのまま話し始めた。 遠い昔、この辺にあった村は貧しかったらしい。作物も満足に育たないし、売るものもない。 当時村長だったうちの先祖は夢の中でお告げを聞いた。「裏庭の枯井戸に生け贄を差し出せ。そうすればお前達を助けてやろう」 先祖は他所の家にいる、病気で床に伏した年寄を騙し、枯井戸に落とした。すると夢の中でお告げの声が「納屋に行け」と言う。 翌朝、納屋を覗くと、中には野菜や米がぎっしり詰まっていた。先祖は納屋にあった食べ物を村人に配り、一時的に食糧難を逃れた。 またお告げの夢を見て、生贄を要求された。今度は他所の家の子供を騙し、枯井戸に突き落とした。 翌朝、牛や馬がたくさんの藁を背負って村に来た。村人達は牛や馬の糞で肥料を作ったり、労働を手伝わせたりした。おかげでいい畑が出来て、作物が育つようになった。 それから先祖は時々お告げの夢を見るようになった。お告げは枯井戸に生贄を求め、翌日に何を授けたか夢で教える。 先祖は枯井戸に落とした人の名前と、それで得られたものを書き記した。 お告げの夢のおかげで、先祖代々栄えてきたらしい。ただ、何代目かは分からないが、恐ろしくなって生贄を捧げるのを拒んだ人がいた。 お告げの夢は「それならそれでよい。お前の子孫が何かを欲したら、また力を貸してやろう」と言い、それから現れないらしい。「この紙には生贄と、それで得たものが書かれてる。この鍵は、昔の小
last updateLast Updated : 2025-12-21
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パーツショップ

 私が通ってた高校に、Aという美少女がいた。可愛くて、勉強も出来て優しいけど、ちょっとドジな子。少年漫画のヒロインみたいな子だなぁって思った。 Aは本当にいい子で、誰にでも優しくて、陰キャの私にも声をかけてくれたりしてた。私に友達が出来たのは、間違いなくAのおかげ。 そんなAは、ある日姿を消した。 当時学生だったので詳しいことは知らないけど、Aはバイトから帰ってこなかったみたい。それで親がバイト先に行ったら、いつもの時間に帰ったって言うし、友達の家に片っ端から電話しても、うちには来てないって言ってたとか。 生徒同士が言ってたことだから、これさえ嘘か本当か分からない。でも、Aは確かに消えた。 Aの両親は何度も校門に来て、手当たり次第に生徒達に何か知らないか聞いて、何度も先生達に注意されてたし、ビラ配りしてるのも見た。 同じ学年の人達の家を1軒1軒回ったりもしてたみたいで、うちにも何回か来てた。 最初は可哀想って思ってたけど、何度も同じ質問をされたり、待ち伏せされたりして、軽いノイローゼになって嫌だった。放課後に何回か一緒に遊んだ程度の私でこれなんだから、いつもつるんでた子達はもっと大変だったみたいで、Aの両親に付け回されてるって泣いてる子もいたし、転校した子もいた。 Aの両親も引っ越したのか、いつの間にか姿が見えなくなって、だんだん忘れていった。 大学を出て会社に就職して驚いた。同期にAと瓜二つの子がいたから。「A!?」「え? いや、違うけど」 AのそっくりさんはBと名乗った。念の為、どこの学校に通ってたか聞いたら、知らないところだった。 最初はちょっと怖かったけど、私とBは同期で女性が他にいないからか、親友レベルで仲良くなった。好きなアーティストや俳優も一緒だったしね。 華金に、Bの家で呑んでると、酔ったBがとんでもないことを言い出した。「私ねぇ、すっごいブスでさぁ、いじめられてたの」「え? そんなに可愛いのに?」「この顔はぁ、買ったんだぁ」 えへへと笑いながら、缶ビールを傾ける。「整形したってこと?」「ううん、買ったの」 Bは中学の卒業アルバムを出して、ひとりの女子生徒を指さした。「これが私。ね、ブスでしょ?」 今のBとは似ても似つかない顔がそこにある。パーツのバランスが全体的に悪いし、一重の鋭い目のせいか、陰険な雰
last updateLast Updated : 2025-12-21
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