聞いた話。 車から5分くらいのところに妙なものがある。石段があって、その上に2mくらいかな、土が盛られている。手前には石造りの鳥居がある。 両隣は昔なにかの店だったと思われる建物と、何かの会社。お店も少しある住宅街って感じの場所。 ずっとそれが何か気になって、親戚のおばあさんに聞いたら、色々教えてくれた。 遠い昔、いつかは分からないけど、皆が着物を着てた時代。このへんは町のはずれだったらしい。町で困ったことがあると、僧侶がふらっと現れては解決に導いてくれた。 僧侶は高確率で、「町のはずれにある神社に願いなさい」と言った。実際に願えば解決するから、いつしか人々は困り事があれば神社へ行き、お供え物をしたり、掃除をしたりして、願い事をするようになった。 町の人が、気になって僧侶の後をつけることにした。というのも、神社は小さいもので、人ひとり入れるかどうかといった具合だった。 そこから来てるとは思えない。かといって、町内に神社も寺もない。だから僧侶がどこから来てるのか気になって尾行したというわけ。 僧侶は狐になると、お供え物を食べ、小さな神社の中に入って眠った。怒った尾行者は町に戻ると、見たものを皆に話した。というのも、この町の人達は昔から狐に困らされていた。 盗みはするし、子供に怪我をさせる。挙句の果てには商売の邪魔までするのだから、皆狐を恨んでいる。 町の人達は桶いっぱいの土を持って神社に行くと、勢いよく土を投げつけた。子供から年寄りまで、ほとんどの町人が代わる代わる土を投げつけるものだから、狐は生き埋めになってしまった。 町の人達は神社が埋もれるまで土をかけ続けたという。 それがあの謎の鳥居と小さな山らしい。
Last Updated : 2025-12-21 Read more