All Chapters of 幸せ色の恋~想いよ、永遠に~: Chapter 31 - Chapter 40

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第31話

先輩達と初めて撮った写真は、なんとも間抜けな顔。先輩達の間で、もみくちゃにされている私。『えっ?』と振り向いた瞬間のショットで、目と口が半開き。画面を見ている日和が爆笑しているもんだから、先輩達が面白がってそれを覗き込む。思わず赤面してしまい、口を尖らせてぶつぶつぼやいていると、突然私の隣に柊先輩が戻ってきて、ドスっと座った。「日和ちゃん。今度は俺らだけで撮って」そう言って、顔を近づけてくる。二人の頬がぶつかりそうな距離で、「今度は、いい顔しろよ」と、前を向いたまま私に言った。戸惑う私だけど「撮るよ」日和の声に、ぎこちなくも、先輩の隣でニコッと笑った。「結局、レオくん来ませんでしたね」帰り道。送ってくれると言った柊先輩と、夜道を歩きながら話しかけた。「ほんっとに、あいつは……。どうしたもんかなー」先輩は、頭の後ろで両手を組んで星空を見上げた。私も先輩に続いて空を見上げると、今にも消えてしまいそうな星が、ユラユラと揺らめいていた。それはあまりにもはかない光だったけれど、先輩と肩を並べて見上げた星は、とてもキレイに見えた。「あいつ……。前に進める日、来んのかな……」静かに言った先輩。夜空に散りばめられた星のように、今にも消えてしまいそうな声だった。
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第32話

私は先輩の横顔を見上げるだけで、やっぱり大事な部分を聞けなかった。聞いたところで、私に解決できる問題じゃないと思ったから。レオくんの力になりたいと思うのだけど、私じゃ到底無理なような気がして。さっきの3人の表情から。他人の私は、簡単に足を踏み入れちゃいけないような。先輩も曖昧な言葉を落とすだけで、肝心なことは教えてくれなかった。切なげな表情だけを私に向け、無理に笑っている。私もその微笑みに答えることしかできなくて。『大丈夫ですよ』なんて、無責任な事は言えなかった。夜風は少し冷たい。半袖から出ている腕を軽くさすると、星空を見上げていた先輩の視線が私に向いた。「寒いのか?」「あ…… ハハッ。ちょっとだけ」苦笑して、腕をさする手をさっと下した。すると、先輩はぎこちなく首の後ろに手を当て、なぜかプイっとそっぽを向いた。「悪い」突然の言葉に、『えっ?』と先輩を見上げる。「あ、いや。 ほら。普通はさ、かけてあげるもんだろ。 何か」「何か?」「いや、だから、その。 上着……とか」珍しく頬を赤らめる先輩。首の後ろを忙しくかいて照れ隠しをしている先輩が、何だか可愛かった。「先輩、意外とロマンチストですか?」私が笑いをこらえながら言うと、「……ッ!!」先輩の頬がさらに赤く染まった。「何か、少女マンガに出てくるようなシチュエーション」さらに続けると、とうとう先輩はヘナヘナとその場に座り込んでしまった。「おまえなぁ。そんなこと言うなよお。男心がわかってねー」しゃがみ込みながら、頭をガシガシかいている。しばらく膝の間に顔を埋めいていた先輩は、豪快なため息とともに顔を上げた。その視線が、自然と私に向けられる。
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第33話

街灯が少ない住宅街。ものすごく静かだ。カチカチと不規則に点滅する街灯に、私の目はおかしくなりそうだった。「あのさ……」「はい?」先輩の影も、街灯とともに点いたり消えたり。何やら言葉を探っている。話しだそうとして、『いや、違う』と頭を振って。眉間にしわを寄せて、頭をかいて。不審な動きをしている先輩に、私は小首を傾げた。「なあ……」「どうしたんですか? さっきから」「あ…… いや」不自然に泳ぐ先輩の目がおかしくて、私は口に手を当ててプっとふき出した。「変なの」私が眉をひそめながら言うと、先輩の瞳がじっと私をとらえた。あまりにも真剣な眼差しで、身動きが取れない。「俺ら……付き合ってみる?」冷たい夜風とともに流れてきた言葉。……ん?何……?付き合う?……え「その沈黙やめろよ」先輩は眉間にしわを寄せて、また溜息をついて立ちあがった。私の前まで歩いて来て、放心状態の私の頬をつねる。「おい。 沈黙やめろって」やめろって言われても……。んな、無茶な。「本気、ですか?」ようやく出せた言葉に、さらに先輩の眉間にしわが寄り始めた。「やっぱり、男心がわかってねー」状況を理解し始めた途端、徐々に頬が熱を持ち始めた。突然こんな事を言われて、動揺するなと言うほうが無理な話だ。自慢じゃないけれど、生まれて一度も告白なんてされた事がない。今のは、告白だって思っていいんだよね?「私で、いいんですか?」こういうとき、どんな事を言ったらいいの?「まあ、いいんじゃねーの?」曖昧な答えだったけど、私の頭がフリーズするには充分すぎる言葉で。「おい。 また固まってんのか」舞いあがって、頭の中が真っ白になった。恋愛経験の少ない私は、目の前の言葉だけでテンションが上がっていた。先輩の気持ちを再確認せず、曖昧な答えで心臓を掴まれて。私って、単純だ。先輩の言葉一つで、私の心は先輩一色に染まったんだから。先輩は私の手を取ると、ぎこちなく足を動かす私を引っ張った。フリーズした頭でも、先輩の姿はしっかりインプットしている。首の後ろに手を当てて、私の手を優しく握ってくれている。先輩の一歩後ろで、ニヤけてしまう口元を押さえた。まさか、こんな展開になるなんて……。初めての告白に。初めての彼氏。初めて繋いだ手の温もり。もう一度
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第34話

「付き合う事になったぁ!?」日和の大声があがったのは、体育の授業中だった。「ちょ、日和!! 声がデカイって」日和の口をふさぎながら、試合に没頭するクラスメイトに目を向ける。……よかった。誰も聞いていないみたいだ。体育館でクラスマッチの練習をしているクラスメイトのシューズが、キュッキュッと響いている。「何よその急展開」「私もね、実はまだ実感わかないの……」「そりゃそうだよ。誰だってビックリするわ」日和の言葉に微笑んだ私だけど。実感がわかないって、結構怖い……。『俺ら、付き合ってみる?』それはほんの一瞬の出来事で。先輩の声は、はかなげに瞬く星のように小さかった。あの後、先輩は私を家まで送ってくれたんだ。ずっと手を握ってくれてて。何度も優しい微笑みを向けてくれて。“また明日な”って、手を振って別れた。ずっと憧れていたことが現実になって。あれは夢だったんじゃないかって、不安になった。それを確かめる為に気合いを入れて来たのに「あ〜! 柊先輩が休みじゃなかったら、ちょっといじってやろうと思ったのに〜!!」バレーボールを私にトスしながら、日和が言った。「昨日の夜、ちょっと寒かったから風邪ひいちゃったんじゃない?」そう言いながら、ボールをつなぐ。「バカは風邪ひかないって言うのにね」日和の言葉に、私達はクスっと笑った。「でも...」私がトスしたボールを受け止めて、日和は言葉を区切った。両手でボールを抱えて、手の中でクルクルと回している。「なんか、珍しい。今までに彼女を作ろうとしてなかった先輩が、急に告白だなんて」………。それは、私も思った。家に帰りついて冷静になってから思ったんだけど。めちゃくちゃモテる先輩が今まで彼女を作ろうとしていなかったのに、どうして急に?しかも、どうして私?なんて、お風呂に入りながら不思議に思ったんだ。「美羽だから、先輩も告ったんだろうね」日和は満面の笑みを浮かべ、『美羽は特別だ』と、言葉を続けた。
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第35話

『今日、壮吾の見舞に行くけど、美羽ちゃんも行く?』そう誘ってくれたのはコウ先輩。私達の教室に、レオくんの様子を見に来ていたんだ。コウ先輩が教室に来ると急に空気が変わり、女子の視線を独り占めしていた。黄色い声を浴び慣れている先輩は、レッドカーペットを歩くハリウッドスターのように手を振っていた。それを見ていた日和は面白くなさそうに机に頬杖をついていたけど、私はそれが楽しくてずっと笑っていた。柊先輩の家に行くのは、各自家に帰ったあと。制服じゃ何かと厄介だからな。 と、よくわからない事を言っていたコウ先輩の提案だ。先輩が教室を出る前に、机に突っ伏しているレオくんに『必ず来いよ』と念を押していたけど……一度家に帰ったら、レオくんの事だから絶対に来ないような気がする……柊先輩の家に向かう途中。風邪なら何か栄養のあるものを持っていこうと思い、スーパーに立ち寄った。何がいいかなと、買い物カゴ片手にかなり悩んだ。悩みに悩んだ末、購入したのは、みかん。先輩と付き合い始めて、まだ1日目。色気がなさすぎるかなと思ったけど、一番無難のような気がして。こんな事で散々悩んでいるわたしは、なんだか恋する乙女のようで一人でテンションが上がっていた。まぁ、実際。 恋する乙女なんだけど。
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第36話

柊先輩の家は、日和の家の近くらしい。日和の家の前にある公園で待ち合わせをして、一緒に向かう事にした。空はもう茜色に染まり始めている。この時間帯の空は、あまり好きじゃない。とてもきれいな色だけど、これから暗くなっていくことを考えると寂しさが襲ってくるから。だから私は、いつも楽しい事を考えながら歩くことにしているの。たとえば。柊先輩と付き合う事が出来て、これからどんな幸せが待っているんだろうとか。日和やコウ先輩と、もっともっと仲良くなりたいなとか。レオくんの心を、少しでも開けたらいいな。レオくんの笑顔って、どんな感じなんだろうなとか。今日はそんな事を考えていた。ふと前を見ると、見慣れた人物を発見。その瞬間、私の足が地面に張り付いた。「レオ……くん?」徐々に夕日が沈んでいく中、そこに佇んでいたのはレオくんだった。商店街のおしゃれな花屋の前。外に並べられている色鮮やかな花を、じっと眺めていた。私が呼んだ声は、レオくんには届かなかったのだろう。もう一度レオくんの名前を呼びたかったけれど、私には、呼べなかった。花を眺めるレオくんの表情が、とても哀しげだったから。沈む夕日のせいで余計哀しく見えて。私服姿のレオくんの横顔を見ているだけで、声がかけられなかった。春の穏やかな風が私達の間を吹き抜けて行く。レオくんのサラサラの髪が揺れるように、花屋に並べられているキレイな花も左右に揺れていた。私の手にさがるスーパーの袋も、カサカサと鳴る。その音に、レオくんがふとこちらを振り向いた。切なげな瞳のままで、だけど私の方を向いた瞬間、その切なげな瞳が少し揺れた。遠くから見ても、それは簡単に見て取れた。初めて見る、レオくんの動揺だったから。
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第37話

「あ…… ごめん」私までも動揺してしまって、1歩、2歩と後ずさる。レオくんのあんな表情を見て、何て言ったらいい?ここ2、3日、柊先輩と日和の言葉を聞いているからなおさらだ。核心にふれた今、目を泳がせる以外に、方法がなかった。レオくんの表情は、すぐにまたいつもの無表情に戻っていた。何事もなかったかのようにズボンのポケットに両手を突っ込んで、私に背を向けた。「あ…… 待って!!」勢いで呼んでしまったけど、このあとどうやって話しをつなごう……。だけど。レオくんは、私の声には振り返らなかった。レオくんの心が全く読めなくて、どうしたらいいのかわからない。レオくんと知り合って間もないのだから、仕方無いことだと思うけれど……。日和や柊先輩があんなにレオくんの事を心配しているのに、私だけ何も知らないって事が、やっぱりすごく悲しい。私じゃ、力になれない事なの?だけど、何も聞けない私は、力不足の臆病者だ。悔しい……。「レオくんっ!!」悔しい。レオくんの事を何も知らないのは当たり前だ。それなら「私達、友達になろうよっ!!」一から、レオくんの事を知っていけばいい。それだけの話だ。レオくんは、やっぱり背中を向けたまま無言で歩いて行く。だけど、諦めない。「これから、たくさん話しようよっ!!」不審な顔で横を通り過ぎて行く人を気にもせず、私はレオくんの背中に声をかけ続けた。「レオくんの事、もっと知りたいよ」レオくんと仲良くなりたい。先輩達のようにとは言わない。だけど、少しでも笑ってもらえるように、私が支えていきたい。例え、どんなに頼りなくても。「私ねっ……」レオくんの事を知るには、まずは自分の事から知ってもらうべきだと思った。探りを入れるだけってのは、気が引けるし。だから、近況報告を。「私は、付き合うことになったの。柊先輩と」
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第38話

レオくんに動きがあった。ずっと前を向いていて、私の声なんて耳に入っていないって感じだったのに。私が『付き合うことになった』と言った瞬間、くるりと振り向いたんだ。それも、すごく驚いたように目を丸めて。いつも無表情なレオくんのその表情は、とても違和感たっぷりで。「それ、どっちから言ったの?」まるで、私達の間だけ時間が止まってしまったようだった。「先輩……から」出した声が、微かに震えてしまった。どうして?そう聞きたかったのに、声にならなかった。それだけレオくんが驚いていたから。「ふーん」あんなに驚いていたのに、もう興味無さそうにクルリと踵を返すと、ポケットに両手を突っ込んで歩いて行った。『ふーん』と、素っ気ない言い方だったけれど。久しぶりに聞いたレオくんの声は、私の耳にしっかりと残った。「え、あれ?ふたり一緒だったの?」レオくんの後ろでちょこまかと歩いている私に、公園で待っていた日和が目を丸めた。「あ、うん。 途中でばったり会って」「へー。そうだったんだ」私からレオくんに視線を向けると「よかった。来てくれて」と、日和がほほ笑んだ。レオくんは、プイっとそっぽを向く。そのまま、ひとり先に歩いて行ってしまった。レオくんの背中を眺めた日和は、肩をすくめて苦笑した。「コウ先輩は?」「あー。 お兄ちゃんは後から来るよ。買い物してから来るって。なんか、張り切っちゃって」張り切ってる?私は日和に向かい眉を上げた。「日和と柊先輩が付き合う事になったって、さっき言ったの」“付き合う”自分の事なんだけど、まだ慣れなくて心臓が跳ねる。「今日はパーティーだって」フフッと笑った日和は、『行こう!!』と私の手を引いた。パーティー……?柊先輩、風邪なのに。私は日和に手を引かれながら、屋根に沈んでいく太陽に目を細めた。柊先輩、大丈夫かな。
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第39話

「おじゃましまーす」日和のうしろに隠れながら、柊先輩の部屋のドアを開ける。昨日の今日でなんだか恥ずかしくて、思わず身を丸めてしまった。お見舞いに来ているのに、先輩の部屋だと思うと鼓動がおかしくなる。心臓が動く度に、私の体が震えた。部屋の中を覗くと、私達よりも先に着いていたレオくんが、部屋の隅っこに座って雑誌をめくっていた。肝心な柊先輩はというと……。「うあ〜……」ベッドの中から、唸り声が。私は日和と顔を見合わせ、静かに部屋の中へ足を進めた。「先輩…… 大丈夫ですか?」ベッドに近づき声をかけると、私の声に反応して、布団の中でもぞっと動いた。先輩の唸り声がこもって聞こえる。「先輩。 あの、みかん持って来たんで」「うーん。 サンキュ……」「食べられるようになったら、食べてくださいね。この机の上に置いときますから」私は、布団にくるまったままの先輩に言って、買ってきたみかんを部屋の中央にあるテーブルに置いた。すると、突然布団の中から先輩の手が伸びてきて、私の手首を掴んだ。びっくりして振り向くと。熱でほてった真っ赤な顔が、少しだけ布団から出ていた。「今、むいて」声がガラガラだ。「先輩、熱高いんですか?」私は、言いながら先輩のおでこに手を当てる。「うわっ!! すごい熱じゃないですか?病院は行きました?」先輩がコクンと頷く。潤んだ瞳で私を見上げている。……うっ。し、心臓が……。そんな瞳で見られると、私の心臓、ヤバイんだよなあ。先輩は風邪で苦しんでいるというのに、私の心臓は高鳴りっぱなし。ああ……。先輩。 色気ありすぎ。私は、緊張で震える手を抑え、何とかみかんをむく。先輩のそばまで行き、布団から顔だけ出している先輩に、一つひとつ食べさせていった。その間も、忙しく動く心臓。こらっ!!心臓。 静まりなさい!!と、その時――。
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第40話

「ヘイ! 壮吾っ。見舞い品たくさん持って来たぜっ!!」明らかにテンションのおかしい人物が、コンビニの袋らしきものを2つ抱えて、ドアから現れた。日和とレオくんは、眉を寄せて迷惑そうな表情。先輩は、キーンと耳鳴りのなるような大声に、また布団にもぐってしまった。「あ、あれ?」勢いよく部屋に入ってきたコウ先輩は、拍子抜けというような感じで、キョトンとしている。「壮吾。 おまえマジで寝込んでんのか」先輩は、布団の中で身を丸めるだけで、返事はしなかった。「んだよ。 マジかよ。いつもみたいに仮病だと思ったのによ」頭をガシガシかいて、テーブルに袋を置くコウ先輩。「お兄ちゃん。こんなにたくさん何買って来たの?」「何って。パーティーしようと思ったから、酒とお菓子」ああ……。制服じゃ、何かと厄介だからなって。この事だったんだ……。「壮吾がマジで寝込んでるなんて知らねーし。しかも、美羽ちゃんと付き合うことになったのも、俺に一番に教えてくれなかったし」コウ先輩が口を尖らせてふて腐れた。「何でもかんでもおまえに報告すると思うなよ」柊先輩が、顔だけ出して苦しそうに声を出した。コウ先輩は、『んだよ~』とすねながら「ソウちゃん。 その声セクシー」と、両手の人差し指でクイクイと柊先輩を指していた。「でも、美羽ちゃんをとられて、俺ちょっとヘコむ。狙ってたのになあ」コウ先輩が口を尖らせながら言うと、今まで布団にくるまっていた柊先輩が急に飛び起きて、私の腕を引いて、ベッドに座らせた。「おまえふざけんな。 手出したらぶっ殺す」……うっ心臓が……。ヤバイヤバイ。 口から出てくるよ。「美羽はもう俺の女だ。 レオも、絶対手出すなよ」先輩は、そう言って、私の肩を抱き寄せた。ああ……。私の魂が、昇天していく。
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