紫音は少し驚いて声をかけた。彼女はいつも文句一つ言わず、献身的に働いてくれている。プロジェクトが安定している今は、少しでもゆっくり休んでほしかったのだ。「紫音さん。家にいても手持ち無沙汰ですし、早く来ておけば急なトラブルにも対応できますから。……それに、実はご相談したい大事なことがありまして」蘭はもじもじとしながら、少し言いにくそうに口を開いた。「調べて分かったんですが、今日は塚山さんのお誕生日なんです。何かお祝いをお渡ししたいんですけど、何を贈ればいいのか分からなくて……あの方なら何でも持っていらっしゃるでしょうし、私からの贈り物なんて気にも留めてもらえないんじゃないかって……」紫音の友人であり、彼自身も会社のトップである浩一。彼へのプレゼント選びに、蘭はずいぶんと前から頭を悩ませていたようだ。「あなたが教えてくれなかったら、私もすっかり忘れるところだったわ。相変わらず蘭はよく気がつくわね。でも、私だってあいつとはそれなりに長い付き合いだけど、何をもらって喜ぶかなんてさっぱり見当もつかないの。……ねえ、それなら今夜、一緒に食事にでも誘ってみない?」蘭と浩一を突然二人きりにしても、気まずい思いをさせてしまうだけだろう。自分が同席すれば、浩一を祝いの席へ誘い出す自然な口実になる。紫音はそう察して助け船を出したのだ。「いいんですか!?紫音さんのお時間が許すなら、ぜひお願いしたいです!」蘭の表情がパッと明るくなった。実は彼女自身もそれを提案したかったのだが、紫音の忙しさを気遣って、どうしても自分からは言い出せなかったのだ。紫音は迷うことなく、浩一の番号を呼び出した。「お誕生日おめでとう、浩一さん。うちのアシスタントが資料で見つけてくれなかったら、危うく素通りしてしまうところだったわよ」冗談めかした紫音の声に、電話越しの浩一は一瞬絶句した。自分の誕生日を祝う習慣などなく、当の本人が完全に失念していたのだ。「……言われるまで気づかなかったよ。わざわざ電話をくれるなんて、何か特別な贈り物でも期待していいのかな?」「それは私の気分次第ね」紫音は軽く受け流すと、本題を切り出した。「もし今夜お時間があるなら、一緒にお祝いでもどう?アシスタントの蘭も同行させて。彼女、取引先として心のこもったプレゼントを用意しているみたいだから」あ
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