そう約束すると、まだたった一度会っただけの相手についてあれこれ推測するのはやめにしようと、二人はこの話題を打ち切った。「さて、そろそろ休もうか。明日も会社だろう?」夜も深くなってきたのを見て、律は優しく紫音を寝室へと促した。……翌日。出社してからも、紫音は兄のことが気がかりで仕事が手につかなかった。思い立った彼女はすぐに有加里へ電話をかけ、「もし今日お時間があったら、一緒にランチや買い物をしませんか?」と誘ってみた。有加里の返事はとても軽快で、電話口の様子も非常に愛想が良かった。州の大切な妹である紫音に気に入られたいという気持ちの表れだろう。「じゃあ、三十分後に有加里さんのダンススクールの近くにあるショッピングモールで待ち合わせましょう」相手があまり移動しなくて済むように、紫音の方から場所を提案した。「わかりました!楽しみにしていますね」電話を切ると、紫音はすぐに約束のモールへと向かった。現地で合流するなり、有加里は何の躊躇もなく紫音の腕に自分の腕を絡ませてきた。まるで昔からの姉妹のように親しげな距離感だ。「紫音さん、今日はどうして私を誘ってくれたの?」有加里は無邪気に笑いながらそう尋ねてきたが、その明るい声の裏に、かすかにこちらの意図を探るような気配が混じっている。昨夜、律からあの忠告を受けて以来、紫音の中には確かな警戒心が芽生えていた。いざこうして向き合ってみると、確かに律の言う通りかもしれないと思えてくる。今日会った瞬間から、有加里の視線が常に自分の顔色や反応を注意深く窺っているのがわかったのだ。言葉にはしづらいけれど、どこかがおかしい。紫音の胸の奥で、正体不明の小さな違和感が静かに波打っていた。「お兄ちゃんから、この近くのダンススクールで働いてるって聞いたから。職場案内も兼ねて、近くでアフタヌーンティーでもどうかなって思って」紫音は昨日と変わらない柔らかな笑顔のまま、胸の内の警戒心を微塵も表に出さずに言った。「もちろん、すごく嬉しい!でも、紫音さんの会社からここまでは結構遠いでしょう?わざわざ来てもらうのは申し訳ないから、次からは私がそっちへ行くわね」有加里の対応はとても自然だった。どんな話題を振ってもスムーズに受け答えし、常に相手の負担を気遣うような優しさを見せる。「ううん、気にしないで。
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