志津の言葉は固辞しながらも、慈愛に満ちていた。二人がどれほど自分を案じてくれているか、痛いほど伝わっていた。この冷え切った家の中で、純粋に自分の幸せだけを願い、手を尽くしてくれる二人がそばにいてくれる。それだけで、志津にとっては十分すぎるほどの幸福だった。「……志津様がそうおっしゃるお気持ちも、今の考えも、よく分かります。でも、律はやっぱり志津様に手術を受けてほしいと願っているんです」紫音は食い下がるように、だが優しく諭すように言った。「志津様、どうか今すぐ答えを出さないでください。今日、私がここで手術の話をしたことは、律には内緒にしておきます。だからどうか、もう一度だけ考え直してみてはいただけませんか?二日後……二日待って、それでも志津様の決意が変わらないようでしたら、その時は私が彼にきちんと伝えますから」すぐには承諾してもらえないだろうとは分かっていた。それでも、紫音はどうしても志津に生きることを諦めてほしくなかった。「……分かった。あんたの顔を立てて、少し考えてみよう」志津は小さく息をつき、紫音の申し出を受け入れた。「こんなによくできた、思いやりのある孫嫁を持てて、私は本当に幸せ者だよ。お前たちがそこまで私のことを思ってくれるなんてね……」二人の無私の優しさに触れるたび、志津の胸にふと実の息子たちの醜い顔がよぎり、深い虚しさが押し寄せてくる。もしあの息子たちが、少しでもこの孫たちのような愛情を持って接してくれていたなら、志津とてあそこまで冷酷に入室を拒むようなことはしなかっただろうに。「ところで、最近の律はどうだね?毎日忙しくしているのかい?あの二人がまた律の邪魔をしていないか、心配でね。もし何か厄介なことが起きたり、お前たちではどうにもならないことがあったら、私に言うんだよ。私のような年寄りにはもう大したことはできないかもしれないが、知恵を貸すことくらいはできる。だから、絶対に二人だけで抱え込まないこと。いい報告だけして、悪いことを隠すような真似をすれば、余計に心配するんだからね」志津の言葉は穏やかだったが、そこには揺るぎない威厳と、二人を守ろうとする強い覚悟が滲んでいた。「はい、志津様。何かあったら必ず一番にご相談します」紫音はまっすぐに志津の目を見て、力強く頷いた。「そうか。……なら、今日はもう仕事は終わりかい
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