二人は強く抱きしめ合った。この瞬間を、まるで途方もない長い時間待ちわびていたような気がする。一度すれ違い、失いかけたからこそ、互いの存在の尊さを心の底から噛み締めることができた。「ええ……約束するわ」すべてを打ち明け合い、塞ぎ込んでいたわだかまりを解いてしまえば、二人の間にある問題など実はちっとも複雑ではなかった。互いの心がしっかりと寄り添ってさえいれば、必ず幸せを築いていけるのだ。店を出た後、州はすぐに紫音へ【無事にやり直せたよ。近いうちに有加里の荷物も全部こっちに運び込むつもりだ】とメッセージを送った。ちょうどその頃、紫音は志津の元へ向かう道中にいた。スマホの画面に浮かんだ兄からの報告を見て、思わず安堵の笑みがこぼれる。ようやく、一つの出来事が無事に落ち着くべきところへ落ち着いてくれた。もし二人があのまま別れの悲劇を迎えていたら、きっかけを作ってしまった紫音は一生後悔の念に苛まれていたに違いない。ずっと胸を塞いでいた重い罪悪感が、ようやくすーっと消えていくのを感じた。だが、完全に肩の荷が下りたわけではない。紫音にはまだ、志津の手術という大きな問題が残されている。「二日間だけ考え直してほしい」と志津にお願いした約束の期限が、いよいよ目前に迫っていた。一刻も早い手術を望む律からはしきりに状況を気にする連絡が入っており、紫音自身も早く志津の最終的な答えを確かめたかった。それに、ここ数日は兄のことで駆け回っていたため、顔を見に行けていない。紫音は単純に、大好きな志津に会って、少しでも長くそばで寄り添ってあげたかったのだ。邸宅に着くと、志津はベランダに出て花に水をやっていた。花を愛する彼女の手で丹念に手入れされた鉢植えは、どれも青々と瑞々しい葉を広げている。「志津様、ただいま戻りました。今日は少しお加減が良いみたいですね。水やり、私も手伝います」紫音はそばに駆け寄って声をかけた。「いいのいいの、これくらい私の楽しみなんだから。……それより、紫音さん。今日来たのは、手術の返事を聞くためでしょう?」志津はジョウロを置くと、穏やかだがキッパリとした口調で言った。「あれからいろいろと考えたけれど、やはり手術は受けないことに決めたわ。もうこの歳だもの、これ以上体を痛めつけるようなことはしたくないの」「最近はずっと体調がすぐれないけれど
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