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第314話

Auteur: 青葉凛
「……早苗さん。私が『志津様の財産なんて最初から少しも狙っていない』と言ったところで、どうせ信じてはもらえないでしょうね。だから、これ以上言い訳するつもりはありません。私たちは早苗さんとは見ている世界が全く違うんですから、理解してもらおうとするだけ無駄です」

紫音は真っ直ぐに早苗を見据えたまま、凛とした声で言葉を紡いだ。「でも、これだけは言っておきます。仮に拝島家の財産が手に入らなくたって、私たちは十分に自分たちで生きていけます。むしろ今よりずっと穏やかな生活が送れるでしょうね。早苗さんたちの見苦しい嫌がらせから解放されるんですから」

「律の能力は、誰よりも優れています。他のどんな会社に行ってもトップに立てるし、自分で会社を立ち上げたって絶対に成功する。だから、会社を早苗さんたちに奪われたところで、私たちは痛くも痒くもありません。私たちが今も踏みとどまっているのは、ただただ志津様のため……それだけです」

律を守るためなら、もう容赦するつもりはなかった。紫音の声には、普段の温和さからは想像もつかないほどの強い気迫がこもっていた。

「律がこの会社のためにどれほど血の滲むような努力を
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