そんな矢先、あろうことか紫音が拝島律と腕を組んで現れたのだから、彼の動揺は計り知れない。「私は独身よ。誰とどこにいようと私の勝手じゃない。何をやましく思う必要があるの?」紫音は冷ややかな笑みを浮かべ、侮蔑のこもった瞳で彼を見据えた。「相変わらずプライドばかり高い女だな。いいか、あいつが誰だか分かってるのか?拝島律だぞ!」清也はさも正論を述べているかのように胸を張り、軽蔑の眼差しを向けてくる。「お前みたいな女に釣り合う相手じゃない。それに、彼にはもうすぐ婚約する相手がいるんだ。お前、他人の関係を壊す泥棒猫になるつもりか?」滑稽な話だ。拝島律の「婚約する相手」が、まさか目の前の紫音だとは夢にも思っていないのだろう。「泥棒猫?私がこの世で一番軽蔑しているのが『浮気相手』というポジションよ。私がそんな人間に成り下がるとでも思って?」紫音の声は、氷のように冷たく響いた。「なら、奴には近づくな。忠告しておくが、拝島律は危険な男だ。もし今日のお前の軽率な行動が彼の本当の婚約者に知れたらどうなるか……分かってるのか!」清也は低く唸るように吐き捨てた。なぜだろう。彼女が他の男と一緒にいる姿を見るだけで、腹の底からドス黒い怒りが湧き上がってくる。さっき二人が会場に入ってきた時、彼は衝動的に駆け寄って怒鳴りつけようとした。だが、相手が拝島律だと気づいた瞬間、足が竦んだのだ。見間違いであってほしいと願ったが、七年も連れ添った紫音を見間違うはずがない。悔しさと嫉妬が渦巻くが、拝島グループの若き当主と正面切って揉めるわけにはいかない。それが余計に彼のプライドを傷つけていた。「私の勝手でしょう。あなたに関係ないわ。こんなところで油を売ってる暇があるなら、自分の会社の心配でもしたら?」紫音は冷たく言い放ち、拘束された腕を振りほどこうとした。だが、清也の指は万力のように食い込み、さらに強く締め付けられる。骨が軋むほどの痛みが走った。「紫音ッ!」清也の瞳に狂気じみた光が宿る。「いつからそんな可愛げのない女になったんだ!俺が復縁のチャンスをやってるのに、それを棒に振るつもりか?後悔しても知らんぞ!」「別れた男のチャンスなんて、誰が欲しがるのよ。お断りだわ!」紫音の白い肌が鬱血し、どす黒く変色し始めている。激痛に顔を歪
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