その時、莉奈は銃を握りしめたまま、振り返らずに背後の壇将へ尋ねた。「こう持てば合っていますか?」背後からは、なかなか反応が返ってこなかった。莉奈はそれ以上気にせず、標的に狙いを定めた。引き金を引く。パンッ、と乾いた銃声が響き、弾は二点圏に当たった。莉奈は振り返って壇将を見た。泣いたあとで、目元が少し赤い。「まあまあですよね?」壇将は手にスマホを持っていた。気のせいかもしれない。けれど莉奈が振り返った一瞬、壇将が、ぞっとするほど冷酷で、底知れぬ空気をまとっているように見えた。だが今の壇将は、何事もなかったかのように静かにそこに立っている。莉奈の言葉にも、ただわずかに頷いただけだった。壇将に認められても、今の莉奈は前ほど嬉しくはなかった。それでも、撃つ感覚は少しずつ掴めてきている。何発か撃ったあと、貸し切りの射撃場の中に、不意に自分以外の声が響いた。「向井さん、ここにいらしたんですね!」廷治が場内へ駆け込んできた。銃を構えている莉奈を見て、驚きと焦りを隠せない顔になる。――向井さんが、どうして射撃なんて習っているのか。佐伯様なら、彼女にこんな危険なものに触れさせるはずがない。もし佐伯様に知られでもしたら、護衛である廷治はただでは済まない。莉奈は銃を下ろし、ゴーグルを外した。「どうしてここが分かったの?」莉奈が廷治に行き先を教えなかったのは、射撃を習っていることを知られたくなかったからだ。壇将が連れてきたこの射撃場は、かなり人目につきにくい場所にある。しかも壇将が貸し切っているのだ。ほかの人間が来るはずはなかった。それなのに廷治がここへ来たということは。廷治は歩み寄って説明した。「Jさんから位置情報が送られてきたので、慌てて来ました」廷治も、送られてきた場所が射撃場だと分かった時は我が目を疑った――Jさんは向井さんをこんな場所へ連れてきて、いったい何をしているのか。「向井さん、どうして射撃なんて習っているんですか。護身術をしっかり身につけて、Jさんに鍛えてもらえば、普通の相手なら十分対処できます。銃なんて、本当に必要ありませんよ」廷治は、莉奈に銃へ触れさせたくなかった。けれど言い終えた途端、莉奈が不思議そうに壇将を見つめていることに気づいた。莉奈は壇将に、射撃を
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