優希は助けを求めるように暁春を見るが、彼は靴を履き替える有美を静かに見ているだけで、突然玄関に入ってきたことに驚いている様子は無かった。 (それもそうよ、あのスリッパはさっき暁春が出したんだわ。) 今晩はお腹の子のことを含めた優希と暁春のこれからについて話すはずなのにと、優希は眉をひそめる。 その気持ちを感じ取ったのか、暁春は優希を見ると申し訳なさそうに眉を下げて言った。 「ゆうちゃんすみません。有美ちゃんのアパートが上階からの漏水で住めなくなってしまったので、しばらく我が家に滞在してもらおうかと思います。」 寝耳に水な話に優希は慌てる。 「なんでそんなことを急に言うの!?」 「俺も本邸を出る時に知ったんです。大丈夫、ゲストルームは沢山ありますし、ゆうちゃんがきちんと掃除してくれてるの知ってるので問題ないでしょう。」 「そういう問題じゃっ…。」 思わず声を荒らげそうになった優希だが、暁春の隣で顔を俯かせた有美が目に入り言葉を飲み込んだ。 「…とりあえず、今日はもう遅いから有美ちゃんにはゲストルームに泊まってもらうけど、明日以降のことはきちんと話し合いましょう。」 優希がそう言うと、有美は頭を下げて「ありがとうございます!」と言った。 「ありがとう、ゆうちゃん。さ、有美ちゃん、リビングはこっちだ。」 優希に微笑んだ暁春は有美をリビングに案内する。 玄関には眉を寄せて唇を噛み締めた優希だけが残された。 (もう私の前でも普通に三滝秘書じゃなくて有美ちゃんって呼ぶのね…。) 付き合っていたと認めてから有美の呼び名が変化していたことには気づいていたが、有美もそれを自然に受け入れているのを見ると、優希の胸が苦しくなった。 2人を見ていたくないと言ってもいつまでも玄関にいる
Last Updated : 2026-03-18 Read more