「美羽さんに会いたいだろ?連れて行ってあげる」「本当!?」綾は身を乗り出し、興奮を隠せなかった。「行くぞ」健吾は満足げに立ち上がり、堂々とした足取りで外へ向かった。綾は彼の後ろを小走りで追いながら、「本当に美羽さんに会えるのよね?嘘つかないでよ」と念を押した。健吾を疑うわけではないが、颯太でさえ見つけられなかった美羽を、部外者の健吾が見つけられるはずがないと思ったからだ。「二宮家の土地を美羽さんのお父さんに渡したんだ。その代わり、お前と美羽さんが会う時間を買ったのさ」健吾のあまりに軽い口調に、綾は歩を止め、その場に立ち尽くした。「土地の評価額はいくらなの?中野グループの株主として、私がその分は負担するわ」8歳で引き取られてから、常に誰かに借りを作って生きてきた。その重圧に、もう耐えられなかった。「会ったあと、ゆっくり計算すればいい」健吾は車のドアを開け、綾をエスコートするように手を添えた。「分かった。ちゃんと受け取ってよね。じゃないと行かないわ」「心配しなくていい。俺はチャリティーでやっているわけじゃないんだ。しっかりもらうよ」健吾は反対側のドアから乗り込み、綾の隣に座った。気のせいかもしれないが、今日の健吾は終始上機嫌なように見えた。何度か視線を感じて横を向くと、健吾がじっとこちらを見ていた。綾はわざと見えないふりをして、窓の外に目を向けた。だが窓ガラスには、自分を熱っぽく見つめる健吾の姿が映り込んでいた。車は郊外へ向かって走り、4時間ほどして山間の屋敷に到着した。三方を絶壁に囲まれ、出入りできる道は一本しかない、完全に孤立した場所だった。車なしでは下山すら困難な場所だ。綾は拳を固く握りしめた。宗介の冷酷さに怒りを覚えた。こんな所に美羽を閉じ込めるなんて、牢屋と何が違うんだ。健吾は綾の隣に並び、低く囁いた。「今回の面会時間は、2時間だけだ」「あれほど高い土地を差し出したのに、美羽さんを連れ出せないの?」綾は悔しさをにじませた。なぜ一方的に相手にメリットを与えるようなことをしたのか、理解できなかった。「あそこは美羽さんにとって安全な場所さ。杉本家は、愛人の子が外で羽を伸ばすことを決して許さないからね」健吾はかつてカタリナの厳しい監視下に置かれたビアンカ
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