All Chapters of 私を散々泣かせたクズ男たちが、今さら本気で愛してくる: Chapter 81 - Chapter 90

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【第五章】やっと、安心できた朝

7時を少し過ぎた頃だった。 まだ朝の光はやわらかくて、夜の気配が、ほんの少しだけ残っている。 その静けさを破るように、インターフォンが鳴った。 一瞬、身体が強ばる。 ——また、あの人じゃないよね。 胸がざわつく。 でも、モニターに映った顔を見た瞬間、その緊張はすっとほどけた。 ルカさんだ。 「大丈夫か?」 低くて落ち着いた声。 画面越しでも伝わる、焦りと、まっすぐな気遣い。 急いで出てきたのがわかる。 タンクトップにダルっとしたズボン。 寝癖のついたままのボサボサの髪。 普段なら少しラフすぎる格好なのに、今はそれが、ただ必死に来てくれた証のように見えた。 ——本当に来てくれたんだ。 その事実だけで、胸の奥がじんわりと熱くなる。 すぐにオートロックを解除して、ドアを開ける。 「ありがとう…」 声に出した瞬間、思っていたよりも、少し震えていた。 ずっと張り詰めていたものが、一気にゆるみそうになる。 ルカさんは、少しだけ私の顔を見て、状況を確かめるように目を細めた。 「…大変だったな?」 その一言は、必要以上に踏み込まず、でもちゃんと気持ちに寄り添う、やさしい距離感だった。 「紗月ちゃんが無事でよかった」 それだけを言って、次の瞬間、何も言わずに、私を抱きしめた。 一瞬、息が止まる。でも、すぐにわかる。 その腕に、力はこもっているのに、どこかやわらかい。
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【第五章】ドキドキと警戒のあいだで

「ごめん、今日普通に仕事なんだけど、ちょっとここで仮眠とらせてもらってもいいかな?」 少し申し訳なさそうに、でもどこか自然なトーンでそう言われた。 「うん、いいよ」 反射的に答えてから、ほんの少しだけ、心が揺れる。 ——いいのかな。 さっきまで、あんなに怖い思いをして、助けてもらったばかりなのに。 ドキッとする気持ちと、断れない理由が、胸の中で交差する。 自分から呼び出したのは、私だ。 だから、ここで拒むのは違う気がして。 曖昧な感情のまま、私は彼を部屋の中へ招き入れた。 玄関のドアが閉まる音が、やけに大きく響く。 外の空気と遮断されたその瞬間、ふたりだけの空間になる。 その事実に、少しだけ意識が向く。 「シャワー借りてもいい?」 中に入ってすぐ、何気ない調子でそう言われた。 ——え。 一瞬、思考が止まる。 距離が、一気に近づいた気がした。 思わず、半歩、後ろに下がる。 無意識だった。 「う、うん…」 声が少しだけ上ずる。 「ありがとう」 ルカさんは気にする様子もなく、穏やかに笑った。 でも。 そのあと、数秒間。 何も言わずに、こちらを見つめてきた。 目が合う。 視線が、外せない。 空気が、止まる。 心臓の音が、急に大きくなる。 ——なに、この感
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【第五章】優しい顔した、いちばん怖い人

「タオル借りてもいい?」 「うん……」 短いやり取りなのに、その距離の近さがやけに現実味を帯びていて、胸がざわつく。 まるで、ずっと一緒にいるみたいな、そんな錯覚。 ……いや、違う。 落ち着かない。 この空気、慣れちゃいけない気がする。 ふと顔を上げると、ルカさんがじっとこちらを見ていた。 何も言わず、ただ目だけでこちらを捕まえるみたいに。 そして、口元がゆっくりと緩む。 ——ニヤリ。 いたずらを仕掛ける前の子どもみたいな、でもどこか底知れない“悪さ”を含んだ笑み。 「……っ」 視線を逸らしたくなるのに、逸らせない。 心臓が、変なリズムを刻みはじめる。 やがて、シャーッと水の音が部屋に広がった。 その音だけで、なぜか妙に意識してしまう。 ルカさんが、今、あの向こうで一人でシャワーを浴びているという事実。 ただそれだけなのに、無駄に想像が膨らんでしまう。 ……ずるい。 思わず唇を噛んだ。 いや、ダメ。 ぶんぶんと首を横に振る。 あの人は、危ない人だ。 従業員に平気で手を上げるし、ヤクザの息子。 住んでいる世界が、根本的に違う。 優しい顔を見せたって、それに騙されちゃいけない。 たしかに、これまでの男たちみたいに雑に扱われたことはない。 むしろ、傷つけられたことは一度もない。 でも——だからといって、安心していい相手ではない。 「……絶対、DVとかするタイプでしょ……」 ぽつりと呟いて、自分で自分の考えを肯定するように頷く。 なし、なし。 これは、なし。 そうやって無理やり気持ちを切り替えようとした、そのとき。 「紗月ちゃーん」 名前を呼ばれて、びくっと肩が跳ねた。 「な……なんですか……」 声が少し上ずる。 でも——待って。 今、シャワー中のはずじゃ…… つまり。 全裸? 一気に思考が停止する。 ぎこちなく、顔を背けたまま、そちらへ足を向ける。 視線は絶対に向けない、と自分に言い聞かせながら。 そのとき。 ガチャ。 浴室のドアが、あっけなく開いた。 「え——」 思わず息を呑む。 視界の端に飛び込んできたのは、濡れた髪から水滴を滴らせたままのルカさんの姿。 上
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【第五章】黒豹は優しく牙を隠す

「ドライヤー借りてもいい?」 少しだけ間を置いてから返ってきたその声は、どこか気の抜けたような、けれど妙に柔らかく耳に残る響きをしていた。 「どうぞー!」 私はあえて顔を向けず、ベッドの上に腰を下ろしたまま、そっけなく返事をする。 視線を向けたら、きっと負ける気がしたから。 ——わかってる。 ルカさんは今、お風呂上がりだ。 濡れた髪、少し上がった体温、ほんのり香るシャンプーの匂い。 何も見ていなくても、その“気配”だけで十分すぎるほど伝わってくる。 ブォーッ、とドライヤーの音が部屋に響く。 無機質なその音に紛れて、心臓の鼓動がやけにうるさい。 (落ち着いて、私……) 自分に言い聞かせたその瞬間、音がふっと途切れた。 不自然な静寂。 次の瞬間、「紗月ちゃん」少し低くて、さっきよりも距離の近い声。 「なに?」 寝室から声だけを返す。 姿は見せない。見たくない。見たら、きっと——。 「乾かしてぇ」 まるで子どもみたいな、けれどどこか計算されたような甘えた声だった。 その一言だけで、空気の温度が一段階上がる。 (……この男は、本当に) 思わず眉を寄せる。 一見すれば穏やかで、余裕があって、誰にでも優しくできる紳士。 けれどその奥にあるものを、私はなんとなく感じ取ってしまっている。 黒豹みたいだ、と思った。 静かに近づいて、油断したところを一瞬で仕留めるような、 あの、しなやかで危険な気配。
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【第五章】危険だとわかっているのに

「親がヤクザだからって、恋人にも一方的に別れを告げられたことある。だから紗月ちゃんが避けたくなるのも、わかるよ」低く落ちるような声だった。床に静かに落ちて、跳ね返らずにそのまま沈んでいくような響き。諦めているようで、どこかでまだ諦めきれていない。そんな、微かな揺れが残っている。「……ルカさん」名前を呼ぶと、彼はわずかに視線を逸らした。ほんの一瞬だけ見せたその隙に、言葉にしきれないものが滲んでいる気がした。「でもさ、俺のありのままを理解してほしいっていうのは……贅沢だよな」ふっと力なく笑う。その横顔は、いつもみたいに余裕をまとっていない。どこか脆くて、触れたら崩れてしまいそうで————わからない。この人の価値観は、きっと一生わからない。そう思っているのに。胸の奥が、きゅっと締めつけられる。どうして。どうして、そんな顔をするの。苦しそうだから?それとも——整いすぎたその顔が、すべてを誤魔化してしまうから?「俺も、いろいろ考えた」少し間を置いて、彼は言葉を続ける。「このまま紗月ちゃんの前から、消えたほうがいいのかなって」その言葉が落ちた瞬間、空気が一段、静かになる。時計の針の音さえ聞こえそうなほど、部屋が沈んだ。息をするのも、少しだけ苦しい。「……ルカさん」それしか言えない自分が、もどかしい。「正直さ、仕事も立場もあるし。中途半端なの、嫌なんだよね」淡々とした声。けれど、その奥にあるものは、重くて逃げ場がない。「殴ったのは、悪かったとは思ってる。でも……感情的になると、手が出る」現実が、突きつけられる。——やっぱり、この人は危ない。頭の中で、はっきりと警鐘が鳴る。関わらない方がいい。距離を置いた方がいい。そう思うのに。「でも、紗月ちゃんに嫌われるなら……治す」まっすぐに、見つめられる。逃げ場がない。目を逸らせばいいのに、それすらできない。「……」言葉が出てこない。信じたいのか、疑いたいのか。自分の気持ちすら、はっきりしない。「本気で好きなんだよ」少しだけ、声がかすれていた。「連絡とれなくなって、悩んでた」その言葉と同時に、彼の表情がわずかに歪む。ほんの一瞬だけ見せたその苦しさに、息が詰まる。——この人、本当に私のこと、好きなんだ。そう思ってしまった瞬間、胸の奥がまた
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【第五章】離れられない、腕の中で

ふいに、抱きしめられた。驚く間もなく、腕が回される。背中に触れる手の温度が、じんわりと広がっていく。「紗月ちゃん……俺のこと、好き?」耳元で落とされた声は、思っていたよりもずっとやわらかくて。甘えるようで、少しだけ不安が混じっている。顔は見えない。でも、すぐ近くにある体温だけが、やけにリアルだった。私はゆっくりと、彼の背中に手を回す。指先に触れる筋肉の感触。その確かな存在に、なぜか少し安心してしまう自分がいる。「……わかんない」言葉にすると、思っていたよりも正直だった。「でも、怖いなって思ってるのに……距離は置けない」自分でも矛盾していると思う。けれど、それがいまの気持ちだった。次の瞬間、ぐっと強く抱き寄せられる。さっきよりも、逃がさないように。「俺、変わるから。一緒にいてほしい」その言葉と同時に、胸の奥で何かが跳ねた。——どくん、と心臓が強く鳴る。近すぎる距離。重なる呼吸。彼の髪はまだ濡れていて、かすかに水気を含んだ香りがした。シャンプーの匂いと、体温の混じった、どこか生々しい気配。密着した体から伝わる熱が、じわじわとこちらに移ってくる。くらくらする。離れたほうがいい。頭ではそうわかっているのに。「……」何も言えないまま、ただ鼓動だけが速くなる。耳元で、また低く囁かれる。その声が、皮膚のすぐ近くをなぞるように落ちてきて——ぞく、と背筋が震えた。甘い。危ない。でも、離れられない。この人の近くにいると、感覚が少しずつ曖昧になっていく。怖いはずなのに。ちゃんと警戒していたはずなのに。それでも。腕の中にいるこの瞬間を、拒めない自分がいた。ゆっくりと、距離が縮まっていく。逃げることもできたはずなのに、なぜか動けなかった。視線が重なったまま、彼の顔が近づいてくる。次の瞬間、そっと唇が重なった。
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【第五章】奪われる唇、ほどけていく理性

「今……」言いかけた言葉は、途中でほどけるように消えた。はっとして距離を取る。指先で自分の唇を押さえた瞬間、そこに残る熱が、さっきまでの出来事をはっきりと主張してきて――胸の奥が、じわりと波打った。恥ずかしさに耐えきれず、視線を落とす。けれど、その一瞬の隙を逃す人じゃない。「……逃げるの?」低く落ちた声と同時に、再び引き寄せられる。次の瞬間、唇が重なった。今度は、さっきよりも深く、強く。一度、触れるだけのキスでは終わらない。離れたと思ったら、また重なって――呼吸の隙間さえ与えないように、何度も何度も繰り返される。柔らかさの中に、どこか支配的な熱が混じる。「……っ」息がうまく吸えない。胸が苦しくて、でもその苦しささえ、どこか甘くて。逃げたいのに、逃げられない。最後に落ちてきたキスは、それまでとはまるで違った。優しさを覆い隠すように、噛みつくような強さ。触れるというより、奪われる感覚。ぞくり、と背筋に震えが走る。――ああ、これが、この人の本性。そう思った瞬間、身体の奥がきゅっと縮こまるのに、同時に引き寄せられるような感覚もあって。「ルカさん……」やっとのことで名前を呼ぶ。けれど、その声は自分でも驚くほど、力が抜けていた。視界がぼんやりと霞む。思考がまとまらない。(……やばい)どこか冷静な自分が、そう警鐘を鳴らしているのに。それでも、唇が触れるたびに、その感覚は遠のいていく。今、私は――ルカさんとキスしてる。その事実だけが、ゆっくりと脳に染み込んでいく。夢みたいだ、と思った。現実なのに、現実じゃないみたいに、ふわふわし
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【第五章】肉食系紳士に捕まった

やっと、嵐のように降り注いでいたキスが途切れた。唇が離れた瞬間、熱を持った空気がふっとほどける。けれど、心臓の鼓動だけは収まる気配がなくて、耳の奥でうるさいくらいに鳴り続けていた。恥ずかしくて、とても顔なんて見られない。視線を逸らすように、そっと顔を背ける。その仕草を見逃すはずもなく、頭上からくすりと笑う気配が落ちてきた。「俺、紗月ちゃんには嫌われたくないからここまでで」どこか余裕を含んだ声。その言葉に、張り詰めていたものが一気にほどけて、全身の力が抜ける。くたりと崩れ落ちるような私を見下ろして、ルカさんは満足そうに微笑んでいた。——この人、本当に紳士なの?いや、絶対違う。どこか余裕で、どこか危うくて、全部わかっててやってる顔だ。「さてと、髪乾かすわ」何事もなかったかのように、あっさりと空気を切り替える。ドライヤーのスイッチが入ると、ぶおっと風の音が部屋に広がった。さっきまでの距離感が嘘みたいで、逆に戸惑う。私はいたたまれなくなって、逃げるようにベッドへ飛び込んだ。ふかふかの布団に顔をうずめ、そのまま頭まで潜り込む。熱い。顔も、胸も、全部がまだ熱を持ったまま。ドライヤーの音が、やけに遠く感じる。このまま隠れていれば、少しは落ち着ける気がした。——でも。「紗月ちゃん、いーれて」ふいに、音が止んだ。静寂の中に落ちてきたその声は、さっきよりもずっと甘くて、距離が近い。心臓が、また強く跳ねる。(こ、この人……かなり肉食系だ)頭の中で叫ぶ間もなく、布団が勢いよく剥ぎ取られた。視界が一気に開ける。次の瞬間、逃げ場を失った体は、すっぽりと彼の腕の中に収まっていた。広くて、あたたかくて、逃げようとすればするほど絡め取られてしまうような距離。背中に回された腕の力強さに、抵抗することもできず、ただ息を呑む。こんな距離、ずるい。心臓の音が聞かれてしまいそうで、でも離れたくないと思ってしまう自分もいて——どうしようもなく、ただ彼の腕の中で固まるしかなかった。
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【第五章】心音に包まれて、ほどけていく不安

強く引き寄せられた瞬間、ふわりと視界が揺れた。気づけば、ルカさんの腕の中に閉じ込められている。背中に回された腕は思ったよりも力強くて、逃がさないと言わんばかりにしっかりと私を包み込む。頬を寄せると、耳元でとくん、とくん、と一定のリズムが響いてきた。——心臓の音だ。こんなにも近くで誰かの鼓動を感じるのは、いつぶりだろう。温かくて、ゆっくりで、不思議とそれだけで呼吸が整っていく。さっきまで胸の奥に溜まっていたざわつきが、少しずつほどけていくのがわかった。心地いい……。目を閉じると、ルカさんの体温がじんわりと伝わってきて、指先まで満たされていく。思い出したくもなかった不安が、ふと脳裏をかすめる。みおんのこと。——怖かった。ちゃんと自覚した瞬間、胸がきゅっと締めつけられる。でも、そのすぐあとに、今の温もりがそれをやさしく覆い隠した。ルカさんが、いる。それだけで、こんなにも安心するなんて。自分でも驚くくらい、心が静かになっていく。気づけば、私はそっと腕を回していた。ぎこちなく、それでも離したくなくて、ルカさんの背中を抱きしめ返す。「……ああ」声には出さなかったけれど、胸の奥で小さくつぶやく。ありがとう、ルカさん。その鼓動に寄り添うように、私の心も静かに重なっていった。
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【第五章】同棲みたいな距離感

やわらかな昼の光に包まれながら、私は心地よさに身を預けていた。カーテン越しに差し込む明るい日差しが、まぶたの裏をほんのり温かく照らしている。遠くからは人の話し声や車の音が聞こえてきて、街が動いている気配がするのに、この部屋の中だけは時間がゆっくり流れているみたいだった。そのとき、肩を軽く叩かれた。とん、とん。優しく、でもちゃんと私を現実に引き戻すようなリズム。ゆっくりと目を開けると、逆光の中にルカさんの姿が浮かび上がる。昼の光に照らされて、いつもより少し柔らかく見えた。無造作な髪とラフな服装、それでも隠しきれない余裕と色気があって、思わず目を奪われる。「俺、出勤してくるわ」低くて落ち着いた声が、静かな部屋にすっと落ちる。「うん」たったそれだけのやり取りなのに、胸がじんわりと熱くなる。まるで同棲している恋人同士みたいな、自然すぎる会話。そんな距離感に、不意にドキッとした。「いってらっしゃい、ルカさん。ありがとうね」少し体を起こしながらそう言うと、ルカさんは軽く手を上げた。「おう。戸締まりちゃんとしとけよ?なんかあったらすぐ呼べ」ぶっきらぼうなのに、ちゃんと気にかけてくれているのがわかる言い方。その一言一言が、胸の奥をじんわり温めていく。「うん…」小さく頷くと、ルカさんはそのまま背を向けた。玄関へ向かう足音。ドアが開いた瞬間、外の明るい光と少しだけ暖かい風が流れ込んできて、ふっと現実に引き戻される。そして、静かに閉まるドアの音。その後ろ姿を、私はぼんやりと見送っていた。広い背中。ラフに歩く姿。どこか危うい雰囲気をまとっているのに、不思議と安心させる存在。——ああ、この人、ずるい。守られているような安心感と、簡単には触れられないような距離。その両方を持っているから、余計に惹かれてしまう。ドアが閉まったあとも、しばらくその余韻が部屋に残っていた。さっきまで隣にあった温もりが、まだ肩に残っている気がする。昼の光に満ちた部屋が、少しだけ広く、そして少しだけ静かに感じた。胸の奥が、ほんの少しだけ締めつけられる。恋しい、なんて言葉にするにはまだ早いはずなのに。それでも、彼のいないこの時間が、ほんの少しだけ物足りなく思えた。
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