Alle Kapitel von 私を散々泣かせたクズ男たちが、今さら本気で愛してくる: Kapitel 51 – Kapitel 60

93 Kapitel

【第三章】タトゥー女顔美容師・ルカ 23

連続して、ろくでもない男ばかりに当たった。騙されて、傷ついて、裏切られて。気づけば、心のどこかがすり減ってしまっている。もう男なんてこりごりだ。胸の奥で、そう何度も繰り返す。最初からグイグイ距離を詰めてきて、「一目惚れした」とか「好きだ」とか軽々しく言うやつの言葉なんて、もう絶対に信じない。……信じない。そう決めたはずなのに。ふと、嫌な考えが頭をよぎる。いっそ今度は、騙されたふりをしてやろうか。クズはクズらしく、こっちが騙してやればいい。そんな、少し歪んだ考えまで浮かぶくらいには、心が疲れていた。もう、どうでもいいや。ヤケクソみたいな気持ちのまま、私は駅前のケン○ッキーに入った。揚げ油の匂いが、店の中にじんわり広がっている。明るい店内には、カップルや学生のグループがいて、笑い声がときどき弾けていた。みんな楽しそうだな。ぼんやりそんなことを思いながらカウンターに立つ。「いらっしゃいませ!」元気な声が飛んできた。「……このチキン、8ピースのやつ」ほとんど投げやりな声でそう言うと、店員は少し驚いた顔をしたけれど、すぐに笑顔に戻った。トレーを持って席に座る。テーブルの上に置かれた赤い箱を見つめる。――食べよう。そう決めて、私はチキンにかぶりついた。一口。また一口。油と塩気が口いっぱいに広がる。食べて、食べて、食べる。もう何も考えたくなくて、ただ無心で食べ続けた。失恋の傷を癒そうとして髪を切って。それでもまた男に騙されて。傷ついて、癒そうとして、また傷ついて。ここ最近、ずっとそれの繰り返しだ。……私、何やってるんだろう。ふと手が止まる。どうしたらいいんだろう。私に問題があるのかな。好きになると、つい信じてしまう。相手の言葉を、まっすぐ受け取ってしまう。それって、そんなにダメなこと?なんで私は、こんなに真面目に生きているのに、毎回こんな目に遭うんだろう。胸の奥が、じわっと重くなる。そのときだった。――プルルル。スマホが震えた。画面を見ると、そこには「ルカ」と表示されている。まただ。最近、ほとんど毎日だ。あのあと、LINEが来ても既読をつけないまま放置している。電話もずっと無視しているのに、こうしてまたかかってくる。しつこいな……。胸の奥が、少しだけざわつく。無視し続
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【第四章】年下の可愛い系チャラ男 1

「あ、ありがとうございます……」差し出された水を受け取ると、彼はにっこりと笑った。まるで女の子が好きそうな、どこか愛嬌のある笑みだった。よく見ると、制服を着ている。胸元には小さな名札。——ああ、店員さんか。そういえば、さっきレジで対応してくれた人だ。そのときは顔をよく見ていなかったけれど、改めて見ると、整った顔をしている。……イケメンだな。そんなことをぼんやり思いながら、水を口に含んだ。乾いた喉に、冷たい水がすっと落ちていく。気づけば、紙コップはすぐに空になっていた。その間も、彼は隣に立ったまま動かない。じっとこちらを見ている。「……」なんだろう、この距離感。少し警戒して顔を上げた瞬間、彼がぱっと口を開いた。「あの、いい食べっぷりですね?」え?「女の子でこんな細いのに、この量を!?って。ちょっとお姉さんのこと気になってたんすよ!」距離が近い。声も明るい。というか——怖いほどフレンドリーだ。初対面なのに、まるで前から知り合いみたいなテンションで話しかけてくる。なれなれしい。軽い。——チャラい。チャラすぎる。思わず心の中でため息が出た。(……絶対このタイプ、女の子いっぱい泣かせてきただろ)私はぼんやり彼を見上げながら、短く返した。「はあ……」自分でも驚くほど、気の抜けた声だった。連続してロクでもない男たちと関わってきたせいだろうか。もう、男性を見ると反射的に思ってしまう。——クズか、そうじゃないか。その二択で。まともな人もいるはずなのに、最初から疑ってしまう。そんな自分に少し嫌気がさす。……きっと、私は疲れているのだ。すると彼は、ぐっと顔を近づけてきた。「あの!」声が弾んでいる。「お姉さん、めちゃめちゃ可愛いですね?」……は?「俺、けっこうタイプで。こっそり連絡先とか聞いちゃっていいですか?」一瞬、言葉が理解できなかった。次の瞬間、頭の中で警報が鳴る。——やっべえ。何この人。軽すぎる。というか、ここ店内だよね?しかも制服着てるよね?勤務中にナンパとか、どういう神経してんの。あまりの堂々っぷりに、逆に笑いそうになる。(……ほんと、典型的なチャラ男)普通なら断るだろう。むしろ、少し引く場面だ。でも。私は一瞬だけ、彼の顔をじっと見つめた。赤い髪。猫
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【第四章】年下の可愛い系チャラ男 2

「えー! まーじで?! めちゃめちゃ嬉しい!」 彼は、わざとらしいくらい大きなリアクションで声を上げた。 両手をぱっと広げて、まるで舞台の上の役者みたいに喜んでみせる。 ――そんなに嬉しい? 思わず笑いそうになる。 反応がいちいちオーバーだ。 驚くときも、笑うときも、全部がワンテンポ大きい。 演技なのか、本当にこういう性格なのか分からない。 でも。 (……愛嬌あるなあ) こういうタイプ、絶対モテる。 女の子が「かわいい」って言いながら近寄ってくるタイプだ。 危険な匂いもするのに、なぜか憎めない。 私はどこか冷静なまま、観察するように彼を見ていた。 「後で連絡するね♪」 そう言うと、彼は手慣れた動きでスマホを取り出し、LINEのQRコードを差し出してくる。 追加されると、満足そうににこっと笑った。 「やった!」 るんるん、という言葉が似合う軽い足取りで店の奥へ戻っていく。 ……なんだろう、この人。 その背中をぼんやり見送っていると、 ポケットのスマホがぶるっと震えた。 早い。 画面を見ると、さっき追加したばかりのLINE。 そこには――ぴょこんと跳ねる、ウサギのスタンプ。 丸くて、にこにこしていて、妙に可愛い。 「……あ、あざとい」 思わず小さくつぶやく。 スタンプが可愛すぎる。 絶対わかってやってる。 こういうのが女の子にウケるって。 (うわ、計算高そう……) そんなことを思いながらも、口元が少し緩む。 私は残っていたチキンをさっさと食べきると、そそくさと店を出て帰宅した。 最近、思わぬところで出会いはある。 だけど――ろくでもない男ばかりだ。 思い出すだけで、胸の奥がじわっと重くなる。 期待して、裏切られて、 傷ついて、疲れて。 「……なんだかなあ」 夜風に当たりながら、小さくため息をついた。 家に帰って、シャワーを浴びて、 ベッドの上でぼんやりスマホをいじっていると―― 22時ごろ。 また通知が鳴った。 画面を開く。 『さっきはありがとうございました!ヒナタていいます!よろしくね!』 ……意外。 チャラい見た目だったのに、 LINEはやけに丁寧だ。 敬語だし、文章もち
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【第四章】年下の可愛い系チャラ男 3

画面を見ながら、思わず口元がゆるむ。 なんだか楽しい。 警戒して、少し距離を置いた返事をしようと思っていたのに——気づけば私は、ちゃんと答えようとしている。 紗月 「ヒナタくんなんか可愛い!」 紗月 「カレーは甘辛かな(笑) カラオケはミセスとか流行りの曲よく歌う!!」 送信して数秒。 すぐ既読がついた。 そして、またすぐに通知。 ヒナタ「可愛い女の子とLINEしてるから可愛いがうつっちゃったのかな?」 ヒナタ「紗月ちゃんは辛いものあんま好きじゃない??」 ヒナタ「ミセスのキー出るの羨ましい!聞いてみたいし一緒に歌ってもみたい!実はちょっと得意なんだよね、歌」 ——チャラっ。 思わず小さく笑う。 女の子が喜びそうな言葉を、よく知っている。 感心してしまうくらい、自然に口説く。 でも。 不思議なことに、嫌な感じはしない。 少し考えて返信する。 紗月 「辛いもの好きだけどね、あんまり食べれない(笑) でも韓国料理はよく行く!!」 紗月 「歌うの好き!高音のほうが出るんだよね!」 送信。 既読。 けれど、すぐには返信がこない。 数分後。 また通知。 ヒナタ 「なるほどっ!!」 ヒナタ 「韓国料理おいしいもん多くていいよね! 特に何が好き〜??」 少し間があって、また続く。 ヒナタ 「歌うの好きなの一緒や! じゃあ俺が高音出やんくて諦めてた曲も紗月ちゃんと一緒なら歌えるってこと!?」 私はスマホを見つめながら、少しだけ不思議な気持ちになる。 返信はすぐじゃない。 数分おきに届く。 きっと、ちゃんと文章を考えている。 (……意外と真面目) チャラい見た目だったのに。 そのギャップが、なんだか心地いい。 私はまた返信を打つ。 紗月「トッポギ、チヂミ、ビビンバが好き!」 紗月 「うんうん!!(笑) 逆に低音が出ない、、、(笑) 」 ラリーが続く。 気づけば、ベッドに寝転んだままスマホを握っていた。 カーテンの隙間から、夜の街灯の光がぼんやり差し込んでいる。 時計を見る。 ——もう、12時を回っている。 そのとき、また通知。 ヒナタ 「お風呂入ってきた!」 少し間を置いて、続けてメッセージ。 ヒナタ
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【第四章】年下の可愛い系チャラ男 4

スマートフォンの画面を見つめながら、私は小さく息を吐いた。――気づけば、もうほとんど警戒していない。最初は「どうせまた軽い男なんだろう」と思っていたのに、いつの間にかその警戒心はするりとほどけていた。それどころか、LINEの通知が来るたびに少し胸が弾む自分がいる。……なんだか、楽しい。ヒナタくんはとにかく褒めるのが上手い。少しあざといくらいなのに、不思議と嫌味がなくて、むしろ気分をふわっと持ち上げてくれる。試しに送った全身写真にも、すぐに返信がきた。「スタイル神すぎる!」そんな大げさな、と思いながらも、頬がゆるむ。画面越しなのに、まるで目の前で言われているみたいで、なんだか照れてしまう。少し考えて、私はふとオンラインショップのページを開いた。最近気になっているブランドのサイトだ。紗月「このブランドのお洋服気になってるんだけど、まだ挑戦できてなくて…。どれか好みの服ある?」URLを貼りつけて送信する。既読はすぐについた。……のに、返信が来ない。さっきまであんなにテンポよくやり取りしていたのに、画面は静かなままだった。あれ。もしかして、なんか重かった?男の人に服の話ってつまらないかな。いや、そもそも「どれがいい?」とか聞くの、めんどくさい女だったかも。少し後悔して、スマホを伏せた。それから三時間ほど経ったころ。――ピロン。通知音が鳴った。思わず手を伸ばして画面を開く。ヒナタ「ふむふむどれどれ〜^^」その下に続いたメッセージを読んで、私は思わず笑ってしまった。ヒナタ「てかごめん紗月ちゃんに合う服どんなんやろ〜って考えてたらそれだけ返せてなかった笑笑」え、なにそれ。ただスルーされただけかと思ってたのに、「似合う服」を考えてくれてたの?胸の奥が、じんわり温かくなる。紗月「そんな真剣に考えてくれてありがとう笑一緒に服見たりするの好きかも!ヒナタくんはどこで服買うの?」送信してすぐ、返信が返ってきた。ヒナタ「だってお顔がいいから考えるの楽しいんやもん(笑)」またそうやってさらっと褒める。でも嫌じゃない。むしろ少し嬉しい。そして続いたメッセージに、私は思わず目を丸くした。ヒナタ「俺は基本的に私服はGUやね(笑)最近はGUでもデザイン良さげなの多いし、自分が着るのは結構シンプルなのが多いかな!」…
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【第四章】年下の可愛い系チャラ男 5

注文してから二日後。 思ったよりも早く、例のスカートが届いた。 このブランドはもともと値段が高い。 セールをしていて、四十パーセントオフ。 六千円くらいで買えたのは、かなりお得だったと思う。 オンラインで服を買うのは、やっぱり少し勇気がいる。 写真ではすごく可愛いのに、実物は生地がペラペラだったり、触るとゴワゴワしていたり。 「……あれ、思ってたのと違う」 そんな残念な経験、今まで何度もしてきた。 だから。 宅配の箱を目の前に置いたとき、私はほんの少しだけ緊張していた。 そっとテープを剥がして、箱のフタを開ける。 ――あ、可愛い。 まず目に入ったのは、パッケージだった。 箱のデザインがすごくおしゃれで、それだけで少し安心する。 丁寧に畳まれたスカートを取り出す。 手に触れた瞬間、「あ、これはちゃんとしてる」って、感覚でわかった。 生地の重み。 縫製のきれいさ。 指先に伝わる、しっかりとした質感。 思わず小さく頷いてしまう。 ミニスカートだから、正直「大丈夫かな」と少し不安だったけれど。 中にはちゃんと見せパン付き。 しかも、シルエットが本当に綺麗だった。 ウエストからふわっと広がるラインが絶妙で、脚がすっと長く見える作りになっている。 「ああ……」 思わず、独り言がこぼれた。 「いいお値段する理由って、こういうところなんだな」 ただ可愛いだけじゃない。 着る人のことを、ちゃんと考えて作られている。そんな丁寧さが伝わってくる服だった。 私はそのまま、すぐに試着してみることにした。 鏡の前に立ち、スカートを履く。 普段の自分なら、絶対に選ばないデザイン。 ちょっと勇気がいるミニ丈。 でも――ヒナタくんが選んだと思うと、なんだか妙にワクワクする。 鏡の中の自分を見て、思わず声が漏れた。 「……え、可愛い」 想像していたより、ずっと似合っていた。 脚のラインもきれいに見えるし、ウエストもすっきりしている。 いつもの自分より、少しだけ大人っぽくて、少しだけ女の子らしい。 なんだか、知らない自分みたいだ。 私はスマホを取り出し、鏡越しに何枚か写真を撮る。 角度を変えて、全身を写して、笑顔を作って。 その中から
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【第四章】年下の可愛い系チャラ男 6

月曜日。ヒナタと、とんとん拍子でカフェに行くことになった。あまりにも自然に決まったから、そのときは何も疑わなかった。「先輩がおすすめしてくれたカフェがあるんだよね」ヒナタはそう言って、楽しそうに笑っていた。——じゃあそこ行こうよ。そう言いかけて、結局店は決めないまま。「また後で決めよっか」そんな軽いやり取りで、その日は終わった。前日の夜。私はスマホを手に取ってメッセージを送った。「ヒナタくん勤務終わり電話しよ〜!明日の予定決めたい」送信ボタンを押してから、画面を何度も見た。既読はつかない。まあ、仕事中か。そう思って、スマホを机に置いた。でも夜になっても。寝る前になっても。返信はこなかった。——まあいいか。そう自分に言い聞かせて眠った。そして当日。14時待ち合わせ。午前中から、なんとなくスマホを気にしてしまう。通知が来ていないか、何度も画面を点ける。でも、静かなままだった。お昼を過ぎても、連絡はない。13時。まだ来ない。13時20分。来ない。13時半。胸の奥が、ざわざわしてくる。指先が冷たくなる。——あ。その感覚に、覚えがあった。みおん。頭の奥に、嫌な記憶がよみがえる。楽しみにしていた約束。服も決めて、メイクもして。そして当日。音信不通。みおんには三回もドタキャンされた。スマホを握りしめて、「なんで?」「どうして?」って、ずっと待っていたあの日。あの絶望感。あの、胸の奥がスーッと冷えていく感じ。——また?もしかして、また?怖くて電話ができない。もし出なかったら。もし本当にドタキャンだったら。その瞬間、全部が確定してしまう。だから、画面を見つめるだけ。指は、発信ボタンの上で止まったまま動かない。心の奥で、小さな声がつぶやく。「もしかしてまたドタキャン……」なんで私は、いつもこうなんだろう。どうして約束って、守ってもらえないんだろう。どうして私は——大事にされないんだろう。ふっと、息が漏れた。でも次の瞬間、私は妙に明るい声で独り言を言っていた。「ま、いっか。」自分でもびっくりするくらい、軽い声だった。開き直った。ドタキャンされても、まあいいや。もう慣れてるし。期待するから、傷つくんだ。最初から期待しなければいい。「今日はなしかあ…
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【第四章】年下の可愛い系チャラ男 7

「ごめん!今準備してる!」電話越しに、少し息の上がった声が聞こえた。「……うん。今起きたの?」思わず静かに聞き返してしまう。「いや、さっき飛び起きて急いで頭洗って電話かけてる」その言葉に、胸の奥がすうっと冷えていく。「待ち合わせ14時だけど……もう13時半だよ?今日はもういいよ」そう言いながらも、声はどこか諦めたように平坦だった。「マジでごめん!急いで今から向かう!」必死な声。「何で来るの……」「え……と、電車でいく」「というかカフェも決まってないし」「マジでごめん、とりあえず待ち合わせ場所むかうわ。JR梅田駅でいい?」「……うん」電話を切ったあと、私はしばらくスマホの画面を見つめていた。――この人も同じかあ。胸の奥に、乾いたため息が落ちる。私を傷つける男の一人に、また加わるのかな。そんなことを思ってしまう自分が、少し悲しい。虚しくてしょうがなかった。すると、すぐにLINEの通知が鳴った。ヒナタ「ごめんね!ありがとう」そのあと、すぐもう一通。紗月「寒いからあったかくして来てねっ」ヒナタ「ほんと優しいね!ありがとうだよ(泣)」スマホを見ながら、小さく息を吐く。デート前は音信不通で最悪だけど……一応、約束は破らなかった。それだけでも、まあいいか。少しだけ気持ちは戻ったけれど、やっぱり期待はしないでおこうと思った。だって――あんなにチャラい見た目だし。きっと、今までの男たちと同じに違いない。そう思いながら、私はもう一度スマホを開く。紗月「やっぱり待ち合わせJRの御堂筋口でもいいかな?? わかんなかったらそのまま出て!」「着く時間わかったら教えてね!」少しして、すぐ返信が来た。ヒナタ「おけ!迷子予定で早めに出たから」……あれ?意外と思ったより早い。この感じだと、待ち合わせの14時には着くんじゃない?てっきり遅刻すると思っていたから、胸がほんの少しだけ弾む。紗月「迷子どこでなるのっ!(笑)」ヒナタ「ほんまに電車苦手やねん笑笑」「ついた!今から迷子なる!」思わず笑ってしまう。紗月「そなの!じゃあ今度から電車あんま使わないとこにしよ!」ヒナタ「ありがと、そうしよ泣」メッセージのやり取りを見ながら、私は少し首をかしげた。意外と……ぬけてる?さっきまでの印象と、少し違う。あんなに
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【第四章】年下の可愛い系チャラ男 8

えーっと、赤髪でイケイケな人は……と見回すが、見当たらない。すると――「あ!いたいた」声のした方を見ると、黒髪で地味な服装の男が、こちらに向かって手を振っていた。背中には、登山でも行くのかと思うほどの大きなリュック。……え?一瞬、思考が止まる。いや、待って。赤髪じゃなかった?目の前にいるのは、まるで別人のような落ち着いた雰囲気の青年だった。白いシャツに黒いパンツ。装飾は何もなく、むしろ地味と言ってもいいくらい。「紗月ちゃん?」近づいてきた彼が、少し息を切らしながら笑う。その笑顔を見た瞬間、胸がほんの少しだけ跳ねた。――ドキッとした。黒髪にしたら、見た目がもろ好みだ。「ごめん!めっちゃ探した!」そう言いながら、大きなリュックをよいしょ、と背負い直す。ガサッと音がして、登山用のバックパックみたいなそれが揺れた。……いや待って。デートだよね?私は思わず、そのリュックを指さした。「それ……」ヒナタは、きょとんとした顔をする。「ん?」「なんで登山する人みたいなリュック背負ってるの?」するとヒナタは、一瞬きょとんとしてから――「あっ」と声を上げて笑った。「やっぱり変?」変どころじゃない。梅田のど真ん中で、完全に山に登る装備の人が立っている。私は思わず吹き出した。「めっちゃ目立ってるよ」「マジか……」ヒナタは頭をかきながら、少し恥ずかしそうに笑う。「いやさ、迷子になる気しかしなくて」「うん」「スマホ
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【第四章】年下の可愛い系チャラ男 9

「黒髪にしたの?」思わず口からこぼれた。さっき遠くから見つけたとき、最初は同一人物だと思えなかった。ふわっと軽そうな赤髪だったはずなのに、目の前にいる彼は、落ち着いた黒髪。光を受けてほんのり艶が出ていて、白いシャツによく似合っている。ヒナタは少しだけ照れたように頭をかいた。「うん。紗月ちゃん、黒髪の方が好きかなと思って。2日前に染めた」「え……私のために……?」胸の奥が、きゅっと鳴った。髪を染めるって、そんなに軽いことじゃない。美容院に行って、色を決めて、時間をかけて。それを――私のために?さっきまでの待ち合わせのイライラが、ふっと溶けていく。どうしていいかわからなくて、言葉が出ない。ただ、じわじわと嬉しさが広がっていく。ヒナタはそんな私の様子に気づいたのか、少し照れくさそうに視線をそらした。「俺さ、梅田来たの久しぶりなんだよね」そう言って、きょろきょろと周りを見回す。休日の梅田は人でいっぱいだった。行き交う人の波。カフェの前にできた列。ビルのガラスに反射する午後の光。その中で、彼だけが少しだけ浮いて見える。「電車乗るとき迷子なるからさ。友達とか先輩としか乗らないし、基本近所でしか行動しない」「え……?そんなことってある?」思わず笑ってしまう。この見た目で?この雰囲気で?「うん。陰キャだから。家に引きこもってアニメ見たりが多い」「え、意外すぎる!!」声が思わず弾んだ。こんな見た目なのに、陰キャ?改めて彼を見る。確かに――黒髪にすると、私服も含めて地味で、どこか挙動がぎこちない。人の流れを少し避けるように立っていたり、駅の案内板を何度も見たり。まるで、久しぶりに外の世界に出
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