「あのときの求愛の言葉は、有効かしら」 ベッドにいる私は、小さく呟いた。部屋を出て行こうとしているダリウスの足が止まる。 窓の外で光る月で照らされているダリウスの目が泳いだ。「あのとき……求愛?」 ダリウスの声が、僅かに戸惑っているように聞こえた。 ああ、彼は覚えてない――。 あれは、ごっこ遊びに過ぎない。記憶に残っている方がおかしい。 わがままな友人の妹に、付き合ってくれただけ。あの後、ダリウスは屋敷に来なくなったのが何よりもの証拠だ。 私のせいで、兄とダリウスの時間を奪ってしまった。「一生添い遂げるって、言ってくれた」 私は顔を上げて、ダリウスを見つめた。彼の瞳が、僅かに見開かれる。そして——私は、彼の唇に自分の唇を重ねた。 触れるだけの、軽いキス。ダリウスの唇は、温かかった。柔らかく、優しい感触。心臓が破裂しそうなくらい、激しく打っている。顔が熱く身体中が、火照っていた。 我に返った私は、顔を真っ赤にして布団に潜り込んだ。(なってことを! 私はしてしまったんだ) 嫉妬に狂って、こんなことをしてしまった。恥ずかしさと、後悔と、どうしようもない感情が、胸の中で渦巻いている。 布団の中で、私は身体を丸めた。このまま、消えてしまいたい。心臓が早鐘を打ち、息が荒くなる。 布団の中に隠れたはずなのに、あっという間に布が剥がれた。ダリウスの手が、私の手を掴む。「アリア……その気にさせておいて、逃げるのはずるい」 低い声が、耳元で響いた。 ダリウスの指が、私の指と絡み合う。手が繋がれた。温かい手。大きな手。彼の手が、私の手を包み込んだと思ったら、両手をベッドに押し付けられて、身動きを封じられる。(――え?) ダリウスの顔が、近づいてきた。彼の唇が、再び私の唇に重ねられる。今度は、触れるだけではなかった。深く、濃厚なキス。舌が唇をなぞり、口を開けるように促してくる。 口を開くと、舌が中へと侵入してきた。舌が絡み合い、甘い吐息が漏れる。息が苦しい。頭の中が、真っ白になっていった。 だんだんとキスが深まっていく。ダリウスが私の口の中を探るように、舌を動かしてきた。 吸われて舐められ、身体が熱くなる。彼の唾液が、私の口の中に流れ込んでくる。濃密で、甘い味がした。 ダリウスの手が、繋いでいた手を離して、私の身体を撫で始めた。ドレスの
最終更新日 : 2026-01-16 続きを読む