啓介が星歌を星河レジデンスまで送り届けたと聞き、飛鳥は全速力で車を飛ばした。だが、そこに星歌の姿はなかった。飛鳥は直ちに啓介に電話をかけた。恐らく向こうは相手にする気すら起きないのだろう。二度目のコールが切れかかる直前、ようやく電話が繋がった。「真夜中だぞ。夏蓮の病気の発作が終わったと思ったら、今度はお前の番か?」その皮肉たっぷりの一言に、飛鳥はこめかみに強烈な脈打ちを感じた。長年の親友から投げつけられた冷ややかな言葉に、呼吸が荒くなる。今は到底、軽口を叩き合えるような気分ではなかった。「星歌はどこだ」回りくどい前置きを切り捨てて問い詰めると、啓介は淡々と返した。「君の妻だろう。俺に聞かれても困る」飛鳥は一瞬、息を詰まらせた。自分の妻だというのに、彼女が姿を消すたびに行方が分からなくなる。皮肉なことに、夫である自分よりも周囲の人間の方が、彼女と簡単に連絡を取ることができるという現実があった。飛鳥は沸れ上がる怒りをどうにか押さえ込んだ。「一真から聞いた。お前が橋からあいつを乗せて行ったってな」「そもそも、どうして俺が彼女を拾う羽目になったと思う?」「…………」電話越しの空気が、一気に張り詰めた。どうして、だと?自分が星歌を置き去りにしたからだ。それも、他ならぬ夏蓮のために。飛鳥は苛立たしげに目を閉じた。彼が何かを言い返す前に、啓介が鼻で笑う音が聞こえた。「いつからお前は、自分の妻が怒ってどこへ行くのかすら分からなくなり、他人に電話で探りを入れるほど間抜けになったんだ?」「病院の屋上から夏蓮を抱き下ろしてやった時は、随分と女の扱いに慣れているようだったが?」「啓介……ッ!」完全に逆鱗に触れられた飛鳥が怒声を上げた瞬間、ツー……ツー……容赦なく電話を切る無機質な電子音だけが返ってきた。星河レジデンスのエントランス前で、飛鳥は怒りのあまりスマートフォンを地面に叩きつけそうになった。かろうじて理性を総動員してそれに耐え、すぐさま一真の番号を呼び出す。「すぐに調べろ。啓介のやつが、星歌をどこに隠した」その時の飛鳥は、啓介が星歌を匿っていると半分以上確信していた。自分の妻が怒ってどこへ行くのかも分からないだと?隠されていれば、分かるはずがなかろうが。一真が方々を調べ
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