星歌が救命室から出た頃には、知らせを聞きつけた江里子も病院へ駆けつけていた。実は一階で、江里子は偶然にも飛鳥とすれ違っていた。彼は夏蓮の産んだ双子の一人を抱きかかえ、医療チームを引き連れてどこかへ急いでいる様子だった。さらにその後、陽子が血まみれでストレッチャーに乗せられ、スタッフに慌ただしく運ばれていくのまで目撃している。誰にボコボコにされたのかは知らないが、凄まじい有様だった。だが、そんなことよりも問題は星歌だ。ストレッチャーで運ばれてきた星歌の青白い顔を見た瞬間、江里子は胸が締め付けられる思いがした。「どうして急に大出血なんか……やっぱり、ここ数日無理しすぎたせいじゃないの?」点滴の調整をしていた医師が、横から口を挟んだ。「流産直後ですからね。焦って栄養を摂らせようとするのは良くありません。過度な滋養強壮は逆効果です」「過度な滋養強壮?そんなもの摂らせてませんよ。せいぜいスープくらいで……」と、江里子は慌てて反論した。スープすら駄目だと言うのだろうか。じゃあ何を食べさせればいいのか。江里子が医師に問い詰めようとした瞬間、シーツの下から伸びてきた手が、江里子の手首をきつく掴んだ。「……?」見下ろすと、星歌が微弱な動きで首を横に振っていた。医師は点滴の速度を調整し終えると、江里子に今後の注意事項を事細かに伝え、病室を出て行った。個室の中は、星歌と江里子の二人きりになった。江里子はたまらず星歌の手を握り直す。「星歌、どういうこと?まさかあなた、何か変なものでも食べたの?」「……今朝、飛鳥に無理やり薬膳スープを一気飲みさせられたのよ。多分、その効果が強すぎたんじゃないかしら」それを聞いて、江里子の顔が引き攣った。「あいつ……はあ?ちょっと待って……」頭を抱えそうになる。もはや飛鳥に何を言えばいいのか分からない。本来なら最優先で労わるべき自分の妻には、無知識な手料理を無理やり飲ませて大出血で病院送りにする。その一方で、どうでもいい義姉の赤ん坊のために大名行列のような医療チームを引き連れて奔走している。そんな男が夫だなんて、控えめに言っても最悪だ。末代まで祟られるレベルのハズレである。「ねえ、いつあいつと離婚するつもりなの!?」怒りで声を荒げる江里子に、星歌は力なく
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