夏蓮は、身体を少し回転させて両手を男の腹の辺りに当てて身体をずらし、素早く両足を男の腰に巻き付けた。「うわっ」と男が驚いて腕の力を緩めると、スルリと身体を引き抜き、一旦足でぶら下がったが、すぐに起き上がって今度は両腕で腹に捕まり足をほどいた。そして体に腿を引きつけながら足を揃えて男の尻の辺りに足の裏を当てたかと思うと、「やっ!」と腕を離して思い切り蹴った。小さな体は勢いよく男から離れ、後方宙返りをして、見事にしゃがんで着地した。一息遅れて陽亮も全く同じ動きで男から離れると、今度は帽子の上に付けていたゴーグルで目を覆い、ポシェットから催涙スプレーを出して、四人に向かって噴射した。二人に蹴り飛ばされてしゃがみ込んでいた男たちも、狼狽えて身構えながら子供たちを見ていた女たちも二人の方を向いていた為、まともにそれを受けてしまい、目を抑えて叫びながらパニック状態になってしまった。「なんなの?この子たち!」「痛い!痛い!なんだよこれ!」四人が叫んでいるうちに、陽亮と夏蓮は車の陰に隠れてゴーグルとネックウォーマーを元の位置に戻して、両親が待つさっきのテーブルまで駆け戻って行った。あっと言う間の二人の脱出劇を遠巻きに見守っていたボディカードたちは、「おいおい、ホントに五歳かよ。」「容赦ないな…。」と呟いた。リーダーだけは僅かに口角を上げて、満足そうに頷いていた。ふたりがテーブルに向かって駆け戻る姿が見えると、既に着替えを終えた涼禾と隼翔が立ち上がり二人を迎えた。「大丈夫だったか?」「怪我はない?」涼禾と隼翔の心配そうな顔に、二人は満面の笑顔で、「「だいじょうぶ〜!たのしかった〜!」」と答えた。間もなく隼翔の携帯にリーダーからメッセージが入った。『計画Ⅰ 無事完遂。計画Ⅱ 実行中』「?、いつの間に計画番号が付いていたんだ。……、無事だったからまぁ、いいのか…?」一方、それまで待機状態だった情報収集班は、忙しそうに作業を開始していた。計画Ⅱは犯行依頼者を特定することだった。四人組は、ひとしきり騒いだ後、何とか目をしばしばさせながら「くっそー!後少しだったのに。」「親たちに捕まる前に早く逃げよう。」「あの人に報告しなくちゃ。」などと口々に言いながら車でその場を後にした。四人は、 途中何度か振り返ったが誰かが追いかけてくる様子も無
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