昼間、女性とそんな話をした音羽は夜。 布団に入りながら考えていた。 (あの人に言われた通り、本来なら公用文書等毀棄罪はそんなに重い罪にはならないはず……。それなのに、私は懲役1年6ヶ月を言い渡されたわ……。この年数は、かなり重い過料なはず……。それだけ、紛失した書類が重要書類だったの……?) 取引先から訴えられた、と樹は言っていた。 その時の事を音羽は思い出す。 あの時も、樹は心配いらない、と音羽に言っていた。 訴えを取り下げさせる、と言っていたのだ。 だが、結局その訴えを取引先は取り下げる事はなく、そのまま刑事事件に進み、実刑判決を受けた。 (……あの時の火事に巻き込まれて、樹の会社の役員が無くなってしまった……それはとても痛ましい事。だけど、その火事を引き起こした原因は何だったの……?) 火事の原因は不明だったのだ。 そして、その火事すらも音羽が引き起こしたせいになってしまった。 書類を紛失した事を隠すために、音羽が火事を引き起こし、全てを灰にした。 そんな事実は無かったため、音羽は必死に否定したが、結局無実という証拠もなく、原因不明の火事も音羽のせいになってしまったのだ。 (樹は……必ず出してやるって……すぐに出してやるって病院でそう言ってくれたけど……あれから何の連絡も無いわ) 音羽はそっと自分の腹に手を当て、撫でる。 (この子のためにも、無実を証明したいのに……だけど私に出来る事が殆ど無いわ……) このまま、腹の子が刑務所で育って行くのを待つ訳にはいかない。 まだ刑期は1年以上残っているのだ。 このままでは、刑務所で出産せざるを得なくなってしまう。 だが、そんなのはごめんだ。 刑務所なんかで出産する訳にはいかない。 (明日、樹に連絡をして……この間言っていた事はどうなっているか……それを聞いてみよう……) そう決めた音羽は、目を閉じて眠る事にした──。 ◇ 翌日。 音羽は朝目覚めると、早速樹に連絡をするために電話をかけにいった。 だが、音羽が樹のスマホにいくら電話をしても、コール音が鳴り続けるだけで一向に樹が出る気配が無い。 「──出ない。なら、他の人に電話をするしかないわね……」 普通だったら、樹の秘書に連絡をするだろう。 だけど、樹の秘書は裕衣だ。 音羽には裕衣に電話をする気にはどうしても
Huling Na-update : 2026-02-06 Magbasa pa