――〈Oプランニング〉で働き始めてから二週間が過ぎた。 新しい職場での仕事にも慣れ、仲間たちともすっかり打ち解けて、世間ではもうすぐ五月の大型連休前だ。 あたしは仕事の帰り、久しぶりに父の会社である〈田澤フーズ〉を訪ねていった。――厳密にいえば、そこは半年以上前、あたしが藤木家に嫁いでから藤木グループの子会社に成り下がったのだけど。父が社長であることに変わりはないのだ。 「――お父さん、久しぶり!」 社長でありながら雑用に追われる父に、あたしはできるだけ明るく声をかけた。 「里桜! ああ、久しぶりだな。元気そうで何よりだ。結婚生活は順調か?」 嬉しそうにあたしに笑顔を見せてくれた父は、半年前よりやつれた気がする。やっぱり、会社を騙し討ちで乗っ取られて苦労しているんだろうか。 「あんな形で結婚させられて順調なワケないでしょ。あたしは今でも不満だらけだよ。でも、転職させてもらったし、ちょっとは充実してるんだ」 充実している要因は大智の存在だ。彼とはあれからもよくランチデートをしているし、たまに仕事帰りにはクルマで送ってもらって、こっそりキスをしたりもしている。 ただ、せっかく元サヤになったけれど、まだ体の関係はない。人目を忍んでの関係なので、会社の仲間の目が気になってオフィス内でエッチするわけにもいかないし。 彼の肌が恋しい。彼に早く体ごと愛してもらいたいのに……、夫のいる身は不自由で仕方がない。 「そうか……。お前の自由まで奪ってしまってすまないな。奪われるのはこの会社だけでよかったのになぁ」 「まだ気を落とさないで、お父さん。……実はね、今弁護士さんに動いてもらってるの。お父さんが作った借金にウラがあるかもしれないから」
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