All Chapters of 幸せになりたくて…… ~籠の中の鳥は自由を求めて羽ばたく~: Chapter 31 - Chapter 40

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終わってなんかいない Page2

「大智、好き……」 「うん」 「愛してる……」 「うん、オレも」  彼が髪を優しく撫でてくれる、その手すら愛おしい。この人と一緒にいられる間だけ、あたしは人妻であることを忘れてひとりの「女」でいようと思った。 「はぁ~~、幸せ……。やっぱりあたし、大智とじゃないとダメだぁ♡」 「オレがお前を幸せにしてやるよ。って今さら言っても遅いけどさ」 「ううん、遅くないよ。あたし絶対、あの人と離婚して大智と結婚するから」 「ふふっ、可愛いこと言ってくれるじゃん」  彼があたしの顔を持ち上げ、またキスしてくれた。でもこれは欲情を注ぎ込むキスじゃなく、ただ唇が重なるだけの優しいキスだ。 「……ふわぁ~ぁ……。やっぱりあたし、もう寝るね」 「ん、おやすみ。明日の朝は好きなだけ寝かせといてやるから」 「うん、おやすみ……」  彼が立ち上がってくれたので、あたしは先にベッドに潜り込み、それから二秒で眠りに落ちた。 その後大智もベッドに入ってくる気配がして、彼はあたしを抱きしめながら眠ったみたいだった。彼の体温は不快ではなく、むしろ心地よく感じられた。    * * * * 「――んー?」  翌朝、目が覚めたらまだ六時だった。横では大智がグゥグゥと小さなイビキをかきながらまだ寝ている。 もし正樹さんがイビキを
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終わってなんかいない Page3

「……あっ、あぁっ。……ねぇ、昨日できなかったことって……これ……っ? あぁ……」 彼は舌で先端だけでなく、その周囲もねっとりと舐め続けている。チロチロ、ペチャペチャとあたしの脚の間からいやらしい水音がして、今さらだけれどなんか恥ずかしい。 とはいえ、彼がしてくれる口淫は昔から嫌いじゃなかったし、むしろクセになるくらい気持ちよくて好きだ。舐めるだけじゃなく、クリを口でパクッと咥えてくれたらなおよし。「……あぁっ! ……あっ、あっあっ……あんっ♡」 と思っていたら、大智はパクリと赤い実を咥えて、口内で舌先を使って先端をチロチロと舐め、ブドウの実みたくジュルジュルとソコを吸い始める。 もっとしてほしい……、もっと気持ちよくしてほしい。あたしは彼の頭を両手で押さえ、快感に身を任せて腰を揺らし始めた。「あ……っ、はぁ……。大智、いいよ……。気持ちいい……っ♡ もっとして……、あぁっ♡」 彼の口淫を受けながら、先にシャワーを浴びておいてよかったなぁとボンヤリ思った。汚い状態じゃきっと、こんなことは拒むしかなかったもの。「……あっ、……は……ぁん。ぁあ……っ、あ……っ、は……ぁ」 だんだん頭の奥がぼうっとなってきた。もうイくかも……。「た……いち……っ、い……イくぅ……っ! もう……イっちゃう……っ!」 あたしのうわ言を聞いた大智は、舌先で陰核の先端にトンッとトドメの一撃を食らわせた。「う……っ、あぁぁ~~…………っ!」 目の前が白く爆ぜ、下半身がブルブルと痙攣した。「……あ、ヤベ。さっきのでオレのコイツも勃っちまった」「ん……、えっ!? まさかアレしながら自分で触ってた?」「触ってねぇよ。お前の感じてる顔見てるだけで興奮して」 彼の股間に目を遣ると、スウェットパンツの上からでも分かるくらいモッコリしている。「……つうわけで、昨夜したかったことその二。お前に上から跨がってほしい。できるだろ?」「そりゃまぁ……できるけど。昔もやったことあるし」 騎乗位の経験も、大智相手になら何度かあった。「じゃあオレ、ゴム着けてそこに寝そべるから。お前、上から挿れて。お前がオレを気持ちよくさせて」 彼はスウェットを脱ぎ捨てるとボクサーパンツの穴から出した雄に自分で避妊具を被せ、ベッドの上に寝そべった。天井に向かってそそり立つソレは、
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終わってなんかいない Page5

 確かに父が社長を務め、今は藤木グループ所有になっている〈田澤フーズ〉では、コーヒー豆のネット通販を行っている。豆の産地は南米のコロンビアとかベネズエラだ。でも、まさか今でもその事業が継続されていて、大智も売り上げに協力してくれていたなんて……。「大智、ありがとう! あたし、あんたに助けられてばっかりだね。実家の経営まで支えてくれてるなんて」「そんなの当たり前だろ? 自分の大切な女が困ってんのに助けないワケねぇって。ほら、いいからメシ食えよ」「うん、いただきま~す! ……ん! このソーセージもジューシーで美味しい♡」 多分安物ではないと思しきプリッとしたウィンナーは、一口噛むと肉汁がジュワーッと口の中に広がる。「そうだろうそうだろう。それもドイツ製の輸入もんだからな。オレのアレみたいにデカいだろ?」「ば……っっ! 食べてる時に何ちゅう話をしてんのよ!?」 大智がいきなり下ネタをぶっ込んできたので、あたしの顔が真っ赤に染まった。こみ上げてきた感情は怒りなのか恥じらいなのか自分でも分からない。 確かに、つい三十分ほど前まであたしのナカに入っていた彼の雄は大きくて硬くてプリッとしていたけど……。って、あたしも思い出してどうする!「あはは、悪かったよ。冗談だって」「もうっ!」「そんなことより、目玉焼きの焼き加減はどうだ?」 「うん、ちょうどいいよ。あたしの好みの焼き加減になってる」 ほどよく半熟の卵黄を、マーガリンを塗ったトーストにつけて食べるのがあたしは好きだ。 「……うまぁ~♡ 幸せだぁ……」「お前、すんげぇ美味そうに食うよな。作った甲斐あるわー」「だって、大智が作ってくれたゴハン、ホントに美味しいんだもん。……あ」 ふとあることを思い出し、あたしのフォークを動かす手が止まる。一昨日の夜、あたしが正樹さんの態度で引っかかっていたことだ。「……? どした?」「あのね、ウチのダンナのことなんだけど。あの人、『美味しい』とか何も感想を言ってくれないわりにはあたしの作った料理、キレイに食べてくれてさ。このごろはお代わりもしてくれるんだよね。何とも思ってない相手の料理、そんなに美味しそうに食べるかな……?」 たとえ家政婦くらいにしか思っていなかったとしても、だ。残すのが申し訳ないから、というのとは違う気がする。「それは……、ああ。そうい
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終わってなんかいない Page6

「そりゃ妬くだろ。ずっと想い続けてた女を、借金のカタみたいにして奪ってった男だもんさ」「そうだよね……。ありがと、嬉しい」 向かい合う大智の気持ちが別れる前とまったく変わっていないことに、あたしは大きな喜びを感じる。 この一日で、彼の懐の深さに、笑顔や言葉に、そして性行為のテクニックにあたしは身も心も満たされた。……そしてお腹も。「――ごちそうさま。朝ゴハン、すごく美味しかった♪ 洗い物、あたしがするよ」「いいから。オレがやるから座ってろって」「いいの! 大智は作ってくれたんだから、洗い物くらいさせて。食べさせてもらうだけじゃ申し訳ないもん。これでも一応主婦だしね」 キッチンのシンクで二人分の食器を手早く洗ってすすぎ(この部屋には食洗機がないのだ)、片付けるまでに三分もかからなかった。「――里桜、お前のダンナって今日の夕方には帰ってくるんだろ? 今晩あたり迫られるんじゃねぇ?」 ダイニングテーブルに戻ると、あと半日ほどであたしに差し迫る現実に大智が眉をひそめた。「昨夜と今朝、オレと思う存分楽しんだんだしさ、今晩くらいダンナの相手してやれば? お前はイヤだろうけど」「イヤなもんはイヤだけど、それは別にして。っていうか、今晩はちょっとマズいんだよね……。周期的にそろそろ来そうなの」「来そうって何が?」「排卵が。あの人、絶対ナマでしたがるんだもん。相手したらデキちゃうよ」 あの人の頭に〝避妊〟という概念はない。「夫婦なんだから必要ないだろ」というわけだ。 世間一般の夫婦なら、確かに避妊なんて考えなくていいのかもしれない。でも、あたしはあの人との離婚を望んでいるのだ。妊娠はあたしにとって不利益にしかならないし、あんな人との間にできた子供を愛せる自信はない。 大智がちゃんと避妊してくれていてよかった。彼との子供なら産みたいけれど、妊娠が分かった途端に正樹さん親子はあたしを手放さなくなるだろうから。「あぁー……。それは確かにマズいな。ピルは?」「最初の頃は飲んでたけど、『こんなもの必要ないだろ』って取り上げられちゃって」「う~ん、そっか……」 大智はしばらく考え込んでいたけれど、次の瞬間目からウロコが落ちそうな提案をしてきた。「だったらさ、ダンナにヤられた後にオレと上書きするっていうのはできねぇのかな」「……えっ? そ
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最低な夫と不倫妻 Page1

 ――大智のマンションを出てからは、帰るのはまだ早かったので二人でお台場まで行ってランチをして、クルマで赤坂の駅前まで送ってもらった。 『駅前でいいのか? 何だったらお前のマンションの前まで送るけど?』 『うん、いいの』  さすがに不倫相手と一夜を共にした帰りに、家の前まで送ってもらうのは気が退ける。あたしに後ろめたさはないけれど、常識を疑われそうで……。 アリバイ工作はこの後、ルナちゃんにお願いするつもりだけれど。 「――大智、ありがと。じゃあまた明日、行くことになったらその時はよろしく」  あたしは助手席でシートベルトを外し、大智にそう言った。 「オッケー。……あ、そうだ。コレ渡しとくよ。オレの部屋の合鍵」  チャリン、と音がして、右手に握らされたのはあたし好みの可愛いキーホルダーが付いた鍵だった。 付き合っていた頃にも彼のアパートの合鍵を預かっていたことはあるけれど、いいんだろうか? 不倫相手から、密会場所の合鍵を預かるなんて。 「……えっ!? いいの?」 「いいよ。明日はオレ、一日中部屋にいるつもりだけど。今後もこういうことあって、オレがいない時にお前が来て鍵かかってたら困るだろ?」 「あー、そっか。そうだよね。あの人に見つからな
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最低な夫と不倫妻 Page2

「でも、オレだってあんなこと真に受けないでさ、お前に直接確かめてたらって思うと……。お前とあんな形でじゃなくて、もっと違う形で再会して普通に元サヤになってたかもしんねぇなって。今になってすげぇ後悔してる」 「大智……、もしかして責任感じてるの? だからあんなに必死になって、ウチの借金を何とかしようとか思ってくれてるわけ?」  あたしが正樹さんと結婚することになった事情に、大智は関係ない。悪いのは多分だけどまんまと騙されて一億の負債を負うことになってしまったお人好しな父と、この縁談に「No」が言えなかったあたしだ。 でも、ほんの少しだけれど、あたしの中で正樹さんの見方が変わってきている。大智から心変わりしたわけじゃないけど、確実に何かが変わり始めていて、大智に申し訳ないという気持ちが芽生えてきているのも事実だ。 「それもある……かな。でも結局のところ、昨日も言ったみたいにお前が好きだから、っていう理由に落ち着くんだよ」  「……そっか」  彼があたしやあたしの家のことを気遣ってくれている理由は、それ一つだけあれば十分だ。何も、彼が気に病む必要はないのに。 「…………んじゃオレ、ホントに帰るから。明日、来る前に一応連絡して」 「うん、分かった」  大智はあたしに背を向けてクルマに乗り込み、去っていく。熱くて濃密な逢瀬の終わりに、甘い余韻を残して。 「――さて、家に帰る前に、どこかで落ち着いてルナちゃんに連絡取らないと」  とりあえずメ
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最低な夫と不倫妻 Page3

「大智にはああ言ったものの、正樹さんとまたセックスするのか……。ホントは気が乗らないけど、しょうがない」  理論上、あの人に中出しされても着床するまでの四十八時間以内に大智の精を受ければ、身ごもる子供はあの人ではなく大智との子供になるらしい。……と頭では分かっているのだけれど、心の方はそうもいかない。これは実験じゃなく、あたしが生身でそうしなければならないのだから。 「……せめて、あの人がその気になるようなセクシーランジェリーでも身に着けとくかな。あたしも気分だけでもその気になれそうだし」  普段身に着けているような地味な下着では、その気になれないし……。そう思ったあたしは手近な商業ビルに入り、ランジェリーショップへ立ち寄った。 さすがに露骨にエッチなランジェリーは売られていないけれど、透け透けの下着はある。黒のレースがふんだんにあしらわれた濃い紫色の上下ペアの下着なんか、ちょっと妖しげでエロいかもしれない。これを身に着けている自分を想像しただけで、本人だけれどドキドキしてくる。相手が大智ならもっとよかったけど、それは明日実現するからまぁいいか。   マンションへ帰ると、まずは証拠隠滅。ボストンバッグから一つにまとめておいた汚れ物を洗濯機に放り込み、バッグをまたあたしの使っているベッドの下に隠す。どうせあの人は洗濯機なんて気にもしないので、バレることはないだろう。あの人の洗濯物も一緒に洗ってしまえば問題はない。 そして、買ってきたセクシーランジェリーのセットを下着の入っているクローゼットの抽斗の一番手前に入れておき、すぐ出せるようにしておいた。今夜、入浴後にこれを着けるのだ。 「今日、夕食はどうしようかな……」
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最低な夫と不倫妻 Page4

「……ん……んっ、あ……っ♡ あっ、あっ♡」  しばらく布越しに肉芽を刺激してオナニーしていたけれど、時間がもったいない。 「んんっ、こんなことしてる場合じゃ……。早くイっちゃって続き書かなきゃ……。――あぁ…………んっ!」  最後はショーツの中に手を入れて、蜜に濡れたクリを直接刺激することで達した。 「……はぁ、ちょっとスッキリした。さて、続き続き」  汚れた指をテーブルの上に置いてあったウェットティッシュで拭い、パンツのファスナーを上げ直してまたキーボードを叩き始める。 その後は筆が進みに進んで、二日分の六千字を一気に書き上げてアップした時にはもう四時前だった。そろそろ正樹さんが帰ってくる。 パソコンをコンセントから引っこ抜き、通勤用バッグに突っ込んで寝室に持っていくと、タイミングよくドアチャイムが鳴った。ふー、ギリギリセーーフ! 「――ただいま、里桜」 「おかえりなさい。出張、お疲れさまでした。――バッグ、預かりますね」  あたしは愛想よく夫を出迎え、ボストンバッグを受け取る。彼はあたしにビニール袋を差し出した。お土産らしいけれど、一体どういう風の吹きまわし? 「……あの、正樹さん。これは……」 「土産を買ってきたから、食後に一緒に食べよう。浜松の銘菓だ」 
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最低な夫と不倫妻 Page5

 それはともかく、洗濯してしまったら決定的な証拠が消えてしまうので、あたしはワイシャツに付いた口紅をスマホで撮影して写真を保存してから、自分の洗濯物と一緒に洗うことにした。 あの人、けっこう抜けてるんだな。こんなもの洗濯してしまえばバレないとでも思ったのか。一体その洗濯はいつも誰がやっていると思っているんだか。……昨日はズルしたけども。 「ふふん♡ 主婦を甘く見るなっつうの」  本気になったあたしの恐ろしさを思い知るがいい。あとの証拠もちゃんと保管しておいて、離婚の切り札として使わせてもらうんだから。――お互いに不実を働いたんだし、これで条件はお互いさまじゃないだろうか。   ――夕食は冷蔵庫の中にあったカレーの残りと作り置きされたおかずで済ませた。出張帰りの正樹さんはそれでも文句を言わずに「美味い美味い」と平らげてくれ、食後のデザートとして二人でうなぎパイを食べた。 さすがは『夜のお菓子』といわれるだけあって、食べた後ほんのりと体に熱がこもったような気がする。まさか媚薬なんか仕込まれていたりしない……よね?  その後はしばらく夫の土産話に耳を傾けつつ洗い物を済ませて、リビングで寛ぐ夫に向き合った。 「……あの、正樹さん。あたし、明日出かけてきてもいいでしょうか? 今の職場でできたお友だちから、一緒に遊びに行こうって誘われてて。帰りにスーパー銭湯にも行きたいって言ってたので、帰りは夕方になると思うんですけど」  行き先にスーパー銭湯を挙げたのは、とっさの思いつきだ。彼の部屋に行った後、ボディソープの香りがした時の言い訳として使えるかなと思ったのだ。 「……別にいいが。
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