咲夜は英樹の和解の申し出を聞くと、薄く微笑んだ。「いいえ、英樹さん。それは違います。取り返しのつかない事態になるのは、あなたたち森崎家のほうです。花江家は今さら失うものなんてありません。最悪、完全に没落するだけ。でも、それ以上に悪い結末なんてありますか?」三年という歳月は、雅紀と真奈美が花江家の没落を受け入れるには十分すぎる時間だった。だが、森崎家は違う。彼らはずっと人の上に立ち、周囲から持て囃されることに慣れきっている。もし森崎家が没落する日が来れば、その現実を到底受け入れられないだろう。失うもののない者に怖いものはない。咲夜は、自分に恐れる理由など何一つないと思っていた。咲夜の言葉に、英樹の表情がわずかに曇る。図星を突かれた。だが彼はすぐに表情を整え、話を続けた。「花江家と森崎家は共存共栄だってできる。君が花江家の倒産も覚悟しているとしても、そこまで過激なやり方を取る必要があるのか?これまでのことは水に流そう。これからは互いに干渉せず、それぞれ実力でやっていけばいい」咲夜は鼻で笑い、途中で言葉を遮った。「私は今まさに、自分の力で花江グループを立て直そうと必死なんです。でも、それを何度も邪魔してきたのはあなたでしょう?花江グループが再起することを、英樹さんは何度も阻もうとしてきましたよね。そんなことを散々しておいて、今さら『過去は水に流そう』なんて、よく言えますね。おいしいところは全部森崎家が持っていって、私たちが耐え切れなくなれば、今度は外で『花江家は恩知らずだ』なんて言いふらすつもりですか?」皮肉げな笑みを浮かべた。「何の恩を忘れたっていうんです?何の義理を裏切ったっていうんです?あの頃、花江家が支えていなければ、森崎家なんてとっくに潰れていました。本当に恩知らずなのは、一体どっちですか?表では立派な顔をして、裏では別の顔を見せる。それがあなたたち森崎家です。花江家を陥れ、私の両親まで陥れようとしておきながら、自分だけは高潔で情に厚い人間のつもりですか?胸に手を当てて、自分自身に聞いてみてください。英樹さんにそんなことを語る資格がありますか?」咲夜は立ち上がり、真っ直ぐ英樹を見据えた。「昔、森崎家の思い通りにならなかったように、これから先も絶対になりません。両親は両家の情を思って踏
Read more