咲夜はベッドに横たわる千暁を見つめ、尋ねた。「あきはどう?」「薬を投与したので、今は眠っている」智之はありのままを答えた。投与した薬には睡眠作用のある成分が含まれていた。智之は咲夜を見て言う。「今夜の件はもう揉み消してある。安心して。このことを外で話す人はいないから」咲夜は頷くと、冬美に関する一件についても智之と良太に説明した。二人は顔を見合わせる。すると良太は呆れたように智之を睨みつけた。「おいおい、あの高岡冬美、千暁ちゃんに完全に取り憑かれてるじゃねえか。高岡家は招待してないって言ってただろ?智之、お前にしては詰めが甘いな」そう言って額を押さえる。冬美が千暁に薬を盛ったのは、これが初めてではない。それどころか、千暁の部屋に忍び込み、裸になって誘惑することすら日常茶飯事だった。もちろん、そのたびに千暁に部屋の外に放り出されていたが。それでも高岡家は、そんな冬美の暴走を止めようとはしなかった。千暁は何度も高岡家を締め上げ、そのたびに倒産寸前まで追い込んでいる。最後には高岡家も「今後は必ず冬美を厳しく管理する」と約束していた。……なるほど、確かによく「管理」できているものだ。夜が明ければ、高岡家も終わりだ。智之は呆れ果てて天井を仰ぎ、白目をむいた。「本当に高岡家は招待してないって。そもそも、うちの招待リストに入れるような家柄じゃないし」冬美がクルーズ船に現れたと知った時点で、智之はすぐに調査を始めていた。調べてみると、冬美は大金を払って入場券を手に入れ、警備の隙を突いて船に紛れ込んでいたのだ。智之はすぐさま部下に冬美を監視させていた。だが、まさかあの女は、すでに手を打っていたとは。しかも標的は咲夜だった。幸い、発見が間に合ったからよかったものの。詩乃が口を開く。「警察には通報済みよ。あとは警察に任せればいいわ。千暁の左腕の傷は大丈夫なの?」良太が横から答えた。「医者の診察では今のところ問題ない。でも念のため病院で詳しく診てもらう必要がある。智之がもう船長に引き返すよう指示した」港までは、あと三十分ほどで到着する予定だった。咲夜は時刻を確認する。すでに午前一時半を回っていた。彼女は部屋にいる皆に向かって言う。「私がここに残って看病するから、みんなは先に休んで。今夜
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