咲夜はその言葉を聞いた瞬間、香織が先ほどあれこれ尋ねてきた理由を悟った。――びっくりした……!てっきり、自分が無意識のうちに何か失礼なことをしてしまい、香織が話題を変えるためにああ言ったのだと思っていたのだ。その言葉を聞いた千暁は、横目で香織をちらりと見た。その眼差しには、疑念と探るような色が宿っていた。香織は再び咲夜に視線を向ける。「さっき、必要な生地を探しているって言っていたわね。私のところには確かにいろいろコレクションがあるけれど……」そこで言葉を切る。咲夜が緊張した面持ちで自分を見つめているのを見届けてから、香織はゆっくりと言葉を続けた。「お金の話はなしよ。私が集めているのは、全部その時々の気分で選んだものなの。お金なんて、私の美意識を汚すだけだから」その一言に、咲夜の胸はすっと重くなった。つまり――断られた、ということなのだろうか。咲夜には、その真意がよく分からなかった。あるいは分かっていても、まだほんの少しだけ期待を捨てきれなかった。けれど、人の愛蔵品を無理に奪うつもりはない。香織のコレクションは、多額の費用をかけて集めたものだと聞いている。中には、すでに世界に一つしか残っていないような貴重な品もある。それに、自分と香織は特別な間柄でもない。突然訪ねてきたうえに、いきなり大切なコレクションを譲ってほしいと頼むなど、確かにあまりにも厚かましい話だった。そう思った咲夜は、笑みを崩さないまま、自分の無礼を詫びようと口を開きかけた。そのとき、香織が箸を置いた。彼女はスマートフォンを取り出し、咲夜に向ける。「どうしてなのか自分でも分からないけれど、あなたを見ると嬉しくなるの。すごく気に入ったわ。だから……まずは友達になりましょう」そう言ってスマートフォンを咲夜に差し出した。「LINE交換しよう」咲夜は言われるまま、香織のLINEを友達追加した。香織は咲夜のプロフィール画面を一目見た。咲夜のニックネームは、そのまま【SAKUYA】。香織はチャット画面を開き、【+】をタップしてアルバムを開くと、次々と大量の写真を送信していく。すると、咲夜のスマートフォンが、立て続けに通知音を鳴らした。チャット一覧を開くと、香織とのトークが三番目に表示されている。その上には、ピン留め
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