こんなことなら、最初からこの話を持ち出さなければよかった。星奈は後悔した。今にも泣き出しそうな顔をして、泣くに泣けないといった様子だった。智哉はさらに続けた。「景浦市から戻ったら、俺と一緒に今泉グループで働け。働いて借金を返して、全額返し終わるまでは辞めるな」以前の星奈なら、きっと大喜びしていただろう。これまでは、どうすれば智哉のそばにいられるのか、その口実が見つからず悩んでいたのだ。それが今では、ようやく堂々とこの男につきまとえるようになったというのに、星奈はどうしても喜ぶ気にはなれなかった。「うん……」気のない声で小さく返事をする。戻ったところで、本当に今泉グループに入れるかどうかさえ分からないのだ。この先に待ち受けていることを思うと、星奈の気分が晴れるはずもなかった。唇をきゅっと結び、沈んだ表情のまま、いっそ時間がもっとゆっくり流れてくれればいいのにとさえ思った。だが星奈自身、分かっていないわけではない。来るべきものは、いずれ必ずやって来る。逃げたところで何の意味もないのだ。智哉も、星奈の様子がいつもとどこか違うことには気づいていた。しかし、それほど深くは考えなかった。借金を作ってしまい、家族にどう顔向けすればいいのか分からず落ち込んでいるのだろうと思っただけだ。そう考えた智哉は、再び口を開いた。「お父さんには俺からちゃんと話しておく。ただ、お前も一度くらいお父さんにきつく叱られたほうがいい。そうすれば少しは懲りるだろ」星奈はこれまでにも、大小さまざまな騒ぎを起こしてきた。そのたびに、父親の川治が後始末をしてきたのだ。川治は幼い頃から娘の星奈を溺愛しており、筋金入りの親バカと言ってもいいほどだった。とはいえ、守るべき一線に関しては、川治も娘にかなり厳しかった。今では賭け事にまで手を出し、そのうえこれほどの借金まで作ったのだから、さすがに一度、川治からきっちり叱ってもらう必要があると智哉は思っていた。そうでもしなければ、今後また何をしでかすか分かったものではない。星奈は沈んだ声で答えた。「いいよ。智哉さんの言うとおり、私も一度ちゃんと痛い目を見て、懲りたほうがいいと思う」そう言ったあとも、彼女の顔から浮かない表情が消えることはなかった。智哉は、さっきの自分の言い方が少しき
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