咲夜は笑みを収めると、両手で千暁の頬を包み込んだ。「こんなに目の保養になる素敵な人、ずっとそばに置いて大事にしたいくらいなのに、嫌がるわけないでしょ」そう言って、咲夜は顔を伏せ、千暁の唇にそっとキスをした。ほんの一瞬、軽く触れるだけのキスをしてから、「着替えはもう灰原さんに届けてもらったよ。クローゼットにしまってあるけど、先にシャワー浴びる?」と尋ねた。千暁はまだ朝から着ていた服のままだった。もともとは皺一つなかった服も、今では少し乱れている。腕には黒い喪章が巻かれ、胸元には萎れかけた白い菊が一輪挿されていた。千暁は自分の格好に目を落とすと、「そうだな。シャワーを浴びてくる」と答えた。咲夜がクローゼットの場所を教える。彼女は自分のクローゼットの半分を空け、そこに千暁の荷物をぎっしりと収めていた。千暁はすぐに部屋着を手に取り、バスルームへ入っていった。咲夜は足に気をつけながらゆっくりと体を動かし、ベッドのヘッドボードにもたれかかると、スマホを手に画面を眺め始めた。そのとき、ドアをノックする音が聞こえた。「入るわよ」ドアの向こうから真奈美の声がする。そのまま十数秒ほど待ってから、真奈美はゆっくりとドアを開け、入口に立ったまま咲夜を見た。「千暁さんは?」「シャワー浴びてるよ」咲夜がそのまま答えると、真奈美は頷いた。「じゃあ、終わったら一緒に下りてきて、何か食べさせてあげて。一日中忙しかったし、たぶんまだ何も食べてないでしょう」ここ数日、千暁は絢子の葬儀の準備に追われていたうえ、今日は弔問客も多かった。実際、朝起きてから今まで、ろくに何も口にしていない。シャワーを浴びている途中、千暁は胃が痙攣するような痛みを覚え、少し気分が悪くなっていた。シャワーを終えて出てきたときには、真奈美はすでに部屋を出て、階下で食事の用意をしていた。咲夜は濡れたままの彼の髪を見ると、自分のところへ来るよう手招きした。千暁は素直に従い、咲夜に背を向けてその場にしゃがむ。ほぼ同時に、咲夜はベッドサイドの引き出しから予備のドライヤーを取り出した。バスルームにもドライヤーは置いてあったのだが、千暁は気づかなかったのだろうと彼女は思った。コンセントを差し込み、風量を中程度に合わせると、咲夜はそのまま千暁の髪を乾かし始めた。細い指
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