ガシャリと重厚な鉄の扉の鍵が締まる。 その鍵を守るように看守人形が無言で棒立ちになる。「あー。戻った戻った。昼寝でもするかな」 気楽そうにストレッチをしながら先を行く京の背を涼が見つめる。 意外だ──と、京と過ごして二日目に思った。京の感情に『不安』の色が見え隠れしていた。それはラムネのように綺麗な薄水色で酷く脆い欠片が砂上になってはまた集まって砂になるのを繰り返す。キラキラして視えるそれは精神的な脆弱情報なのだ。「京、ごめん」「別に……。いや、ファイト中に乱入は洒落になんねぇ。全部説明しないと駄目なお子様かよ」「あんな……躊躇いもなくすぐ殴るとか……びっくりした」「ファイトなんだから当たり前だろ。ジャンケンで済むなら所詮その程度の揉め事だ」「そうだけど……」 囚人塔に戻った二人を見て、周囲が気付き話を始める。「おい、来たぜ」「どうする ? お前先いけよ」「いや、大丈夫なのか ? 揉めたくねぇよ俺ァ」「ああいうのは早いもん勝ちだ」 京が溜息をついて涼を横目で見る。「大人気じゃねぇか。どうしたもんかな」「そうだね。とりあえず、最初は少ない人数で少しずつ始めないと、またやらかしちゃうからね」 涼に『癒し』を辞める選択肢は無いということだ。「あ ! 涼くん ! 」「「あ……」」 ザワつく囚人の中、階段を登る途中にサラと出会した。「良かった ! あの後どうなったのかと ! わたしを守ってくれたんだね。ありがとう。ごめんね、来て突然あんなの見たらびっくりするよね」「いえ。来て半日経たず京がファイトしたし、そう言えばそういう場所だったなって」「あはは ! そうだったそうだった ! 」 朗らかに笑う。その姿は『気さくな近所のお母さん』だ。相変わらずドレスは一張羅
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