美雨は今、展望技術の株を手に入れるためだけにこんな口約束をしているが、自分の利益になるとなれば、後になって今日の言葉など平然と反故にするだろう。だから、雅也は彼女を展望技術に介入させる隙を一ミリも与えるつもりはなかった。美雨の顔が強張った。雅也がここまで即座に拒絶するとは予想していなかったのだ。しかし、あの藤堂グループの10%の株を手元に残したままにしておけば、利益を生むどころか、泰造から強引に奪い取られ、あの無能な健太の手に渡るだけだ。あんな無能な穀潰しに奪われるくらいなら、いっそ自分で売り払って現金化した方がマシだ!「桜井社長、もう少しだけ交渉の余地はありませんか?せめて0.5%だけでも……」雅也の顔には微塵の温度もなかった。「お引き取りを」雅也の揺るぎない態度を見て、美雨は展望技術の株を手に入れるのは不可能だと悟った。彼女は深く息を吸い込み、雅也を真っ直ぐに見据えた。「桜井社長。株の交換に応じていただけないなら、私が保有する10%の株を、そのまま買い取っていただくことはできませんか?」雅也は書類を置き、片眉を上げて彼女を見た。どうやら彼女は、あの株を一刻も早く手放したがっているようだ。雅也は極めて冷淡に答えた。「買い取るのは構わないが、十億円しか出せない」「……何ですって!?」美雨は信じられないというように目を見開き、冷たく言い放った。「桜井社長、冗談を仰っているのですか!?」藤堂グループの10%の株だ。市場価値で見れば最低でも百億円は下らない。それをたった十億円で買い叩く気か?雅也は無表情のまま彼女を見据えた。「聞き間違いじゃない。十億円だ。もし不服なら、今すぐ帰ってくれて構わない。株を売りたがっているのはそちらであって、俺がどうしても買いたいと頼み込んでいるわけじゃないんだからな」藤堂グループの株など、今の彼にとっては全く無価値なガラクタだ。十億円でも十分すぎるほどの色をつけてやったつもりだった。美雨は車椅子の肘掛けを強く握り締め、屈辱に顔を歪ませた。十億円。あまりにも足元を見られた額だ。だが、もしここで一刻も早く売り払わなければ、最終的にこの十億円すら手に入らなくなる可能性が高い。健太にあれを奪われるくらいなら、二束三文でも桜井雅也に売り飛ばした方がマシだ。「
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