Todos os capítulos de 今世は貴方を愛さないと誓ったのに、何故縋りついてくるのか: Capítulo 31 - Capítulo 40

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第31話

「美里ちゃんは春奈ちゃんと同じ職場なんだっけ?」「はい」「へー春奈ちゃんと違ってしっかりしてるねー」「ちょっとそれどういう意味ですか!」アハハッと笑い声が響いた。春奈にせがまれて来たはいいものの、美里は早々に帰りたくなった。前世でも、初対面の人との飲み会は参加したことがなかった。このような場は自分には合わない、美里はあまり馴染むことができなかった。早く時間が終わりますように、と願いながら美里は適当に会話に相槌を打った。***二時間後、ようやく飲み会が終わり、解散の時間となった。「私はここで失礼します」「美里先輩、もう帰っちゃうんですか」飲みすぎた春奈は飲み会に参加していた一人の男性に介抱されていた。どうやら良い相手を見つけたようだ。「明日も朝早いから……」「あら、そうなんですね。それは残念です」そう言うと、酔っ払った春奈は眠りについてしまった。美里は春奈を仲のいい女性陣の一人に任せ、早々に居酒屋を出た。「あの、ちょっと待ってください」「……はい?」店を出た彼女に、一人の男性が声をかけた。ついさっきまで春奈を介抱していた男だった。「美里さん……でしたよね?」「はい、そうですが」男は顔を赤らめながら美里を見つめた。酒のせいか、それとも美里の美しい容姿に見惚れているのか。「あの、よろしければ連絡先を交換しませんか?」「……わ、私とですか?」美里は一度断りを入れたものの、相手はなかなか退かなかったため、連絡先だけならと交換を受け入れた。美里の連絡先を手に入れた彼は嬉しそうに自身について話し始めた。「実は僕、城田財閥に勤めてるんですよ」「し、城田財閥……!?」宗助の父親がトップを務める城田財閥は、誰もが知る有名企業だった。社員の平均年収も高く、高学歴ハイスペックな男性が多いことで知られている。婚活市場では人気なのだという。「社長は気難しい方で、いつも大変なんです」「それは……そうでしょうね」美里は宗助の父親を思い浮かべた。前世、彼女にとって義父だった人だが、美里は最後の最後まで彼とは親しくなれなかった。「この間、副社長にもお会いしたんです」「……まぁ、副社長に?」副社長とは、まさに宗助のことだった。「それで……副社長はどんな感じですか?」美里は興味本位で社内での宗助の様子を尋ねた。彼とは幼馴染だが、彼の
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第32話

どうして彼がここにいるのかと思っていると、宗助が美里の肩に触れ、男との間に割って入った。美里の視界に彼の大きな背中が広がった。まるで宗助が美里を男から守っているようだった。「ふ、副社長……!?」「…………その顔、見覚えがあるな」宗助は鋭い瞳で彼を見下ろした。宗助は男の中でも背が高く、体格がよかった。そんな彼に凄まれて平気でいられる人間などそうそういない。「ああ、そうか。お前、ウチの社員か」「……」男の顔がみるみるうちに青くなっていった。一体いつからいたのか、もしかしてさっきの話を聞いていたのか。美里も内心気が気ではなかった。「……………美里、行くぞ」「そ、宗助!」彼は男から早々に目を逸らし、美里の手を引いて立ち去って行った。「さっきのって……本物の副社長だよな……?あの子と知り合いなのか?」男は彼女の名前が美里であったことに気付き、もしかして……とさらに顔を青くした。***「宗助!」美里の声で、早足で歩いていた宗助はようやく立ち止まって彼女のほうを振り返った。「どうしてここに……」「お前を迎えに来た」「私を?」美里は驚いた。これまで人を寄越すことはあっても、わざわざ彼自ら美里の元へ出向くのは初めてだった。二人は横並びで真っ暗な道を歩いた。「宗助、もしかして……さっきの話聞いてた?」「……何のことだ?」彼の返答に、美里は安堵の息を吐いた。必死の形相で宗助のことを庇っている姿を彼に見られるのは恥ずかしかった。「……飲み会してたのか?」「あ…………うん」美里が男女で飲み会をしていたことは既に宗助の元へ報告がいっていた。彼女は焦ったが、彼がそのことについて何かを言うことはなかった。飲み会が開かれていた居酒屋から美里の家まではそう遠くはなく、すぐについた。彼女はその間ずっと黙り込む彼に違和感を感じながらも、家に入った。「宗助、またね」「ああ」彼は永山家の邸宅に入る美里を見送った。***宗助は永山家の邸宅の前で立ち尽くしていた。何故仕事の合間を縫ってまで美里の元へ来たのか。彼にもイマイチわからなかった。何故だか、とても美里に会いたくなったのだ。「ちょっと前に見た夢が関係しているのか……」彼は数日前に見た夢の内容を思い浮かべた。夢にしてはあまりにも鮮明で、生々しかった。傷だらけで横たわる美里を、宗助が
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第33話

「流星!久しぶりね!」「……み、美里!?」突然萩田家の邸宅へやってきた美里に、流星は驚きを隠せなかった。宗助のことで後ろめたさがあった彼は、美里のことをずっと避けていた。もちろん彼はそんなことしたくなかったが、親にまで城田家の圧力をかけられてしまえば仕方がなかった。城田家に目をつけられれば、少なくともこの白羽区で普通に生きていくことはできなかった。宗助の元恋人の今野萌子が良い例だった。「美里、どうしてここに!?」「時間があったから来たのよ。久々に流星に会いたかったし」「だけど、宗助が何て言うか……」流星は同窓会のあの日、宗助に脅迫とも似た警告を受けたのだ。美里は自分の婚約者なのだから必要以上に親しくするなと。流星はそれは美里が決めることだと断ったが、彼はその後すぐに萩田家――流星の両親に圧をかけ始めた。萩田家もそれなりに名家だったが、城田家には到底かなわない。「宗助のことなら心配いらないわ!友達としてなら流星に会っていいって言われたから!」「ほ、本当か……?」流星は美里のその言葉を簡単に信じられなかった。宗助は嫉妬深い性格で、美里に近付く男を絶対に放っておかないとそう思っていたからだ。「だから流星、久々にお話しましょう!」「そ、そうだな……」美里は流星を誘い、いつものカフェへと向かった。「それでね、最近宗助が妙に優しくって……何だか変な感じがするの。彼があんなに気遣ってくれるところは初めて見たわ。私は婚約破棄しようと思っているのに……」「そうか……」流星は城田家の権力を前に、何もしてあげられない自分が情けなかった。「この間なんて高級ホテルのディナーに連れていかれて……帰り際にネックレスまでくれたのよ。これまでそんなこと一回もしてくれたことなんてなかったのに……一体どういう風の吹き回しかしら」「……さぁ、アイツは昔から何を考えてるかわからないやつだからな」宗助は美里を愛している。彼女はそのことにまったく気付いていないようだったが、わかる人にはわかるのだ。「それと、この間萌子さんに会いに行ったわ」「そうか……萌子に会いに…………って、ええ!?」流星はコーヒーを思わず噴き出しそうになった。「元気そうで安心したわ、今度は白羽区に来てもらうことになっているの」「そ、そうか……」流星は大学の頃に何度か見た今野萌子の姿を思い
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第34話

時は流れ、宗助の両親が海外出張へ行く当日となった。そのおかげか、宗真は妙に機嫌が良く、逆に宗助はピリピリしていた。そして今日は、萌子が白羽区を訪れる日でもあった。美里にとっては気の抜けない一日だ。宗助の心変わりで、近頃監視の目が緩くなっており、美里は比較的動きやすくなっていた。「美里、どうかしたのか?」「あ、ううん……何でもないの」当然、宗助は美里の企みなど知る由もなかった。***『萌子さん、白羽区でオススメのカフェがあるんです。この間素敵なカフェを紹介してもらったお礼も兼ねて、ぜひ一緒に行きませんか?』『それはいいですね、楽しみにしています』萌子は既に白羽区に到着しており、美里とメールのやり取りをしていた。『では白羽駅前で落ち合いましょう』『わかりました、今から向かいます』美里は萌子を誘い出すことに成功した。ちょうど今頃宗真が宗助を白羽駅前に呼び出しているはずだ。計画はきっとうまくいく、美里はそう信じて疑わなかった。が、しかし――「美里、何してるんだ?」「…………そ、宗助!?」駅から少し離れた場所にある公園のベンチに座っていた美里に、宗助が横から声をかけた。宗助が何故ここにいるのか、美里は驚きで固まった。「し、白羽駅前に行ったんじゃ……」「……?何故お前がそのことを知っている?」訝しげにこちらを見つめる宗助に、美里は慌てて言い訳を考えた。「それは……宗真くんからたまたま今日宗助と白羽駅で会うって聞いて……」「なんだ、アイツが喋ったのか」宗助は美里の言い分に納得してくれたようだった。「い、行かなくていいの……?」「かまわない、どうせくだらないことだろう」「ええ!?」「アイツは昔から俺への悪戯として呼び出してはドタキャンを繰り返していたからな。どうせ今日もそんな感じだろう」宗真くん!あれほど自信満々に言ってたのに、全然お兄さんから信用されてないよ!ていうかそんな悪戯してたのか!美里は心の中で叫んだ。宗助と萌子を引き合わせなければならないのに、彼がここにいては意味がない。どうするべきか悩んでいると、宗助が隣に座り、美里の頬に手を伸ばした。「……?」「美里」彼は美里の長いロングヘアをそっと耳にかけた。そして至近距離で囁いた。「アイツのことなんかどうでもいい。俺はお前と一緒に――」「わ、私、人を
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第35話

「困ったわね……」美里は頭を抱えた。絶対にうまくいくと確信していた作戦が失敗したからだ。ベッドに突っ伏していた美里の傍にあったスマホの着信が鳴った。『今日はありがとうございました。とても楽しかったです』萌子からのメールだった。美里はすぐに返事をした。『こちらこそありがとうございました』今日ダメだったからといって、チャンスが完全になくなったわけではなかった。萌子は一週間ほど白羽区に滞在する予定だ。あと一週間は時間があるのだ。その間に宗助と会わせることができればいい……と思うものの、美里は今日見た彼の姿を思い浮かべた。『美里』温かい声に、優しい手つき。あれではまるで、自分を好いているみたいではないか。そんなことあるわけがない。美里はそのような淡い期待を抱いても無駄なだけだということをよく知っていた。「あぁ、もう!最近の宗助は本当に理解できないわ……どうしてこうも私の元へ来るのかしら……」宗助は萌子を愛しているのではなかったのか。どれだけ考えても答えは出てこない。「そこまでして永山家との繋がりを持ちたいのかな……」繋ぎ止めようとする理由が美里ではなく、永山家だということを考えると何だか切なくなった。「……今日はもう寝よう」時刻は既に夜の十二時を回っていた。考えていても仕方が無いと思った美里は、そのまま眠りについた。***同時刻、城田家にて。『宗助』『美里』宗助は幼い頃の夢を見ていた。まだ小さい美里が彼を見て微笑んでいる。彼は昔から無愛想で冷たい人間だった。そのため、友人と呼べる人はほとんどいなかったのだ。同級生たちは彼を畏怖して近付こうともせず、大人たちは城田財閥の次期後継者に気に入られようと媚びを売る。美里だけだった。そんな彼に温かく接してくれたのは。美里とは子供のころからずっと一緒だった。幼稚舎、小学校、中学校、高校、大学までずっと共に歩んできた。いつしか宗助は、自分の傍に美里がいるのは当たり前で、彼女がいてくれることに何の違和感も感じなくなっていた。大学に入り、宗助は同い年の今野萌子と出会った。萌子は美しく聡明な女性だった。萌子との交際を伝えたときの美里の顔は今でも覚えていた。ショックを受けたような、どこか諦めに似た表情だった。そこから両親の手によって萌子と引き離され、宗助は絶望した。『宗助、私だけは
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第36話

翌日。「そうか、それで作戦はうまくいかなかったのか……」「はい。というか宗真くん、宗助にそんな悪戯してたんですか」「昔の話だよ!ちょっとした出来心でやっただけだし……兄貴はいつまでも根に持ちすぎだっての!」たまたま仕事が休みだった美里は、宗真の通う大学院へと訪れていた。学食に入った二人は昼食を共にしながら作戦会議をしていた。「それより宗真くんって学食なんて来るんですね。城田家の人はいつもお高いランチ食べてるのかと思ってました」「研究室から近いし、楽なんだよな。兄貴なんて外食嫌いだから一人でそういうところあんま行かないし。というかそういう美里さんだって普通のレストランで昼飯食ってるんだろ?」「永山家と城田家では全然違いますよ」「似たようなもんだろ」学食で向き合って昼食をとる美里と宗真は周囲の人々からの視線を集めていた。城田家の次男であり、見た目も良い宗真は学内でもスター的存在で、彼のファンクラブまで存在しているほどだった。「宗真くんは学内で相当人気なようですね」「何言ってるんだ、みんな美里さんのこと見てるんだよ」「そんなわけ……」ないでしょうと言いかけた美里は、通りかかった一人の男子生徒と視線が絡み合った。宗真の言っていることはあながち間違いではなかった。「研究は順調に進んでいますか?」「ああ、それなりにって感じかな」大学院一年目の宗真は国際文化を専攻している。「俺は兄貴みたいに後継者として育てられたわけではないし……会社を継ぐことにも興味はないからさ。自分の好きなことを学びたいんだ」「それが異文化についてだったんですね」「ああ、俺の夢は世界を飛び回ることだからな」夢を語る宗真の目はキラキラしていた。その姿は、前世の残酷な彼とは似ても似つかなかった。美里は不思議だった。このような夢を持つごく普通の男の子が、前世ではどうしてあんな怪物になってしまったのだろう。そのとき、一人の女子生徒が宗真に声をかけた。「宗真先輩、お久しぶりです」「ああ、久しぶり」宗真と女子生徒は顔見知りのようで、彼女は頬を赤らめて宗真を見つめていた。おそらく大学内に数多くいる彼のファンの一人だろう。「先輩、この間は勉強を教えてくださってありがとうございます」「気にしないで、別に暇だったし」宗真は笑いながら答えた。無愛想な宗助と違って彼は気
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第37話

「美里様、お久しぶりです」「あら、青山さん!」宗真の通う大学から出た美里を迎えに来たのは、宗助の秘書である青山だった。美里は宗助の秘書・青山幸喜のことを前世からよく知っていた。邸宅で一人ぼっちだった美里に礼儀を尽くし、会うたびに気にかけてくれたのは彼だけだった。美里と青山は二人並んで歩き出した。「今日はお仕事はお休みなんですか?」「ええ、宗真くんと久々に話したくてここまで来ていたんです」「そうですか、どうやら楽しい時間を過ごされたようですね。いつもより明るい顔をしています」他の男性と二人きりで会ったことに苦言を呈されると思っていた美里は、彼の予想外の返答に驚いた。「……咎めないんですか?」「いくら私が宗助様の者とはいえ、美里様の行動まで制限する資格はありませんから」「青山さん……」青山幸喜は真面目で、出来た男だった。そんな彼に宗助も絶対的な信頼を置いている。「それに宗真様は美里様の義理の弟になるお方ですからね。仲良くしようとなさるのはいいことではありませんか」「……そ、そうですね」青山は美里の気持ちを知っていながらも、あえて知らないふりをした。「宗真くんは大学内でかなり人気のようです。ファンクラブが存在しているとか」「それは宗助様も同じだったではありませんか」青山にそう言われ、美里は大学時代の宗助を思い浮かべた。宗助は人を寄せ付けないタイプの男だったが、学内ではいつも彼の周りに女子生徒の人だかりができていた。宗助は彫刻のように整った顔をしているうえに、城田家の長男という地位があった。大学一の美女とまで呼ばれた萌子と付き合っていた当時も、釣り合わないという意見が大半を占めていたほどだ。「宗助は……ずいぶん忙しいみたいですね」「今は社長が海外出張でいませんからね……そのせいか社内がいつもよりピリピリしています」青山は貼り付けたような笑顔を浮かべた。彼も内心、疲労がたまっているようだ。「そうですよね……」宗助は今社長代理として城田財閥のトップに立っていた。彼にとってそれは初めての出来事で、きっと慣れないことばかりなはずだ。それでも彼は、自分なりに出来ることを精一杯やっている。人の上に立つ者として完璧だった父親には遠く及ばれないかもしれないが、彼がその過程で血のにじむような努力をしたことに変わりはない。そして萌子も、
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第38話

あっという間に時間は流れ、一週間が経った。今日は萌子が故郷へ戻る前日だった。美里は最後にと、萌子と出かける約束を取り付けていた。本当は最終日に会いたかったが、あいにく明日は仕事で遅くなりそうだった。だから今日が最後の日だった。「今日で最後ですね、何だか寂しくなります」「またいつでも会えますから。誘ってくださって本当にありがとうございます、美里さんのおかげでとても楽しい一週間でした」「私は何もしていませんよ」美里はもう宗助と萌子を引き合わせようなどとは考えていなかった。彼らは彼らなりにそれぞれ前を向いて生きているのだから。自分が強引に二人の運命を捻じ曲げてはいけない、そう思ったのだ。そのおかげか、美里は萌子との最後の日を思う存分に楽しむことができた。***「萌子さん、今日はありがとうございました」「こちらこそ、とても楽しかったです」夜、美里は白羽駅で萌子と向き合っていた。明日には萌子は故郷へ帰るのだ。美里は萌子と最後の握手を交わした。冷たかった美里の手に、彼女の温もりが伝わってくる。「萌子さん、これからどんなことがあっても負けないでくださいね」「美里さん……」美里のその言葉に、萌子は驚いたように目を見開いた。前世、美里は萌子に対する恨みが全くないわけではなかった。彼女さえいなければ……と考えたことも一度や二度ではなかったのだ。しかし、今の彼女の一言は紛れもない本心だった。萌子は何か思うことがあるのか、しばらく黙り込んだあと、口を開いた。「……ありがとうございます」彼女は切ない瞳で微笑んだ。その瞬間、ひときわ強い風があたりを吹き抜けた。「キャアッ!」そのはずみで、萌子のかぶっていたベレー帽が吹き飛ばされた。「大変!」美里は慌てて彼女の帽子を追いかけた。十メートルほど走ったところで、偶然通りがかった人物が帽子をキャッチした。「あ、ありがとうございま……」顔を上げた美里は、ベレー帽を持っていた人物を見て固まった。「宗助……………?」何故彼がここにいるのか。美里は驚きを隠せなかった。宗助は萌子の帽子を片手に持ったまま、時が止まったかのようにただある一点だけを見つめていた。彼が何を見ているのかは、わざわざ振り返らなくてもわかる。「宗助……」萌子が目を丸くして彼の名前を呼んだ。まるで二人だけの世界に入り込ん
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第39話

「萌子……」「宗助……」二人はじっと見つめ合いながらお互いの名前を呟いた。ただの元カレ・元カノ同士だったらこのような反応にはならなかっただろう。周囲の人間の悪意によって引き離された恋人同士の運命の再会だった。「宗助!!!」先に動いたのは萌子だった。彼女は目に涙を浮かべながら宗助の元へ駆け寄り、彼に抱き着いた。彼はそんな彼女を優しく受け止めた。「宗助……!」「萌子……」そのまま萌子は宗助の身体にしがみついて胸に顔をうずめた。彼は驚きながらも、萌子の背中にそっと手を添えた。一部始終を遠くから見ていた美里は、その場から動けずにいた。あまりにも完璧な恋人同士のように見える二人の間に、自分の入り込む隙など存在しなかったからだ。全てが正しい方向へと戻されたような、そんな気がしてならない。そのことに気付いた美里は、二人から背を向けて駆け出した。できるだけ遠くへ、二人の姿が完全に見えなくなる場所まで行きたかった。人の多い駅近くを全速力で駆け抜ける美里は、途中である人物にぶつかってしまう。「キャアッ!!!」「美里様!大丈夫ですか!?」「……青山さん?」ぶつかったのは宗助の秘書・青山幸喜だった。きっと宗助を迎えに来たのだろう。彼は衝撃で尻餅をついた美里に手を差し伸べた。「あ、ありがとうございます……」「美里様、一体どうなさったのですか!?」明らかに普通ではない美里の様子に、青山は驚きを隠せなかった。「い、いえ……何でもないんです……」美里ははぐらかすと、彼の元から走り去って行った。青山はそんな彼女の後ろ姿を不思議そうにじっと見つめていた。いつも落ち着いている美里のあのようなところを見たのは初めてだった。ふと、美里が走ってきた方向に目を向けると、そこには見知った人物が二人立っていた。その瞬間、青山は大きな衝撃を受けると同時に、美里の異変を全てを理解した。「あれは……もしかして……今野萌子様!?何故白羽区に……」宗助の元恋人・今野萌子が彼の胸にしがみついていた。***家に帰った美里は、自室に入り、部屋の扉に鍵をかけた。そしてドサリと床に座り込んだ。美里の目の前で宗助と萌子が再会した。あまりにもお似合いな二人の姿を見ていられなくて、美里は思わず逃げるようにその場から駆け出した。美里は不思議だった、どうして自分があんなことを
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第40話

「萌子、ここは人目が多い。いい加減離れてくれないか」「宗助……?」萌子は以前とはまるで違う宗助の様子に戸惑いを隠せなかった。その声に驚いて顔を上げると、宗助と目が合った。信じられないくらい冷たい瞳だった。萌子はまだ彼にしがみついていたかったが、渋々手を離した。宗助は萌子が掴んだことによって乱れたシャツを直した。「宗助、久しぶりね」「ああ、五年前に会ったきりか……」宗助は萌子に会ったことで何だか懐かしい気持ちになった。萌子は彼が愛した初めての女性だった。「元気にしていたかしら?」「ああ」「……」萌子は平然と頷いた宗助に、眉をピクリとさせた。彼女は宗助と引き離されたことにより心に深い傷を負い、一時は心療内科に通うほど心を病んでいた。最後に見た宗助の様子からてっきり彼も同じだと思っていたのに、どうやら違ったようだ。萌子はそのことを思い、悲しくなった。あのときの優しい宗助はもういない。彼女を愛し、必ず守ると誓った彼は過去のものだった。「あなたはずいぶん変わったのね。私一人を置き去りにして」「……どういう意味だ?」宗助が尋ねると、萌子は彼を悲痛な顔で見た。「宗助、あなたは知らないでしょうけど……私は大学を自主退学したあの日から、一日たりともあなたを忘れたことはなかったわ」「……」「あなたのことを心から愛していたからよ!そして今でもその気持ちは残っているわ」「萌子」萌子の叫びにを聞いてもなお彼の表情は変わらなかった。「白羽区を出て行ったのは君たち家族の選択だろう」「私は出て行きたくなかった!ここにずっといたかったのよ!あなただってそのことはよく知っているでしょう?」萌子とその家族が白羽区を出て行ったのは宗助の両親である社長夫妻に追い出されたからだ――世間ではそう噂されていたものの、実際は違った。宗助の両親は一般家庭の生まれである萌子を嫌っており、何とかして息子から引き離そうとしていた。それは事実だ。そんな中、萌子の父親が自動車で事故を起こしたのだ。幸い死者は出なかったものの、相手に後遺症の残るほどの重傷を負わせてしまい、この一件で萌子一家は莫大な損害賠償を背負うこととなった。一般庶民である萌子たちにそのような額を支払えるわけがない。宗助の両親はそんな萌子一家の苦しい状況に目をつけ、賠償金を肩代わりする代わりに白羽区か
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