「――先輩!美里先輩!」「……ッ!」声に驚いて顔を上げると、春奈が心配そうに美里を見つめていた。どうやら会議中に考え事をしてしまっていたようだ。いつも真面目な美里にとって初めてのことだった。「珍しいな、永山くんがボーッとするだなんて」「す、すみません……」「顔色が悪いな、今日はもう帰りなさい」「い、いえ!本当に平気ですから!」「そんなこと言って悪化したらどうするんだ!」美里は慌てて首を横に振ったが社長は聞き入れず、結局彼女は速やかに帰宅することとなった。後輩の春奈が、美里に付き添った。「社長は永山家のお嬢様に甘いんだから」「いいわよねー権力者の娘は」「……」心無い言葉が彼女の耳に入った。美里に付き添っていた春奈が彼女に耳打ちした。「先輩、気にしちゃダメですよ!気にしたら負けですから!」「そ、そうね……」春奈は美里を連れて会議室を出て行った。「先輩、私の車で家まで送っていきますよ。これは貸しですよ?今度かっこいい男の人紹介してくださいね」「そうね……考えておくわ」美里の返事に、春奈がやったあと声を上げて喜んだ。永山家の令嬢である美里の知り合いなら、きっととんでもなくハイスペックな男がいるに違いない。そう確信したからだ。会社の駐車場にとめてあったピンク色の軽自動車が春奈のマイカーだ。その助手席に美里は乗り込んだ。「先輩の家ってここからそんなに遠くないですよね?」「あ……そのことなんだけど……」言いづらそうに口ごもった美里を、春奈がきょとんとした目で見た。「……城田家の邸宅まで送ってほしいの」「はえ?城田家?」理解が追いついていない様子の春奈に、美里は事の事情を説明した。「てことは、先輩は今城田家の御曹司と同棲してるってことですか!?」「同棲だなんて……ただ彼の実家で一緒に暮らしているだけよ」「それを同棲というんですよ!」春奈は興奮気味で美里の手を握った。「それより先輩、前に城田家の御曹司とは何もないって言ってませんでした?」「そ、それは……」気まずそうに視線を逸らす美里に、春奈がうつむいた。「私、悲しいです!先輩が本当のことを話してくれなかったなんて……私は先輩にとってその程度の存在だったんですね……」まずいと思った美里は、とっさに口を開いた。「は、春奈!今度かっこよくて高学歴高収入な人紹介するか
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