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13

11話

「申し訳ございません。以後気をつけます」 ふさは悔しそうな顔で、今度こそ風呂の準備をしに行った。「立ちなさい」 文彦はうたの肩を抱き、ゆっくり立たせると、和装外套を脱いでうたに羽織らせた。「汚れてしまいます……」「あなたに風邪を引かれては困ります。こちらへ」 文彦はうたの肩を抱いたまま進む。途中で出くわした使用人にお茶の用意を頼むと、彼は自室にうたを連れ込んだ。うたをソファに座らせ、暖炉に火を焚べると、彼女の隣に腰を落ち着かせた。「小生がいない間、なにがあったんです? ゆっくりでいいので、話してください」「はい、実は……」 うたは文彦の不在時に使用人にされたことをすべて話した。話しながら思い出し、泣いて言葉がつっかえたりしたが、文彦は焦らせることなく、辛抱強く話を聞いてくれた。「うちの使用人が、本当にすいません。小生を嫌っているのは知っていましたが、まさかここまでとは……」 文彦がため息をついたタイミングでドアがノックされる。文彦が許可を出すと、使用人はふたりの前にティーセットを置き、恭しく一礼して出ていった。「お茶でも飲んで、少し落ち着いてください」「はい……。あの……」「どうしました?」「どうして、帰りが早かったんですか?」「正一が、『奥さんが理不尽な目にあってる』と言っていたので、仕事をあれに押し付けて、戻ってきたんですよ。大事な客人への無礼は、許せませんからね」 客人という言葉に、胸がチクリと痛む。理由はうた自身にも分からない。「そう、ですか……。ですが、使用人達は何故、文彦さんをあんなに嫌ってるんでしょう?」 うたが疑問を口にすると、文彦は一瞬目を丸くし、力を抜くようにふっと笑った。「そうでした。あなたはそういう方でしたね」「え?」「小生の容姿を、気味悪がらないのは、あなたと正一くらいですよ」 うたには文彦を気味悪がる意味が分からなかった。確かに文彦の髪や瞳は、日本人にはない色だ。初めて見た時は驚いたが、うたは純粋に美しいと思った。本人には言えないが、長い象牙色の髪をいじってみたいと思っている。「こんなに綺麗なのに……」「人間は、自分と違うものを気持ち悪いと思う生き物なんですよ。あなたは、本当に珍しい」 どう返そうか迷っていると、ドアがノックされた。「ふさです。お風呂の準備が出来ました」「行ってきな
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12話

 緊張しながら文彦の部屋に戻ると、彼はうたをベッドに座らせ、隣に座った。それだけでこれからの行為を意識してしまい、そわそわしてしまう。「それで、答えは決まりました?」「はい。私は、その……」 答えこそ決まってはいるが、どう言葉にしていいのか分からない。「おぼこいと答えを言うのもためらわれますか」 文彦は苦笑すると、優しくうたを抱き寄せる。「小生の妻になるのなら、目を閉じてください」「はい……」 ぎゅっと目を閉じると、肩に体温を感じる。ゆっくり押され、背中が布団に預けられる。押し倒されたことに気づき、体に力が入り、更に強く目を閉じてしまう。「怖がらないで。あなたには感謝しているんです。できるだけ、痛くないようにしますから」 大きくて温かい手が、うたの髪を何度も撫でる。少しだけ緊張が緩み、目を開けると、すぐ近くに文彦の顔がある。『いい、うた。口付けはとても甘いものなのよ』 ロマンス小説が好きな姉の言葉が脳内でぐるぐるする。(初めての、口付け……、されちゃうんだ……) 覚悟を決めて再び目を閉じるが、唇に熱いものが押し付けられる気配はない。だが……。「んうぅ!?」 首筋に微かな痛みと熱。目を開いて下に瞳を向けると、象牙色の髪があった。首筋を愛撫されていると知り、羞恥と少しの寂しさが生じる。「大丈夫、全部任せてくださいね。遊女に色々教わっているので、下手ではありませんので、ご安心を」「あうぅ……」 彼の指先が反対側の首筋をなぞり、背筋が粟立つ。未知の感覚にぞわぞわして怖いけど、不思議と嫌悪は感じない。これから目の前にいる美丈夫に抱かれてしまうのだという事実が、頭の中でぐるぐるして、緊張で躯がこわばっていく。「痛いことはしません。力を抜きなさい。でないと、余計な痛みを味わうはめになりますよ」 文彦の指が頬に触れる。柔らかな頬を、指先が何度も往復する。彼の普段の態度とは真逆のあたたかい指に、少しだけ力が抜けていく。「嫌なら、目を閉じて好きな人のことでも考えなさい」 突き放すような声音と言葉に、胸が締め付けられる。一時的とはいえ、夫婦になるのだ。他の男のことを考えろなど、寂しいことを言われるのは、気持ちの良いものではない。「そんなこと、言わないでください。私に好きな人はいません。それに、私はあなたの妻になるのですから、あなたを見てい
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13話

「わ、私……。なんてはしたない、声を……」「気持ちよくなれている証拠です。怖がらないで、恥ずかしがらないで。あなたは上手くお務めを果たせていますよ」「そう、なのですか……? 私、何も知らなくて……」 目にいっぱい涙を溜めて見上げると、文彦は安心したように笑いかけ、うたの横に身を横たえ、優しく抱きしめる。「こうすれば、少しは安心できるでしょう? 大丈夫ですから」 片手で肩を抱き、もう片方の手で、うたの太ももを撫でる。その手つきにいやらしさはなく、自分より高い体温に、少しずつ緊張が溶けていく。「足を開いてください。大丈夫、ここからなら、小生にも見えませんから」「は、はい……」 恥ずかしさでどうにかなりそうだが、文彦がこんなに気遣ってくれているのだから、自分だけ駄々をこねるわけにはいかない。やんわり押してくる文彦の手の動きに合わせ、ゆっくり足を開いていく。(うぅ、見られてなくても、こんな格好は……) 羞恥のあまり、文彦の胸に顔を埋めると、大きな手が頭を撫でてくれる。「上手ですよ。触りますからね」 2本の指が、花園の入口を優しく撫でる。くちゅっと小さな水音が聞こえてきて、耳までかぁっと赤くなってしまう。「濡れてる……」「い、言わないで、ください……」「大事なことですよ。あなたが感じてくれないと、子作りは上手くいきませんから」 彼の声音に、辱めてやろうという意思は微塵も感じられない。むしろ、うたへの気遣いが伺える。(この人が初めてで、よかったのかも……) うたは文彦に身を委ねながら、小さく息を吐く。 入口を撫でていた指は、そっと入口を開く。蜜が零れ、シーツを濡らす。「あぅ……」「気持ちいい場所、触りますよ」 囁かれた直後、下から上へ、雷が走ったような感覚がした。強すぎる快楽に息が詰まる。「んひぃ!? あ、あ、あぁっ! こ、こわ、い……」「おぼこには刺激が強すぎましたか、すいません」 うたが落ち着くまで、文彦は髪を撫で続けてくれた。ありがたいやら、情けないやらで、涙が込み上げてきてしまう。泣いても困らせてしまうだけなのに。「ご、ごめん、なさっ……。わた、私……!」「さっきのは、小生が悪かったんです。大丈夫ですから」 子供をあやすように、背中をさすってくれる。おかげで少し、気持ちが落ち着いた。「今日はここまでにしておきま
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