翔平は、柚葉から連絡先を求められた時、冷静になり後悔がこみ上げてきた。そこで自分の電話番号を教えたのだ。いつか柚葉が自分と連絡を取り、声を聴ける日が来るかもしれないと美羽は思った。しかし、先ほどの翔平の皮肉めいた態度には本当に腹が立った。とはいえ、感情に任せて結論を出すべきではない。もし柚葉と自分が頻繁に連絡を取り合うようになったら、自分の感情をコントロールできなくなる気がしたからだ。隆は美羽の表情の変化から大方の事情を察したのか、それ以上は何も尋ねなかった。「見てください、さっきまとめたデータです」美羽はパソコンの画面を隆の方へ向けた。隆がモニターを覗き込む。二人はそのまま仕事の打ち合わせを始めた。ついでに、一緒に昼食を食べた。午後2時頃、美羽は自分の車でテレビ局へと向かった。毎週土曜の夜8時から生放送を担当しているからだ。その日の夜。柚葉はお風呂を済ませると、寝間着姿でソファに座り、慶にお気に入りのチャンネルへ変えてくれるよう頼んだ。ここ数日、柚葉はずっと慶と百合の家に泊まり込んでいる。百合は全ての予定をキャンセルして柚葉の側にいて、翔平も毎晩ここへ帰宅していた。慶は、柚葉が見たがっているのはアニメだと思っていた。ところが、選んだのはニュース番組。「柚葉ちゃんはこんなに小さいのに、ニュースを見るなんて」と笑いながら言った。百合がミルクを持ってやってきて、柚葉の横に座った。それを受け取り、おりこうに飲み始める。百合がその小さな頭を優しく撫でながら微笑む。「柚葉ちゃんは本当に賢いね。将来、きっと大物になるわ」柚葉は翔平と美羽の良い所ばかりを継いだ。記憶力が抜群で飲み込みも早く、今では日常会話なら二か国語を自在に話し、書道の腕前も大人顔負けだった。慶のオフィスには、柚葉の書いた習字が飾られている。来客のたびに誰の字かと尋ねられ、慶は嬉しそうに自慢の孫娘の字だと答えていた。訪れる人たちからも褒められることばかりだった。「将来、中山家のご令嬢を射止める男は相当なものですね」と感心されている。柚葉は本当に一家の誇りだった。見た目も愛らしく美しい。顔立ちには翔平の面影が濃く、目元だけが美羽に似ている。慶と百合は柚葉と一緒にテレビ画面を眺めた。夜8時。定刻通りにニュース番
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