柚葉は呟いた。「パパとイヴリンさんが付き合えばいいのに!」どうしてそう思うのか、自分でも理由は分からなかった。ただ、隆と美羽が楽しそうにしているのを見て、翔平もあんな風だったらいいのにと思っただけだ。翔平は柚葉の小さな頭を優しく撫でた。「こら、変なことを言うな」「それで、パパとイヴリンさんはどうなの?」柚葉は答えを急かした。「パパの気持ちだけの問題じゃないよ。イヴリンさんとは、ただの知り合いなんだ」「じゃあ、パパが瑠衣さんみたいに優しくすればいいんでしょ?」翔平はその質問には答えず、別の話にすり替えた。……隆は病院に長居することなく、美羽に別れを告げて帰った。翌日。医師による診察が終わり、美羽の退院が決まった。美羽は少し考えたあと、翔平に電話をかけた。以前、柚葉が使っていた記録が残っていたのだ。コール音が数回鳴って、繋がった。聞こえてきたのは、瑠衣の声だった。「イヴリンさん、翔平さんに何か用でしょうか?」美羽は呆然とした。瑠衣まで深津市に来ていたのか?翔平のスマホに自分の名前が残っているのは、間違いなく柚葉の仕業だろう。美羽は冷ややかな声で言い放った。「中山社長に用があるので、本人に代わってくれませんか?」もう、瑠衣に合わせて愛想笑いをする必要はない。「用なら私が聞いておきましょう。私から伝えておきますから」「白石さんに伝言しても、ろくな結果にならないのでお断りします」瑠衣の表情が怒りに染まるのが目に浮かぶ。こんな口の利き方をされたのは初めてなのだろう。その時、翔平が柚葉と洗面所から出てきた。瑠衣が自分のスマホを持っているのを見て、翔平は尋ねた。「誰から?」瑠衣はすぐに切りたかったが、柚葉の手前、何とか我慢してスマホを翔平に手渡した。スマホを受け取った翔平は、名前を確認して応えた。「もしもし」美羽は淡々と言った。「今日の午前中は急用があって病院に行けないので、柚葉ちゃんに伝えておいてください」「分かった」美羽は余計なことを言わず、そのまま通話を切った。スマホを置くと、美羽の心に言いようのない苛立ちが広がった。朝食を持って病室に入ってきた隆が声をかける。「どうかしたか?」美羽はため息をついた。「白石さんまでA市に来てるみたいです」隆は食事をテ
Read more