健吾が梨花をきっと睨みつけた。怪訝そうに智也が尋ねる。「凛と俺がもう……どうしたんだ?」慌てた梨花は、即座に誤魔化した。「もうあなたのことが好きじゃなくなったから、外で浮気してるの!」智也の表情がさっと険しくなった。「凛はそんなことはしないよ」凛が自分を愛してくれていることなんて、自分自身が一番よくわかっている。「どうして言い切れるわけ?」自分の息子が凛を庇う度に、梨花の苛立ちも次第に大きくなっていった。「凛はあなたになんでも言うっていうの?」「ああ。凛は俺に隠し事なんてしない」智也は迷いなく答えた。梨花は怒りをあらわにする。「あなた、完全にあの子の手のひらの上で踊らされてるみたいね!そこまでして凛を庇うなら、柚葉ちゃんのことはどうするつもりなの?とっても純粋な女の子じゃない。それに、家柄も容姿も完璧で、いつもあなたのそばにいてくれる。なのに、今の柚葉ちゃんは世間から見れば、『不倫相手』になっちゃうのよ?それでもいいのね?」「お母さん!なんで柚葉さんのこと、そんなふうに言うの?」胡桃が口を挟んだ。「元々は柚葉さんとお兄ちゃんが一緒にいたのに。後から割り込んできたのは凛さんの方じゃん」エレベーターから降りてきた凛は、ちょうどその会話を耳にした。智也が凛の姿に気づき、声をかける。「凛……」胡桃も振り返って凛を見たが、聞こえることも気にせずに続けた。「別に間違ったことは言ってないでしょ?柚葉さんが海外に行っている隙に、凛さんがちゃっかり入り込んだだけ。だから、お兄ちゃんのお嫁さんは、そもそも凛さんじゃなくて柚葉さんであるべきじゃない?」凛は瑶子に向かって言った。「瑶子さん、日和さん。申し訳ないのですが、少し用事ができてしまいまして……」瑶子と日和が車に乗るのを見送ってから、凛は再び谷口家の人々のもとへと向かった。智也には目もくれず、胡桃をまっすぐ見る。「胡桃。小林さんが義姉になることを望むなら、あなたのお兄さんに私と離婚するよう言えばいいんじゃない?そっちの方が、こんな所で喚き散らすよりずっと効果的だと思うけど」智也は目を見開いた。凛は自分と離婚したいのか?そんなことあり得ない。「私だって、お兄ちゃんには離婚してほしいに決まってるじゃん!」胡桃が凛に食ってかかろうとすると、智也が一喝した。「黙れ、
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