恵と理央は顔を見合わせた。この女性、なぜ自分たちが竹内グループの人間だと分かったのか?もしかして、竹内社長の知り合い?「私たちは竹内社長の秘書なんです。凛さんも今は私たちと一緒に働いているんですよ」恵の言葉に、柚葉は少し驚いた。昨日、祖父に頼んだばかりなのに、まさかこんなに早く話を進めてくれるなんて。「凛さん、昇進おめでとうございます」そう言った柚葉は、まるで本当に凛の昇進を喜んでいるような笑顔を浮かべていた。しかし智也は面白くなかった。とはいえ、海斗の秘書がいる手前、凛を無理に連れ出すわけにもいかない。「柚葉、先に戻っていてくれないか?凛と少し話がしたいんだ」とっくに智也の心を奪っていたうえに、昨夜も関係をもった柚葉に怖がることなんて、何ひとつない。笑顔で、「分かった」と頷く。柚葉がその場から立ち去った。智也は丁寧な態度で恵と理央に言った。「すみませんが、凛と二人で話してもいいですか?」恵と理央は何かがおかしいと感じていた。しかし、相手はあの有名な谷口社長。さて、これはどうしたものか……そんな二人の様子に気づいた凛は、彼女たちを巻き込みたくなかったため、「ちょっと向こうで待っててくれる?」と彼女たちをその場から遠ざける。恵と理央はその場から離れるなり、死角になっている所で急いでスマホを取り出した。そして、拓海にこれでもかというほど現在の状況を細かく報告し、更にはこっそり撮った二人の写真を送った。智也は凛の手を引き、人目のない非常階段の方へと急いだ。「凛、なんでさっき俺のことを谷口社長って呼んだんだよ?」「今は竹内社長の秘書として働いている時間だから、あなたを谷口社長って呼ぶのは普通のことだと思うけど?それに、昨日の夜、接待の場で会った時だって、あなたは私を妻と紹介しないどころか、知らないふりしたじゃない」「結局、それが不満なんだろ」智也は凛の肩を掴み、身を屈めて言い訳をする。「別に俺は、お前との関係を隠したいわけじゃないんだ。でも、ホシゾラ・テクノロジーの社長の妻が、竹内グループの秘書なんて……な?言いたいこと、分かるだろ?」「智也、とりあえず手を離してくれる?」凛は振り解きたかったが、やはり自分よりも大柄な男性に詰め寄られたら、力では敵わない。しかし、智也は離さずに、溜め息をつくと諭すように続け
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