「お兄ちゃん!ちょっと、優しくやってよ!もし塗り方が分からないなら、お医者さんに頼んでよね」しかし、智也は胡桃を無視し、同じ力加減で塗り続けた。「なんで凛に、わざわざ身よりがないなんて言ったんだよ。あいつだって望んでそうなったわけじゃないんだから」智也は毅然と胡桃に言う。「これからは、もう言うなよ」「智也。胡桃ちゃんもわざとじゃなかったんだから」柚葉がフォローを入れる。「怪我もしてるんだから、今はそういうこと言わなくてもいいんじゃない?」「私を可愛がってくれるのは、柚葉さんだけ……」胡桃が不満げに漏らした。「凛さんと違って、柚葉さんは私に暴力を振るったりしないもん」智也が顔を上げた。「今回しか手をあげられてないだろ?」「お兄ちゃん!」胡桃が怒りを露わにする。「なんでずっと凛さんの肩ばっかり持つの?私はお兄ちゃんの妹だよ?それに、凛さんより柚葉さんのことが好きなんじゃないの?」智也の手がピタリと止まった。「義理のお姉ちゃんができるなら、柚葉さんがいい!凛さんなんか嫌だからね!」柚葉も期待に満ちた眼差しで智也を見つめる。智也は柚葉に背を向けたまま、静かに呟いた。「これから、この話はするな」柚葉の顔からふっと血の気が引いたが、柚葉はすぐに無理やり笑みを作った。「そうよ、胡桃ちゃん。もうこういうこと言うのはやめよう。智也だって、もう凛さんと籍を入れてるんだから、筋は通すべきでしょ?」柚葉との過ちを思い出した智也もまた、どう筋を通すべきか悩んでいた。智也は何が正解なのか分からなかった。「柚葉、俺は……」「智也。早く胡桃ちゃんに薬を塗ってあげて」柚葉の悲しげな表情を見た智也は、胡桃の処置を終えると立ち上がって言った。「少し時間がほしい」その一言に、柚葉は安堵の息を漏らす。「智也、無理強いするつもりはないの。でも、私があなたのことをずっと好きで、一度も忘れられないことを、あなたも知っているよね?」柚葉はそう言って、彼の胸に寄り添った。智也は躊躇いつつも、柚葉の肩を抱き寄せる。二人が良い雰囲気になると、胡桃は痛みも忘れてスマホで写真を撮り、すぐに両親に送った。智也の母である梨花はそれを見て満足そうに笑った。智也の父である健吾もその写真を見ながら、いかにして智也と凛を離婚させ、智也が貯めてきた金を
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