Semua Bab 元夫の後悔をよそに、天才妻は御曹司と溺愛婚: Bab 41 - Bab 50

100 Bab

第41話

「お兄ちゃん!ちょっと、優しくやってよ!もし塗り方が分からないなら、お医者さんに頼んでよね」しかし、智也は胡桃を無視し、同じ力加減で塗り続けた。「なんで凛に、わざわざ身よりがないなんて言ったんだよ。あいつだって望んでそうなったわけじゃないんだから」智也は毅然と胡桃に言う。「これからは、もう言うなよ」「智也。胡桃ちゃんもわざとじゃなかったんだから」柚葉がフォローを入れる。「怪我もしてるんだから、今はそういうこと言わなくてもいいんじゃない?」「私を可愛がってくれるのは、柚葉さんだけ……」胡桃が不満げに漏らした。「凛さんと違って、柚葉さんは私に暴力を振るったりしないもん」智也が顔を上げた。「今回しか手をあげられてないだろ?」「お兄ちゃん!」胡桃が怒りを露わにする。「なんでずっと凛さんの肩ばっかり持つの?私はお兄ちゃんの妹だよ?それに、凛さんより柚葉さんのことが好きなんじゃないの?」智也の手がピタリと止まった。「義理のお姉ちゃんができるなら、柚葉さんがいい!凛さんなんか嫌だからね!」柚葉も期待に満ちた眼差しで智也を見つめる。智也は柚葉に背を向けたまま、静かに呟いた。「これから、この話はするな」柚葉の顔からふっと血の気が引いたが、柚葉はすぐに無理やり笑みを作った。「そうよ、胡桃ちゃん。もうこういうこと言うのはやめよう。智也だって、もう凛さんと籍を入れてるんだから、筋は通すべきでしょ?」柚葉との過ちを思い出した智也もまた、どう筋を通すべきか悩んでいた。智也は何が正解なのか分からなかった。「柚葉、俺は……」「智也。早く胡桃ちゃんに薬を塗ってあげて」柚葉の悲しげな表情を見た智也は、胡桃の処置を終えると立ち上がって言った。「少し時間がほしい」その一言に、柚葉は安堵の息を漏らす。「智也、無理強いするつもりはないの。でも、私があなたのことをずっと好きで、一度も忘れられないことを、あなたも知っているよね?」柚葉はそう言って、彼の胸に寄り添った。智也は躊躇いつつも、柚葉の肩を抱き寄せる。二人が良い雰囲気になると、胡桃は痛みも忘れてスマホで写真を撮り、すぐに両親に送った。智也の母である梨花はそれを見て満足そうに笑った。智也の父である健吾もその写真を見ながら、いかにして智也と凛を離婚させ、智也が貯めてきた金を
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第42話

「柚葉、お前も竹内社長の方が俺よりいいって思ってるのか?」智也は急に柚葉へと問いかけた。柚葉は気を悪くするどころか、微笑んで智也の頬に優しく手を添える。「何言ってるの?それは凛さんたちが勝手に言っているだけ。私にとっては、あなたこそが世界で一番優秀でかっこいいんだから。両親やおじいちゃん達を除けば、智也だけが私を支えてくれたんだから」柚葉は智也に抱きつき、その胸元に頭をすり寄せた。「智也、何も望まないから、もう二度と私から離れないでほしいの。どんな関係でもいい、あなたのそばにいさせて。少し我慢することになっても大丈夫。ここ数年、あなたは私に研究資金を送ってくれたから……」智也は眉をひそめ、柚葉の肩を掴む。「何言っているんだ。お前に研究費を送っていたのは、研究に打ち込んで夢を叶えてほしかったからであって、こんなふうに自分を犠牲にしながらも、俺のそばにいてもらうためじゃない」「智也。私は望んであなたのそばにいるの」柚葉は智也を見上げて言った。「あなたのそばにいられれば、私は何よりも幸せだから。大好きだよ。智也」ずっと心に想ってきた女性からの愛の言葉に、智也の胸は締め付けられ、思わず柚葉を強く抱きしめた。その拍子に、ふと玄関に掛けられた傘が目に入った。それは、智也が社長になったときに凛が買ってくれたものだった。傘なのに、一万円以上する高価な品。凛は言っていた。「今のあなたはホシゾラ・テクノロジーの社長なんだから、それに見合う物を持っておかないと、周りから馬鹿にされちゃうからね」柚葉を抱きしめていた智也の手の力が、ふっと抜ける。柚葉は不思議に思った。「智也?どうしたの?」智也は顔を手で拭うと、首を振って言った。「なんでもない。柚葉、マンションはもう買ってあるから、近々お前の好みの家具を運んでもらって、すぐに住めるように手配する。今後はそっちで生活してくれないか?ここでは少し……な?」柚葉は、凛に知られることを智也が心配しているのだとすぐに察した。「分かった」柚葉は寂しげに俯く。智也は手を伸ばして彼女の顎を持ち上げると、唇に視線を走らせたが、結局は額にキスを落とした。「いい子だ」「ちゃんと責任は取るから」柚葉は頷いたが、頭の中ではどうやって凛を自ら引き下がらせるかに、考えを巡らせていた。
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第43話

「数日後でもよろしいですか?」智也は穏やかに笑って言った。「私が凛を送り届けますから」「恐縮ですが、杏様はすでに車内で待っておられるんです。ずっと体調が優れないながらも、しきりに凛様にお会いしたいとおっしゃっておりまして……谷口社長にならお分かりいただけるとは思うのですが、病を患っているものにとっては、親しい者がそばにいてくれることこそ、一番の薬となるものなんです。今夜、杏様に良い夢を見させてはいただけないでしょうか?」智也は、これ以上拒むことはできなかった。「実は、残業で凛はまだ戻ってきていないんです」「それでは私共が直接、凛さんをお迎えにあがります」去っていく仁の背に、智也は声をかけた。「凛は、どれくらいそちらに?」「杏様の具合が落ち着かれれば、私が責任を持って凛様を送り届けますので、ご安心ください」智也は数日はかかるだろうと察し、言った。「それでしたら、せめて凛が戻るのを待って、着替えの用意をさせてやってはいただけないでしょうか?」「当家に凛様の衣類はございますので、どうぞご心配なく」智也はもう何も言うことがなくなり、一言だけ言った。「分かりました」車に戻った仁が、凛がまだ残業で会社にいることを伝えると、杏は仁に聞いた。「凛がうちに来ることを伝えた時、あの男はどんな反応をしてたかい?」「渋々といった様子でした」「今更何を惜しむことがあるっていうんだ。愛人を迎える場所ができるんだから好都合だろうに」杏は竹内グループの本社に向かうよう、運転手に言った。凛はスマホの電源を切っていたため、杏からの連絡には気づいていなかった。しかし、ビルを出るとすぐに、車から降りてきた仁の姿が目に飛び込んできた。「藤田さん!」凛は小走りで駆け寄る。仁も微笑んだ。「凛様」凛のことをこんなにも丁寧に呼んでくれるのは、仁だけだった。このように呼ばれるのが気恥ずかしく、何度も仁にはやめてほしいと伝えていたのだが、結局は「承知いたしました、凛様」と返されるだけなので、今はもう諦めていた。「車の中で杏様がお待ちですよ」「杏さん!」開いているドアから見える杏を見て思わず声を弾ませたが、凛は何かを思い出したように振り返る。「杏さん、すみません。少し待ってください。友人にひと声かけてきますので」凛は引き返すと、日和に言った。
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第44話

「私は史哉先生の教え子の中で、一番出来が悪かったので」と、凛は答えた。それを聞いた杏は無言で顔をそらす。こんなことを、史哉に聞かれたらたまったものではない。そんな凛の答えを聞いた海斗は、どこか疑わしそうな表情を浮かべる。「史哉先生の学生はみんな博士号まで取る人ばかりなんですが、私は修士で終わっちゃいましたから」と凛は付け加えた。凛のプロフィールには確かにそう記されていたが、海斗にはそれが逆に怪しく見えたのだ。あまりにも完璧すぎる。何か裏工作がしてあるに違いない。しかし、杏もそばにいるため、それ以上突っ込んで聞くことはせず、車に乗り込んだ凛を海斗は見送った。車を出発させ、バックミラー越しに路肩でたたずむ竹内兄妹を見た杏が、凛に尋ねる。「どうして竹内家の二人と知り合いなんだい?お嬢さんの方は性格が良さそうだけど、お兄さんの方は……色々考えてそうな人だね」凛は、智也が海斗を計算高いやつと言っていたのを思い出した。「社長とは特に何も。日和さんは私の友達で、誰からも好かれる可愛らしい子なんです」「あの子のことは今井先生もお気に入りなんだよ。いつもガサツだ何だ言いながらも、結構目をかけているみたいだし」杏は突然凛の顔を見つめて言った。「何だか、2日前より痩せた気がするね?離婚の話で、ごはんが喉を通らないんじゃないのかい?」「そういうわけじゃないんです。ただちょっと胃が荒れて、今日何度か戻しちゃって」杏にあんな汚いことは聞かせたくなかったので、智也と柚葉のことを、伝えるつもりはなかった。「胃の不調はストレスも関係してくるからね」杏は凛の手を握った。「智也のことが好きなのはわかるし、離婚なんて本当に辛い。でもね、彼を愛すること以上に、あなた自身を大切にしてほしいの」凛は苦笑いして答えた。「もう、彼のことは好きじゃないんです」杏は、凛の手を優しくさする。「離婚するには、智也にも離婚届を書いてもらわないといけないんだろうけど、智也は何て言ってるんだい?智也は離婚を拒んでいた。たとえ胡桃が離婚をそそのかしても、すぐにはぐらかされてしまう。誰もが自分たちの離婚を望んでいて、智也だって陰ではこそこそと柚葉と一緒にいるのに、なぜ頑なにまで離婚に応じようとしないのだろう?私に家事をやらせ、その間に外で柚葉と恋人気分でも味
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第45話

「飾りつけは置いといても腐らないから、顔の腫れが引いたら、またお友達を呼べば?それより今日は、お二人に、大事なお話があってきたんです」凛は怒り狂っている胡桃を無視し、谷口夫妻に視線を向けた。「大事な話?」梨花が呆れたような顔をする。凛は、「智也との件です。書斎でお話できますか?」と切り出した。胡桃も一緒に入ってこようとしたので、凛は入口でそれを制止した。「なんで私だけ聞いちゃ駄目なのよ!」凛は表情ひとつ変えず、「口が軽いから」と言い放った。胡桃の口の軽さは皆が知るところだった。離婚の話を知れば、喜んで面白おかしく噂を流すに決まっている。智也は優しく見えるが、実際には支配欲の強い人間だ。だから、たとえ別れるにしても、彼自身の口から切り出させないといけない。書斎のドアが閉まり、胡桃の騒ぎ立てる声が遮断された。健吾がまず口を開く。「それで、話とは何だ?」凛は単刀直入に言った。「智也と離婚します」「何て?」梨花は一瞬きょとんとしたが、すぐに喜びを露わにする。「本当なの?うちの息子を手放しても後悔しない?」健吾は勘繰ってきた。「もっといい男でも見つけたのか?」梨花の表情がこわばる。昨晩の柚葉の言葉を思い出し、鋭い目つきで凛を睨んだ。「ひょっとして、あの若い社長?浮気してるんでしょ!」しかし、健吾は鼻で笑った。「若くてやり手の社長が、こんなやつなんか相手にするはずがないだろ?」谷口家から蔑まれるのは、今に始まったことではない。凛は淡々と言った。「私なんか相手にされませんから。私は、ただ智也の嫁という立場を小林さんに譲ろうと思っているだけなんです。あなたたちも、小林さんを嫁に迎え入れたいんじゃないんですか?」図星を突かれた彼らは、少し気まずく思った。「柚葉こそ、うちの息子にふさわしい。お前みたいに連れ歩くのさえ恥ずかしい女と違って、彼女は仕事の面でも智也を支えてくれる。お前はただ金を浪費するだけの無能だ」健吾はそう冷たく言い放った。梨花も続けて言った。「その通りよ。あなたは智也のお金を食い潰すだけ」「まあ、離婚の意志があることは分かった。でも、それで?」健吾が眉をひそめる。「智也が同意しないのか?」「離婚協議書にはサインをもらっています」「なら良かったわ!」梨花が今年一番のビックニュースを聞い
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第46話

凛が書斎のドアを開けると、胡桃が聞き耳を立てていた。しかし、何も聞こえなかったらしく、胡桃は凛を不服そうに睨む。「お父さん、お母さん!凛を叱ってくれるんじゃなかったの?」胡桃は母親の腕にすがりつくと、凛に見せつけるように甘えた。しかし、凛は表情一つ変えなかった。今日、この二人が喜ぶようなことを伝えた以上、簡単に突き放されることはないはずだ。「もういいから」梨花は胡桃の肩を軽く叩くと、凛の方を向いて微笑んだ。「今日はもう帰るわよね?」凛は答える代わりに、履き慣れた靴を履いた。胡桃は唖然とする。母はどうしたのだろう?急に凛に対して穏やかになるなんて。父だってそうだ。険しい表情こそ崩していないものの、以前のような冷酷さは無くなっている。凛が何を言ったのか知らないが、すっかり親を手懐けてしまっていた。これではだめだ!この家での凛の居場所なんて作らせない。胡桃は隠れて柚葉にメッセージを送った。【柚葉さん!今夜うちに夕食食べにきてよ。みんな待ってるから。お兄ちゃんもいるし!】続けてすぐに智也にも送る。【お兄ちゃん!今日の夜、柚葉さんが私の誕生日を祝いに来てくれるって。パーティは凛さんのせいで台無しになっちゃったけど、家族で食事はするんだから絶対に来てよね!】どちらからも「わかった」と即座に返事が来た。最高だ。上機嫌の胡桃は親に向かって言った。「今夜、柚葉さんが来てくれるって。でも、凛さんの顔は見たくないから、来させないでね。あ、やっぱり食事だけ作らせて、作り終わったらすぐ帰らせればいっか」「大丈夫、凛は今夜来ないから」そう言って、梨花は胡桃をソファに座らせた。「薬を塗ってあげるから。本当にあの凛っていう子は……こんなことするんなて。捨てられて当然だわ」胡桃は鼻で笑った。「お兄ちゃんがいるのにね。本当に、お兄ちゃんの見る目には困ったもんだよ」胡桃はニヤリとする。今夜こそ、お兄ちゃんと柚葉さんを何としてもくっつけてやる。柚葉さんが義理の姉になれば、きっと留学の許可も出るはず。なぜなら柚葉さんも海外へ行っていたから、絶対に応援してくれる。海外に行けば、親の監視から逃れて贅沢三昧できるのだ。……二宮家。広い邸宅の庭で、杏が長椅子で日光浴をしていた。足音に気づくと、目を閉じたまま「おかえり
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第47話

「杏さん、どうして私にドレスなんてくださるんですか?」凛は杏の背中を支えながら聞いた。「今度のパーティーのためだよ。凛、あなたは自分の服なんてめったに買わないし、ましてやドレスなんて見もしないんじゃないのかい?それに、最近のドレスは露出が多いから、凛はあまり好きではないんだろうなって思ってね。だから昔のを引っ張り出してきたんだ。よかったら着てちょうだい」杏は凛の手を握りながら、「これを機にしっかりおめかしをして、新しい人生を歩み出してほしいんだよ」と付け加える。杏の優しい気遣いを知り、凛は胸を打たれた。「ありがとうございます。杏さん」「いいんだよ。史哉が聞いたらまたうるさく言われるよ」杏は凛の肩をぽんっと叩いて、軽くとりなした。「で、智也のご両親は何て言ってた?」「喜んで協力してくれるそうです」「へえ、それならよかったよ」杏は健吾と梨花の顔を思い出し、憤慨した。「史哉が突然亡くなって、私が悲しんでいる隙に、智也とかいうのにあなたは連れて行かれてしまったんだよ」凛は黙り込む。「でも、当時の智也はあなたを大切にしていて、顔もいいし、優しかった。まあ、惚れてしまうのも無理なかっただろうね」杏は自身の若かりし頃を思い出す。「私も顔と性格で史哉を選んだんだから」凛は思わず笑ってしまった。「先生はご存知だったんですか?」「ああ、もちろんだよ。私たちの世代なんて、男性の顔を見ただけで顔を赤くしていたもんだからね。でも、私はちょっと違って、史哉に初めて会った時『顔がいいから、私の旦那さんになってくれたらいいのに』って言ってやったんだよ」その様子を想像して、凛は自然と笑みがこぼれた。その後も二人は庭でゆっくり話をし、夕飯を食べてから部屋へ戻った。凛に与えられた部屋は広々としており、引き出しの中には黒と金色を基調とした招待状がしまってあった。それを手に取ったところで、ちょうど克哉から電話がかかってきた。「どうしました?佐野先生」「招待状は届いた?」「はい」凛が招待状を開くと、そこには自分の名前が記されていた。「来るよね?」克哉が尋ねる。「この黒と金を基調とした招待状は、松田さんと僕、そして君の三人にしか送られてきていないんだ。松田さんは欠席するだろうけど、小林さんは恐らく出席すると思う。僕は高木を連れていこうと
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第48話

谷口家。少し残業をした智也が帰宅した頃には、すでに夜8時を回っていた。胡桃に小言を言われたが、聞き流す。中に入るとダイニングテーブルには柚葉が座っていた。あたりを見渡したが、そこに凛の姿はない。智也は手にしたプレゼントを見て言った。「父さん、母さん。凛は急用で来られないらしいから、これを渡してくれって」健吾と梨花はそれを聞いても、信じはしなかった。凛はもう離婚を決意しているのだ。今さら谷口家に何かするわけがない。どうやら息子は完全に凛に骨抜きにされているらしい。姿も見せない女のために、ここまでするとは。近いうちに凛がこの家から出ていくことを思い、健吾と梨花は気分が良かったので、今のやり取りは気にしないことにした。しかし柚葉は、智也が帰宅するなり凛の名前を出したことに、密かに歯ぎしりをしていた。「智也、今日はどうしてこんなに遅かったの?」そう言いながら柚葉が歩み寄ってきたので、智也は反射的にコートを差し出したが、柚葉は受け取ろうとしなかった。その瞬間、帰宅のたびにコートを受け取ってくれていたのは、いつも凛だったと智也は思い出す。今日はその凛がいない。智也は自分でコートを掛けると、静かに尋ねた。「来るなら連絡してくれればよかったのに」柚葉は一瞬意外そうな顔をしたが、胡桃が自分たちを見ているのに気づき、どういうことか悟った。そうやら、胡桃が自分たちの間を取り持とうとしているらしい。柚葉は明るく言った。「今日はあなたじゃなくて、胡桃ちゃんに会いに来たの」「そうだよ!今日、柚葉さんはお兄ちゃんのためじゃなくて、私のために来てくれたんだから!」胡桃が得意げに鼻を鳴らしながら、そばに座った智也を見て文句を言った。「てか、昨日言ったよね?今日は柚葉さんも呼んだよって。お兄ちゃんも分かったって言ったのに、なんで忘れちゃったの!」「仕事が忙しかったんだよ。メッセージもそんな詳しく見る時間なんかなくてさ」そう言いながら、智也はアクセサリーケースを取り出す。「誕生日プレゼントだ」胡桃は待ちきれずにその場で開けた。中にはルビーのネックレス。胡桃は「わあ!」と声を上げ、すぐに首につける。「ありがとう、お兄ちゃん!」しかし、宝石が少し小さい気がした。宝石を撫でる胡桃を見て、智也は言った。「最近、手元が少し厳しくて
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第49話

健吾は心得たもので、即座に言った。「備えあれば憂いなしって言うもんな」梨花もグラスを掲げた。「今日の素晴らしい日を祝って、乾杯しよう」智也も微笑んだ。家族皆での食事が終わる頃には、柚葉も少し酔いが回っていた。梨花が柚葉の手を握り、親しげに言う。「柚葉ちゃん、今夜はここに泊まっていけばいいわ。智也の隣の部屋を片付けさせるから」「ありがとうございます、梨花さん」柚葉は上品に笑い、隣にいる智也に目を向けた。その時、智也は凛にメッセージを送っていた。【今日はなんで帰ってこなかったんだ?】【今夜来いって言っただろ?一年に一度しかない胡桃の誕生日なんだぞ】凛から返信があった。【お医者さんが杏さんの診察に来ていて、時間が取れないの】智也はさらに返信した。【来れないんだったら、何かせめて贈り物ぐらい用意できなかったのか?父さんと母さんにどう思われてもいいのかよ】もともとお前はよく思われていないんだから……その一文を打ちかけたが、智也は送信することなく消した。【まあいい。今回は俺が代わりにお前からってことで手土産を渡しておいたから、父さんと母さん特に何も言ってなかったけど。次は気をつけろよ】しかし、凛からの返信はいつまで経っても来なかった。「智也?」柚葉に呼ばれたので、智也は画面をオフにして向き直る。「どうした?」「言い忘れていたことがあるの」柚葉は自分の隣をポンと叩いた。お酒で上気した頬に、とろんとした目。智也は家政婦に飲み物を用意させると、ようやく柚葉の隣に腰を下ろした。二人が並ぶ姿を見て、谷口家の家族の目は輝いた。「やはり智也の嫁にはこれくらいのお嬢様がふさわしいな」と言う健吾。そんな健吾に梨花が答える。「智也と柚葉ちゃん、なんてお似合いなの!」胡桃も続けて言った。「キャー!早く柚葉さんが私の義姉になってくれたらいいのに!凛なんかとっととやっつけちゃえ!」「何を言い忘れたんだ?」と問いかけながら智也は、柚葉の乱れた髪を優しく整える。柚葉はうっとりと智也を見つめた。「竹内グループ主催の科学技術フォーラムのこと知ってるでしょ?夜の交流会には行くの?」智也は頷いた。「行くよ」「誰を連れていく?」柚葉は言った。「ああいう交流会って、たいていパートナーを連れて行くでしょ?」
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第50話

男の人が好きな人にだけ見せる独占欲。その答えに、柚葉はすっかり上機嫌だった。「じゃあ、私一人で行かなきゃみたいだね」「大丈夫だよ、柚葉さん。中に入ったらお兄ちゃんを返してあげるから。二人の邪魔はしないよ」そう言って笑う胡桃は、頬の痛みなどもう忘れているようだった。柚葉も笑いながら、「約束だよ。必ず返してね」と言った。ほんの短い一言一言が、智也の心をかき乱す。それを見ていた健吾と梨花は、理由をつけて寝室へいった。胡桃もそのあとを追いかけ、智也と柚葉に二人の時間を作ってあげることにした。部屋のドアを閉めると、胡桃はスマホを手に取り、ドアの隙間からリビングで隣り合って座る二人の写真をこっそりと撮る。柚葉は胡桃が写真を撮っていることに気づき、わざとらしくまばたきをした。「智也、目に何か入ったみたい」「俺に見せてみて」智也は横を向き、柚葉の顔に近づいて、彼女の瞳をのぞく。その瞬間、柚葉はそのまま顔を上げ、智也の唇にキスをした。カシャッ。胡桃はその瞬間をカメラに収めた。胡桃は興奮を抑えられなかった。柚葉さんがお兄ちゃんと一緒になるのは確定だ!あとは凛が身を引くのを待つだけ!胡桃はすぐさま凛とのトーク画面を開き、写真を送りつける。【凛さん、お兄ちゃんが好きなのは柚葉さんなの。早く離婚してくれない?】リビングで、突然のことに面食らった智也の瞳に焦りが走る。急いであたりを見回した。リビングには二人しかいない。「柚葉……」人に見られたらまずいから、こういう場所では慎むようにと言おうとした。しかし、柚葉はその大きな瞳をぱちくりとさせて言った。「駄目だった?智也、私のこと好きでしょ?私もあなたが好き」智也は少し眉をひそめる。「駄目っていうわけじゃない」「ならよかった」柚葉はそれ以上深くは追及せず、少しだけ体を智也から離して言った。「智也、眠くなっちゃった。部屋まで連れて行って」「ああ」智也が腰を上げる。すると柚葉が手を伸ばした。「ふらふらする。手、つないで?」智也が柚葉をゲストルームへ連れていくと、隣の部屋を見て柚葉が言った。「隣は智也の部屋だって、梨花さんが言ってた」「うん、何かあったら呼んで」智也は柚葉の部屋の入り口に立ち、中へは入らなかった。しかし、柚葉も動かなかった。「ねえ、お風
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