凛が海斗から焼き鳥と焼き芋を受け取った際、二人の指がわずかに触れ合い、海斗の指先が軽く震えたが、彼は何事もなかったかのように引っこめた。凛は海斗を見て言う。「海斗、車に乗って。外は冷えるから」海斗が車の前を回って乗り込んだので、凛も自分側の窓を閉めた。車内は暖房が効いている。海斗がホテルまでのルートを検索し、車を走らせたが、食べ物に手をつけようとしない凛。海斗が凛に聞いた。「好きじゃないのか?」凛が首を振る。「一緒に食べようと思って」その後、海斗はそれ以上何も言わず車を走らせ、車がホテルの前に停車した。この町で一番まともなホテルだが、大手チェーンの類ではない。二人並んで中に入り、凛が予約していた名前を伝える。「デラックスルームを二部屋ご予約となっておりますが、同じ階になさいますか?」受付に聞かれた凛は頷いた。「はい」その瞬間、ごくりと動いた海斗の喉仏。海斗はロビーにある自動販売機をちらりと見て、凛に何か飲むかと尋ね、凛はミネラルウォーターを1本だけお願いした。海斗は両手にミネラルウォーターを1本ずつ握り、凛と一緒にカードキーでエレベーターに乗り込み、2階へ上がる。二人の部屋は同じ階で、隣同士。凛は焼き芋を半分に割って海斗に手渡した。「焼き鳥はあげない。ここの焼き鳥は辛いし、もしお腹でも壊したら大変だから。智……」智也の名前を言いかけてしまい、凛は慌てて言葉を切った。ここで智也の名前を出すなんて縁起でもないのだが、辛い焼き鳥を見て、ふと思い出してしまったのだった。しかし、海斗はその続きを察したようで、焼き鳥のパックを奪うと、中から3本だけ取り出して自分の部屋に入っていった。しかし、1秒とたたないうちに、その部屋のドアがまた開く。ドアのそばに立ったままの海斗が言った。「早く寝ろ。明日は隣の市まで移動するから」「わかった」それから、おやすみと言って今日を締め括るつもりだった凛だが、海斗には人を安心させるような不思議な雰囲気があり、ふと凛の口から言葉が溢れる。「海斗、少し心配なことがあって」海斗も凛が不安を抱えていることには気づいていたので、そのまま静かに耳を傾ける。「ただ漠然とした不安ってわけじゃないの。今日、地元の人に対して聞き込みをしたでしょ?本来、康平は知的障害に対して補助金
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