柚葉は再び頷いた。医師は時計に目をやり、少し困ったように言った。「今日はもう診察時間が終わってしまいましたので、また日を改めて来てください。先ほどの下腹部の痛みは、急激な精神的ストレスが原因だった可能性もあります。ですが、念のためにも一度きちんと検査を受けてくださいね。それがお母さん自身のためでもありますし、お腹の赤ちゃんのためでもありますから」柚葉は明日にでも来ると伝えた。帰宅の道すがら、柚葉は両親になんて伝えようかと考えを巡らせた。そのまま正直に話せば、激怒されるのは目に見えている。そこで柚葉は、腹部を押さえながら家に入った。急に帰ってきた柚葉を見て、隆平と百合は一瞬驚いたが、腹を押さえて苦しそうな柚葉を見て、すぐさまこう聞いた。「まさかお父さんに妊娠を知られて、中絶させられたの?なんでこんな大事なことを私たちに相談しなかったのよ!?お父さんが世間体を気にすることは知ってたけど、まさかここまで酷いなんて」百合はそう小言を言いながらも、急いで柚葉にブランケットをかけ、隆平にすべての窓を閉めさせた。隆平も、柚葉の苦しむ姿に胸を痛めたが、結局のところ、「いっそ中絶できて良かったんじゃないか」と漏らした。柚葉は、ひどく気分が悪くなった。「お父さん、お母さん。子供を堕ろしてなんてないから。ただお腹が痛いだけ」柚葉の言葉を聞いた瞬間、両親の表情が変わった。二人は一瞬だけ押し黙ったものの、すぐにどうしたのか、病院には行ったのかと、心配そうに問いかける。「先生は、精神的なショックでお腹が張ったんじゃないかって。お父さん、お母さん……私、お爺様を怒らせてしまったの……それで、瞳さんからも松田家から出ていけって言われて」先ほど両親が見せた反応を思い出し、柚葉は結局、自分が訴えられたことを口にはできなかった。何せ20億円以上の賠償額だ……それにしても、本当にそんな額になるのだろうか?柚葉自身、お金を湯水のように使ってきたから、何にいくら使ったのか、もうほとんど覚えていないのだ。それに、凛の弁護士はどう計算してあの数字を出したのだろう?それに、たとえ一審で敗訴しても、控訴して二審で争うことはできるはず。絶望の中に沈みかけていた柚葉の胸に、かすかな希望が灯った。時を同じくして、病室で待機する凛と海斗は、謙介と短いオン
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