二人の目には、もう息子の海斗など映っていなかった。隆は瑶子を見つめ、わずかに恨めしそうな顔でため息をついた。「お前が悪いと思うべき相手は、海斗じゃなくて俺だろ。瑶子、俺は国内どころか海外まで必死になって捜し回ってたのに、お前は海斗を連れて島で優雅にバカンス。しかもベビーシッターもボディーガードも揃ってた。海斗に申し訳ないことがあるとすれば……日焼けしすぎて、とても俺たちの子には見えなかったことくらいだ」海斗は黙った。どうやら、聞かなくてもいい両親の過去を知ってしまったらしい。瑶子は楽しそうに笑う。「本当に真っ黒だったのよ。小さな炭みたいで。でも育ってるうちに、ちゃんと白く戻ったわね」海斗は姿勢を正した。「父さん、母さん。その『小さな炭』本人にも、事情を知る権利くらいあると思うけど」「隠すような話でもないわ」と瑶子は簡潔に当時のことを語り始めた。「親の代で命を救っただのって話があってね、そのせいで私とあなたのお父さん、子供の頃から婚約させられたのよ。でも二人とも、全くその気はなかった」隆は加えた。「俺は嫌じゃなかった」「あなたは黙ってて」と瑶子は続けた。「でも、親たちには逆らえなかった。こういう家に生まれて、何不自由なく育ててもらった以上、果たさなきゃいけない役目もある。そう思って、お父さんとは3回目に会った時に入籍して、そのまま式も挙げたの」海斗を見て微笑む。「若い頃のお父さんも、あなたと同じでやたら女の子から人気があったのよ。そこにいるだけで女の子が寄ってくるくらい……ふふ。でも、あなたのほうがまだマシね。言いたいことをはっきり言うから、その分女の子を怒らせるし、怖がられて簡単には近寄ってこないからね。それで、お父さんに言い寄る女の人たちにうんざりして、私、一人で旅行に出たの。そしたら妊娠がわかったんだけど、妊娠中に余計なことで腹を立てるのも嫌だったから、そのままのんびりしてたら、あなたを産んで、もうすぐ1歳って頃に、ようやくお父さんが私を探し当てたっていうわけ」海斗はこめかみを押さえた。頭が痛い。まさか自分の出生に、そんな話があったとは。海斗は隆を見た。「見つけるのに、そんなにかかったのか?」隆の目が一瞬にして険しくなる。全く、ろくでもない息子め。「母さんについてたボディーガードが、そこらの
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