―深夜。 煙草をくわえ、白い息を吐きながら。男はモニターを見ていた。 モニターには、数万枚に及ぶ一人の男の写真データが、BGMと共に一枚ずつ映し出されていた。 彼の名は岩崎雄介、32歳。数百年に渡って続いてきた、大阪市内の外れにたたずむ神社の一人息子である。 雄介の部屋には壁、天井と所構わず、モニターに映っている男の写真がびっしりと貼られていた。その異様な空間の中、写真をみつめながら雄介は細い目を更に細め、満足気な笑みを浮かべていた。 * * * 雄介がおもむろに、携帯のスピーカーをONにして番号を入力した。 しばらく呼び出し音が続き、やがて男の声が聞こえてきた。 「はいもしもし」 雄介は何も言わない。 ただじっと耳をすまし、その声を聞いている。 「もしもし」 無言のまま電話を切ると、雄介は満足気な表情を浮かべ、再び白い息を吐いた。 * * * 写真を眺めながらベッドに横たわっていた雄介は、ふと喉の渇きを覚え起き上がった。 本堂に続く長い廊下を歩いていく。 ひんやりとした板の上を、素足でゆっくりと歩いていく。 窓から外を見ると、少し風が出ている様子だった。
Dernière mise à jour : 2026-03-07 Read More