晶子さんはダイニングテーブルの上に並べられた私の料理と、義母の黒い煮物をジロジロと見比べた。「うわ、本当だ。お母さんの煮物、めっちゃ美味しそう! ……っていうか、真由美さんのご飯って相変わらず味が薄そうねえ。これ、豚肉の炒め物? 色が全然ついてないじゃない。これじゃ食べた気がしないわ。お母さんの煮物があってよかったー」 晶子さんは、ケラケラと甲高い声で笑いながら言った。 他人の家にアポなしで押しかけてタダ飯を食いに来た分際で、いけしゃあしゃあと料理の文句を垂れる。 その神経の図太さは、隕石でも跳ね返せそうだ。(タダ飯を食いに来たくせに、よくもまあ偉そうに) 私の脳内でツッコミが炸裂する。 以前の私なら彼女の態度に傷ついて、「どうして私ばかりこんな目に」と苛立っていただろう。 けれど今の私の心は完全な氷点下だ。 彼らの言葉は、ただの不快なノイズとして耳を通り抜けていくだけ。 怒りよりも、彼らのドン引きするような非常識さを観察対象として見つめる自分がいた。(あとでしっかりメモに取っておかなくちゃ) 私がそんな事を考えた時。 晶子さんの視線が、私の足元で小さくなっている陽菜に向いた。「それにしても、陽菜ちゃんは本当におとなしいわねえ。女の子だからかしら?」 晶子さんは大げさにため息をつくと、自分の息子たちを指差した。 2人の悪ガキは、すでに和也のゲーム機を奪い取ろうとして取っ組み合いの喧嘩を始めている。「男の子2人なんて、毎日が戦争なんだから! 体力は底なしだし、部屋はすぐに散らかすし。私なんて毎日疲れ果てちゃって、自分の時間なんて1秒もないのよ。真由美さんは子供が1人だけで、しかも女の子でしょ? 本当に楽でいいわよねー」 出た。 世の母親たちが最も忌み嫌う、子供の数マウントである。「本当にそうよねえ」 晶子さんの言葉に、義母が深く頷いて同調した。「1人っ子じゃ、和也が可哀想だわ。早く2人目の男の子を作らないと
Last Updated : 2026-04-12 Read more