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44:無法地帯

last update publish date: 2026-04-15 11:41:14

 パチパチパチッ。

 ジュワァァァァ――。

 170度に熱した油の中に、片栗粉をまぶした冷凍鶏もも肉を落とす。

 高い音が立って、細かな油のしぶきがコンロの周りに勢いよく跳ねた。

 換気扇を「強」にしてフル稼働させているにもかかわらず、キッチンにはむせ返るような油の匂いが充満している。

 隣のコンロでは、急ごしらえのハンバーグがフライパンの上で肉汁を滴らせていた。

 火の通りを良くするために真ん中を凹ませた肉の塊から、ジュージューと食欲をそそる音が鳴っている。

 コンロの前に立ち続ける私の顔面には、熱気がもろに吹き付けていた。

 額からじわりと汗がにじむ。

 跳ねた油の数滴が手の甲に当たってチクリと痛んだが、私は眉一つ動かさずに菜箸で唐揚げをひっくり返した。

 料理だって、陽菜のためであれば苦にならない。

 あの子が「おいしいねー!」と笑顔になってくれるのであれば、喜んでハンバーグを焼こう。

 ちょっとくらい油が跳ねたって平気だ。

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